#13.5
「選挙に出て見ないかい?」
なんかよくわからないけれど、衆議院?っていうのが解散? っていうのをしたらしい。
「高峰さん、あなたは国会議員にふさわしいよ。」
目の前で私を説得しているのは、日本労働党の代表だという。名前は、、、、住山仁とかだったっけか。
彼の話によると、私の力が必要なんだと。
成れば人気者にもなれるらしいし、最近は預金食いつぶす生活だったし、稼ぎいいらしいし、アリっちゃアリか。
「わかりました。んでどうすればいいですか?」
宮城3区、というのが私の選挙区となった。
選挙区とかはよくわからなかったので、あんま深く考えないことにした。
それに、宮城ってどこよって感じだし。
東京から即日移動、手続き諸々任せて、街頭演説。
とりあえず与党への怒りを煽ればいいと言われた。
煽るってなに? と思ったので聞いたところ、攻撃すればいいよと言われた。
私誰かを攻撃したこととかないと言えば、与党に思ってることをそのまま言えばいいと言われた。
それでも別に何もなかったので、仲間たちみたいな人に原稿書いてもらい、それを暗記して訴えた。
さすが政治プロの作文、人気は急上昇。
みんなが見てくれる。みんなが褒めてくれる。気持ちいい。
政治家ってジジ臭くてキモいと思ってたけど、こんな気持ちいいならもっと早くやっていればと思った。
ある日、いつものように街頭演説を行なっていると、群衆の中に一際背が高くてイケメンの男性を見つけた。
「君が高峰琴音さんですか?」
「は、はい。あの、あなたは?」
「私は沢渡修悟。自由民衆党の国会議員だよ。」
イケメン、、、修悟様っていうのね。
それで、私の応援に来てくれたのね。
「宮城3区のプリンセスがどんな方か見に来たんだよ。元気があっていいね。」
「ありがとうございます。えっとこの後の予定とかって」
「今日は応援演説に宮城まで来ていてね、これから向かうところなんだ。」
なるほど。
私の応援演説に来てくれているようだ。ありがとうございます。
田舎行きたくなかったし、そっちは任せろってことね。
こういう紳士的なところがブスとイケメンの違いよね。
ブスは可愛いとかそんな当たり前のことしか言えないしできない。やっぱりイケメンしか勝たんわけよ。
支持者は女優やってた時と一緒でキモい、ブサイク、ガリ、デブ、ハゲばっかり。
都会と違って田舎はイケメンいないし、ひっさしぶりに元気出た〜。
「ってことだから。お互い頑張ろうね。」
「は〜い〜♡」
*
「うっそ、、、」
落、、、選、、、、
どういうこと。どうして。何が起きてるの。
叫びたくなるが、カメラが向いている以上そういうこともできない。
ただでさえ直近でパワハラ天井しているのだ。
モニターには悔しがる私の姿が映っている。
ネットでは私の落選を喜ぶ声も見られた。
おかしい。だって住山にも応援してもらって、沢渡様にも応援されて、不正?
こんなの、ありえない。白咲義隆、、、っていうのね。覚えたわ。
どんな不正を行ったのか絶対に暴いてやるんだから。