あなたといるための嘘
絶対に覚めることのない夢を見ていた。ただゆっくりと沈んでゆく夢を
「またこの夢か、、、」
そう言いながら重い体を起こす。
朝食を食べ、学校の支度をして誰もいない家に「行ってきます」と言い玄関を出る。
「かーえーでっ!」
そう言いながら飛んできたのは幼馴染の遥だ。彼はどんな人とも明るく接し、嫌味なども全く言わない私とは真反対の性格、、、いや人種の人間だ。
「あのさぁ」
「ん?」
「いつも急に飛んでくるのやめてって言ってるよねー」
「そうだっけ?」
「言ってるよ!あれ意外とびっくりするし周りの目も気になるんだからさー」
「別にいーじゃんー」
「私がよくないの!」
そう言って二人で笑い合う
「はる、、、」
「おはよ遥!今日も元気だな〜」
そう言ってきたのは遥と同じ部活の翔だ。遥たちはふざけながら話し合っていた。
「じゃ、また部活でな!」
「あーい!」
と言いながら二人は別れた。二人が別れた後も遥は笑っていた
「あ、そーいや楓さっきなんか言おうとしてなかった?」
「ん、いやなんでもないよー」
「ほんとに?」
言いながら遥は顔を覗き込んでくる
「本当だよー今日はちゃんと宿題持ってきたか聞こうとしただけだし」
「え?」
「え?」
「宿題って何、、、」
「ほんとに言ってる?」
遥は首を縦に振った。正直宿題なんてどうせ持ってきてないんだろうなとは思っていたけれど存在すらも知らなかったとは思っていなかった。
「まぁいっか!」
と遥は切り替える。
校舎に入り遥と別れると
「楓ー!」
と言いながら背後から抱きついてきたのは玲奈だ。どうして私の友達は急に襲ってくるのかわからない。
「どうだったー?」
「何が?」
そう答えると玲奈はわざとらしく大きなため息をして
「遥君とのことだよー!」
「だーかーらー遥とは付き合ってなんかいないし好きでもないから!」
「そんなこと言っちゃって〜。ほんとは好きなんでしょ〜?」
「天地がひっくり返っても遥を好きになるなんてことはないな」
「そんなこと言うなら玲奈はどうなの〜?」
玲奈はグーサインを出して
「大丈夫!」
と言った。
授業が午前で終わり帰りの支度をすませ帰ろうとした時に遥が教室に来て
「楓ー!デートしよー!」
と意味がわからないことをいい私はわざと無視して
「玲奈ー一緒に帰ろー」
と言った玲奈は何かを察したように
「今日は無理ーごめんねー」
と言った。私は
「じゃあ一人で帰るかー」
と言って遥を無視して帰ろうとしたすると遥が走ってきて
「ごめんて!一緒に帰ろうとしただけだから!」
最初からそう言えばいいのにと思った。
「一人で帰るのはなんか嫌だからしょうがないなー」
と言うと遥は目を輝かせて
「よし!」
と言った。そういえば今日は遥は部活のハズだ
「あれ遥は今日部活じゃないの?」
「んー?今日は急に部活がなくなったから大丈夫よー」
「ふーん」
この後遥と一緒に帰ったことを後悔することとなった
「ねぇ」
「んー?」
「どう言うつもり?引っ張られて電車に乗ったと思ったら市外に出てるしこんなショッピングモールにいるし」
少し怒り気味に言った
「だって楓デートしよって言ったらやだって言うし、、、」
「当たり前でしょ」
そう言うと遥は子供のようになりその姿が面白くて
「まぁ今日くらいはいいよ。一回だけだからね」
と笑いながら言うと
遥は子供のように喜んだ
「で今日はここに何しにきたの?ショッピングモールならわざわざ市外に来なくてもいいのに」
「それはまだ内緒」
と嬉しそうに言った。
このショッピングモールは県内で一番大きいからここにしかないものがあるんだろうなと思った。
それから遥と本屋や雑貨屋、カフェにも行ったりした。そのほかにも遥があまり興味なさそうな店にも入ったりしてて、知らなかった遥を知れて少し新鮮な気持ちになった。
どれくらい一緒にまわってたか分からないけど外が暗くなってる事に気づいた遥が
「もうこんなに暗くなってるのかー。そろそろ帰らないと母さんに怒られそうだな」
「そうだねー」
「じゃ帰るか」
と言いきた道を戻った。電車に揺られてる時結局何でショッピングモールに行ったんだろうと不思議に思ったので
「さっきは内緒って言ってたけどどうしてあそこにいったの?」
「んーなんて言うんだろ、、、簡単に言うと『思い出作り』かな?」
「『思い出作り』?」
「そ、だって俺達もう高二じゃん高三になると進学だったり就職だったりして会えなくなったりしそうだから今のうちに遊んどこうってことかな」
「ん、まってなんか私達付き合ってることなってない?」
「え?俺達付き合ってないの?」
「え?うん」
「じゃあ付き合お?」
「う、うんいいよ」
「じゃあこれからいろんな思い出作りしようね!」
「うん!」
遥がいつでも明るくて後悔なんて残したくなさそうな彼を見てるとなぜか涙が出てきた。
「楓?なんで泣いてるの?」
「ううん、なんでもない」
私には誰にも言えない秘密がある。
家に帰ると七時をまわっていた。誰もいない家に「ただいま」と言った。部屋に入ると自然に今日は楽しかったなと思えた。明日は土曜日で風呂に入るのがめんどくさく感じてそのまま寝てしまった。疲れていたのかすっきりと眠れた。
また同じ夢を見た
今日は何もする気が起きなかった。そのまま夜になり寝ようとしたが全く動いてなかったからか全然寝付けなかった。そのままベッドに寝転んでいるといつのまにか眠っていた。
私はもう少しで死ぬ
それがわかったのは高校生の入学式のとき突然倒れて、その後病院で検査をした時に先生に
「もう長く生きられない、余命が長くて2年短くて半年。それも毎日薬を飲み続けたり辛い治療をする事をしても長くて2年」
と言われた時だ。その時からあの夢を見るようになり、同時に両親がいなくなった。自分があと長くて2年しか生きられない事と、親がいない事実を受け入れられず何度も死のうと思った。だけど遥を一人にしたくないと思い、辛い治療にも耐えて生きてきた。
朝起きて今日は病院に行く日だと思い出し、慌てて病院に行った。
病院では沢山の検査をして、結果を先生から聞くとやっぱり病状は悪化してて
「このままだと高校2年生を終える前に死んでしまうかも知れない」と言われた。「後少ししか生きられないんだ」と考えながら院内を歩いていると後ろから
「楓ちゃん?」
と聞こえ振り向くとそこには遥のお母さんがいた。その瞬間頭が真っ白になり、声が出せず
「な、、、んで、、ここにいる、んです、、か」
次の瞬間全身から力が抜け、気絶してしまった。次に目を覚ましたのは月曜日の昼だった。そこには遥のお母さんがいて、私が目を覚ました事に気づいて私を抱きしめてくれた。遥のお母さん、仁美さんは泣きながら私を抱きしめながら
「大変だったねぇ」
と言った。その時私は涙が溢れてきた。私が泣いてる間仁美さんは何も言わずに私の背中をさすっていてくれた。それから私は今まで会ったことを話した。話し終わった後に
「私は遥が好きなんです。ちっちゃい頃からずっとずっと、でも高校に入った時にこの病気がわかってもう遥と一緒にいられないんだと思って生きる意味がなくなって何度も死のうと思ったんです。でもどれだけ少ない時間でも遥と一緒にいたいと思って治療を頑張ってきたんです。だから遥にはこのことを伝えないでください」
仁美さんは泣きながら頷いてくれた。
2日後には学校に行けるようになった。遥を探して見つけたが明らかに元気がなくて、「私がいなくなったらああなってしまうんだ」と思い悲しくなった。私はあえて元気に
「遥元気ー?」
と言った。遥はすぐに振り返って走ってきた。
「体調大丈夫か?」
「うん、ちょっと熱が出ただけだから」
「そっか、元気なら良かった!」
「さっき遥の方が元気なさそうだったけどねー」
「そんなことねーし!」
と言って二人で笑いあった。
それから私は遥と一緒に居れる時間を大切にしてきた。でも一緒に居れる時間はやっぱり長くは続かなかった。前のように市外のショッピングモールに遊びに行った時、体の力か抜けて倒れてしまった。遥はどうすればいいのかわからなさそうな顔で
「どうした?」
と聞いてくれた。私は
「最近貧血気味でふらっとしちゃっただけだから大丈夫」
その時急に咳き込み恐る恐る手のひらを見てみるとそこには血がついていた頭が真っ白になったが『もう一緒に居られない』という気持ちしかなかった。でもこれだけは言わないといけないと思い、
「遥、、、ごめんね」
と言い、それと同時に私の意識は切れた。
目を開けると世界が真っ暗で遥か遠くに小さな光がある事に気づいた。そこに向かおうとするが体が全く動かずにどんどん沈んでいった。
私が目を開けると横には遥がいた。
遥は俯いていて、私が目を開けたのに気づいていなかったのでなんとか声をだして
「遥、、、おはよ、」
遥が私に気づいて
「楓!なんで急に倒れるんだよ!血を吐いていたし、五日間も目を覚まさなかったし、、、、なんで、、なんで、、!」
そう言った遥の手は硬く握られていた。私は遥の拳に手を添えて
「私はもう大丈夫だよ」
と優しく言った。私はもう隠しているのは無理だと思い
「私は重い病気なんだ、、、もう治ることはないとてもとても辛い病気、、でも最近は治ってはないんだけど悪化はしてないから死んだりはしないよ。それに遥を残して死ぬわけないじゃん。私は遥のことが、誰よりもこの世の何よりも大好きなんだよ。遥のおかげでここまで頑張ってこれたの。だから遥は元気出して。遥が元気ないと私も辛くなってくる」
遥は
「そっか、、、うん、分かった俺は元気でいるから楓も早く元気になって退院してもっと沢山の思い出作ろう!」
「うん」
でも、私はもう病院から出ることはなかった。
3日後私の病状は急激に悪化して
人工呼吸器なしでは呼吸できなくなっていた。遥は仁美さんから連絡をもらって病院にすぐにきた。遥はもう泣いていて
「もう悪化しないって言ってたじゃんかよ、、、」
と言っていた。遥と話したかったがもう声すらも出せなくなっていた。でもこれだけは言いたい。私は人工呼吸器を外して遥に抱きつき
「大好き、、、ごめんね、、、」そう言い遥とキスをした。遥から離れてベッドに寝て「もう死ぬんだな」と思っていると手に暖かい感触があり、
「楓、、、俺もずっとずっと大好きだよ。今までもこれからも地球の何よりも楓のことが好きだよ」
「あ、、、りが、、、、、、、」
遥と手を繋ぎながら私は死んだ。
〜エピローグ〜
楓が死んでから一週間がたった。その間は何をする気も起きずただぼーっとしていた。母さんが来て楓のノートを置いて行ってくれたけどまだ読むつもりになれない。でもこのままいても楓に怒られそうな気がして読んでみる事にした。
『遥へ、今まで嘘ついててごめんね。私は高校生になってこの病気がわかったの、その時お母さん達もいなくなって死んでしまおうかと思った。でも遥と一緒に過ごしていたかったんだ。一年生の時からもっと話していたかったけれどその時は一緒の世界を生きてればいいと思っていたの。だってもっと深く関わったら私が死んだ時に遥が何もしなくなっちゃうんだろうなと思ったから。でもやっぱり後悔して死にたくないなって思ったんだ。遥みたいに元気で今を全力で生きようってきめた。でも病状が良くなることはなくてどんどん悪化していった。最後に言いたいこと言うね
・遥のことはずっとずっと大好きだったよ
・もっとたくさん一緒に出かけてたかったね
・たくさんの嘘をついてごめんね
・私が死んだ後も私が好きだった遥でいてね
・私のことを一生引きずっていて!
今までありがとう
誰よりも遥を愛してる私より』
「ありがとう楓」
そう言ってノートを閉じた
この本を読んでいただきありがとうございます。
初めて小説を書いてみたのでわからないところが多かったんですけど、書いてる時は楽しかったです。




