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第五章(仮)~謎の料理人~

いつか起こるかもしれない 食の国


「へぇ! 君達は世界の端から来たアルか!」


 な、なんだこの人。随分ふくよかな体付きに、何とも覇気のない声。でもこれだけはわかるけど、シェフ帽に白いエプロンを付けているから、料理人だという事がわかる。けどそのエプロンや、帽子、服装は黒ずんで汚れているのが気になった。料理人にしては清潔感が無い。それに……


「両手が……無い?」


 両手は包帯のようなもので巻かれているため断定はできないが、若干短く感じる。具体的に言えば、手首より上の、手の平の部分が無いように見える。


「あんた……何者だ?」

「ワタシ? ワタシは料理人アルよ!」

「料理人……?」


 元料理人の方か? それとも、真王に忠誠を誓い、バカげた金額を払った者のみに許された料理人か……?


「元料理人……ですか?」

「違うアルよ! ワタシは現役の料理人ね!」

「てことは真王の配下か?」

「なんだって!? ワタシの腕と知識を奪った真王の配下なんてならないアルよ!」


 奇声交じりに半分錯乱状態になりながら否定してきた。


「この人危ないね……」

「だな。触らぬ神に祟りなし。このまま立ち去ろう」

「………………」


 僕達はゆっくりと後ずさりを開始。少しずつ目の前の女性から距離を置き始め――


「??」


 その時。空腹を告げる腹の虫の音が鳴り響いた。


「お腹が……空いたよう……」


 腹の音の発生源は先程保護した少年だった。お腹を押さえ、涙目でうずくまる。


「腹ペコアルか?」

「うん」

「そうかそうか! ならワタシがもてなすヨ!」


 直後、目の前の女性の体が発光し始めた。TREだったのか! 色は……白か。


「お前達は腹ペコアルか?」

「何?」

「お前達は腹ペコアルか? って聞いてるアルよ」


 白色のTREオーラなら、攻撃的な能力ではないはず……。それにこの街に入ってから食事を取っていなかったから、お腹が空いているのは事実。先程の話を聞く限り、この人は反真王派のはずだし、ここいらでちゃんとした食事を取っておいた方がいいか……?


「どうする?」

「とりあえず肯定的な意見を言っておくか……。こちとら空腹で動きも鈍ってるし、子供もいるしな。お言葉に甘えておくか」

「………………」


 僕達は女性に対して、小さく頷いて見せた。


「了解アルよ! なら招待するネ!」

「招待?」

「招待って、どこにだ?」

「ワタシの厨房アルよ! アアアア――」

「「「!?」」」


 僕達は――突如として開かれた直径5mほどの大口に飲み込まれた――


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