それは、過去(ぼく)に贈る戯言
この世界が生きずらいと思ったのはいつ頃だったろうか……
僕は同時にこの世界で生きるということは……今の僕の正反対を演じないといけないと思った。
間違っているのは僕だ……だったら正さないといけない。
どうすればいいのか……僕はわからなかったけど……
間違っているなら反対を演じればいい……そう思ったんだ。
人前では僕の好きは嫌いと言えばいい。
僕は将来やりたくない仕事をやればいい……
仲良くしたくない人の機嫌をとればいい……
怒りたい時に喜べばいい……
泣きたいときに笑えばいい……
叫びたいときには黙ればいい……
それらは……僕にとって過酷なのに……
僕が素直に生きるよりもずっと……そうすることが楽な気がした。
それはきっと……僕は正しくなくて……それが正しいからなのだろう。
その苦痛は快楽だ……
その不快は愉快だ……
その生き難いは暮らし易いだ……
錯覚しろ、そう錯覚することを望んだのだろう?
今更、逆を望むなよ……
今更、地獄に足を踏み入れるなよ……
てめぇが勝手に勘違いしてきた結果なのだろ……
今更、否定するなよ……幸せだったと死に際に言って見せろよ……
そうじゃなきゃ……きっと……僕は僕を許さない。
安心しろよ……
僕の戯言はきっと……その正解にも間違いにも辿り着かない。
過去の僕は、今の僕に何も残さないように……
今の僕は、未来の僕に何も残さない……
人はそれを後悔と呼ぶのか?
だったら、それは戯言だ。
僕《かこ、げんざい、みらい》にそう言い聞かせろ。