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85話 ちょ、ちょっと待ってくださいましぃっ!!

 中庭で、エドワード殿下とカインが口論になった。

 そして、戦いで決着を付けようという流れになった。


「へへ。剣術で俺に勝てると思うなよ、エド」


「いつまでも俺の上だと思い上がるな!」


 二人は木剣を構えつつ、睨み合……ってない?

 何故か二人共、こちらを見ているような気が……。


「……」


「……」


「……?」


 あれれ?

 何やら嫌な予感が……。


「では行くぞっ! 覚悟しろ!!」


「イザベラ嬢から一本取るのは俺だぜ!」


 次の瞬間、二人は私に向かって走り出した。


「どえええええ!!??」


 私は驚いて声を上げた。

 なんでこうなるのー!?


「俺の女になれ、イザベラ!」


「今日こそ勝つぜ、イザベラ嬢!」


「ちょ、ちょっと待ってくださいましぃっ!!」


 私は叫びながらも、急いで木剣を取り出した。


「はあっ!」


「うおっと!」


「ぐっ!!」


 私は二人の剣を防ぎ、そのまま弾き飛ばした。


「な、何のつもりですの!?」


「決まっているだろう。成長した俺の剣術をイザベラに見てもらおうという話だ」


「へへ。俺はイザベラ嬢を守れる男になるのが目標なんだ。当然、イザベラ嬢より俺が弱くちゃ話にならねぇ。まずは俺がイザベラ嬢を超えているってことを見てもらうぜ!」


「…………」


 確かに、私の近接戦闘能力はカインやエドワード殿下よりも上だ。

 剣術と身体能力だけなら、私よりもカインが上。

 でも、私には『覇気』がある。

 それを込みで考えれば、私が負けることはない。


「仰ることは分かりますけど……。それにしたって、私のような淑女を二人がかりで襲うなんて……」


「淑女? あんな大きな魔獣を倒す淑女なんていないだろ。イザベラ嬢の戦闘能力は化け物さ」


「その通り。イザベラは通常の枠に収まる女性ではない。まあ、それでこそ次期国王の俺に相応しいのだが……」


「…………」


 二人に好き勝手なことを言われ、私は思わず沈黙してしまう。

 確かに三か月ほど前の実地訓練で、大型の魔獣を倒したけどさ。

 私のような可憐なレディを化け物扱いは酷いじゃないか。


「イザベラ。俺が勝ったら結婚してもらうぞ」


「俺はいきなり結婚とは言わねぇけどよ。まずは一日デートしてくれよな」


「……」


 エドワード殿下もカインも、まるで引く様子がない。

 どうやら二人とも、完全に本気モードらしい。

 こうなった以上、仕方ないか。


 ……よし!

 ここは全力でお相手をしよう!

 私を化け物扱いしたことを後悔させてやる!


「ふぅ~……」


 私は深く息を吐き、気持ちを落ち着かせる。

 そして、ゆっくりと構えを取ったのだった。

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