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63話 ホーリーライト

 氷漬けになった魔獣を置いて帰ろうとしたところ、アリシアさんが名乗り出た。


「えっと、どうするつもりなの?」


 私は首を傾げる。


「はい。わたしの光魔法を使います。【ホーリーライト】」


 アリシアさんの身体から光が溢れ出し、それが魔獣を包み込んだ。

 何だか暖かそうな感じだ。

 彼女が魔獣を覆っている氷に手を伸ばす。


「アリシアさん、それは冷たいわよ?」


「……いえ、わたしの魔法は無事に効力を発揮しているようです。ほら、イザベラ様も触ってみてください」


「えっと。アリシアさんがそう言うなら……」


 オスカーの氷魔法は強力だ。

 ちょっとやそっとの魔法ではその冷気を和らげることはできないと思うけど……。

 私は恐る恐る氷に触れる。


「え? ええっ!? 確かに冷たくないわ!」


 私は驚いて自分の手を見る。

 あれほど冷たかった氷に触れていても大丈夫だ。

 むしろ温かさすら感じる。


「これは一体……」


 私は戸惑う。


「えへへ。これがわたしの力なのです」


 アリシアさんが得意げな顔をした。


「イザベラ様に魔法の制御を教わりましたよね。その時に思いついたのです。光魔法は、様々なことに応用できるのではないかと」


「なるほどね。確かに、光魔法はただ浄化したり光らせたりするだけの魔法じゃない。凄いわ! アリシアさん!」


 私は興奮気味に褒める。

 希少な光魔法。

 その第一の特性は、闇の瘴気を浄化するというものだ。

 二つ目の特性として、光を放つことで単純に辺りを照らすことができるというものもある。

 だけど、工夫次第ではそれ以外にも使い方があるのだ。


「えへへ。ありがとうございます」


 はにかむアリシアさん。


「素晴らしいですね。これならば、運ぶこともできるでしょう。後は男の私に任せて下さい」


 オスカーが笑顔で申し出た。


「あ、はい。お願いします」


 アリシアさんはペコリと頭を下げた。

 オスカーが魔獣に触れる。

 そして力を入れて持とうとする。

 が、持ち上がらない。


「……これは、なかなか重いですね」


「私も手伝いましょうか?」


 私はオスカーにそう申し出る。


「……いえ。ここは男として、意地を見せなくてはいけません」


 オスカーは額に汗を流しながら答える。

 彼の実家シルフォード伯爵家は氷魔法の名門だ。

 しかし一方で、肉体的には特に頑強ではない。

 重い物を持てなくても、気にする必要はないと思うのだけれど。


「魔力開放! 【アイスアーマー】!」


 オスカーが魔法を唱えると、彼の身体が氷に覆われていく。

 氷の鎧に身を包んだような状態だ。

 これは主に防御が目的の魔法だけど、副次的な効果により身体能力も増す。

 確かにこれなら、通常時には持てなかった物でも持てるようになる。

 彼が魔獣の死体を持ち上げられるか、見届けさせてもらおう。

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