(3)
教卓左斜め前の自席に着く。瞼が重い。睡魔の表現とかではなく、気圧が低い日に感じる目がしっかりと開かない感覚のことだ。今日は小雨だからか頭痛はしないがなんだかぼーっとする。今は梅雨真っ只中、頭がクリアな一日が訪れるのはしばらく先だろう。とはいえ、日常生活に大した支障は無いし(症状が重い日は別だが)、毎年梅雨の時期にはこうなるのでもう慣れている。それにしても、ななちゃんはいつも可愛いなぁ。今日もおはようって言ってくれた、すごくうれしい。ななちゃんのことを考えるだけで自然と口角があがって、隣の席の森さんが怪訝な表情でこちらを見ている。すかさず窓側に視線を移せば、窓の外を眺めているななちゃんがいる。先週の金曜日の帰りのホームルームで席替えをして、今日がこの席で過ごす最初の日だった。隣の人も、自分がいる位置も変わって新鮮なのはもちろんだが、この席の一番の良いところは、ななちゃんと席が隣なところだ。いつもはくじ引きで席を決めるところを、担任の気まぐれで自由に決めることが許されたため、ななちゃんと隣の席になることができた。担任の気まぐれと激しく握手を交わしたい気持ちだ。
私とななちゃんはとても仲が良い。よく二人で遊ぶし、学校では大体一緒に行動している気がする。なので、あながち私の悲しい片思いというわけではないし、きっとななちゃんも私のことが好きだと思う。けど、好きの種類が違うから、結局片思いである。もっと私のことを好きになって欲しい。ずっと私だけを見ていて欲しい。私と居る時がいちばん楽しそうであって欲しい。




