#10
「なんかやばいことご起きてないか?」
「たかねねさんの音声が流出したらしくて、ネットで大炎上中なんだよ。」
〜「こちらが、高峰氏と秘書とのやりとりとみられる音声データになります。」〜
〜ねー、それやめろっつってんだろうがよ。あー無能すぎガチできもいわー。〜
〜は? お前私にすっぴんのまま歩けって言いたいの?〜
〜すみません、〜
〜すみません、って土下座しろや。ガチで時間も組めないとか何ができんだよお前。ないわー〜
〜「中には別の候補者に絡みに行く様子も撮影されていました。」〜
提供映像、その中には今日のお昼のやりとりが地上波で流されていた。
インターネットで「たかねね」でサーチすると俺なんかが受けた誹謗中傷、罵詈雑言を凌駕する見るに耐えない惨状になっている。
~おわったなこいつ~
~たかねね、もう応援できません~
~まあ、芸能界でもやらかしてるし、こうなると思ってたよ~
~最低~
しかし、これら以外にも擁護の声も上がっていた。
~女性が化粧の時間必要なこと、男ってわからないのかな。これだから男社会はクソなんだよね~
~たかねねキモすぎるけど、そんなことより可愛くて推せる~
~こうやって人気の人を攻撃する与党の工作に違いない~
ネットの炎上を横目に、俺の事務所へのインタビューが殺到している。
電話が鳴りっぱなし。
もちろん全てたかねね絡み。普段どんな話をするのか。音声データは本当なのか。
撮影されていた映像は本物だ。しかし、音声データは知らない。
「これは、大変なことになってきましたね。」
「たかねねから釈明は?」
「あるにはあるけど、、、、見る?」
、、、、。
これは、子供の言い訳かな?
全ては与党の攻撃だーー(棒)
私は被害者なのだーー
絶対に訴えてやるーー
意訳するとこんなところか。
すごい女ですや。この女、すごいすごいですや。
書面だけでなく、配信でも釈明しており、涙まで流しながら、「可哀想でしょ」と闘ってるアピール(彼女の中では本当に闘ってる)していた。
「思わぬ形で渦が、、、」
その形は如実に現れた。
俺の演説に地元メディアが訪れるようになったのだ。
もちろん、俺の演説を流すシーンはわずか数十秒程度だった。
大半はたかねねに関するインタビューてわ終わる。
しかし、面白がっているのだろう。
俺VSたかねねという対立構造がメディアによって生み出され、世論は大いに盛り上がった。
一部宮城界隈で、俺の存在が色んな人に周知され始めた。
「たかねねを泣かすなー!!!」
「国民を泣かすなー!!!」
「白咲死ねーーー!!!」
「クソジミンが、しーねー!」
「しーねー!」
「しーねー!」
「しーねー!」
たかねね支持者からの攻撃が始まった。
今まではなかったことだった。
話を聞いてくれる人がいなかった。やっと人が集まり出したかと思うと、今度は話ができるような状態ではなくなった。
それでも、炎天下の中、雨風の中声を届けた。
「世間じゃ叩かれてるけど、応援してるよ。」
「犯罪者が、」
「おちろ!おちろ!じごくに、おちろ!!」
「売国ジミン議員辞めろ!!」
「……」
「税金ドロボー!金返せー!!!」
「いつもお疲れ様です。」
「最近、たかねねやばいと思わね?」
〜「宮城3区、なかなか激戦になりそうですね。」〜
〜「高峰さんへの不信感が日に日に増しているようですね。」〜
〜「インターネットなどで、支持者による他党への攻撃が不信感を押し広げていると専門家は〜」〜
最近聞いた話によると、反たかねね層が、わざわざ彼女の演説場所までいって攻撃しているらしい。
結局、与党支持とか野党支持とか関係なく、攻撃する人はする。
もしかしたら、俺を応援してくれている人の中にも、別の人を攻撃している人がいるのかもしれない。
そう思うと、とてもゾッとする。