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第三章(予定)~悪夢の悪魔~

 この物語は、第三章にて起こる出来事です。実際には少々変更になるかもしれません。

 そして思いっきりネタバレしていますので、それでも良ければどうぞ。


「がはっ!!」

「お、音破……!」


 尋常じゃない程の吐血をする音破。あの量……胃袋いっぱいにウニが詰まったって吐き出せる量の血液じゃない。


「め、旋笑……!」

「………………」


 足元では腰元から失禁したのかという程の血を垂れ流している旋笑が四つん這いになっていた。息を切らしながら巻いていたマフラーで腰をギュッと締め、とりあえずの止血を行う。


「へへへ……! ありえねぇ強さだぜ……!」

「だね……『奴』より強いんじゃないかな……」


 正面に設置されたステージのような空間を見つめる。

 不思議な空間だ。ステージ以外の舞台は全て暗闇で見えず、上手も下手も存在しない。照明器具が無いのに、スポットライトのように上空から光が当てられ、その中央ではバレリーナが踊っている。しかしその顔は、真っ黒のペンで塗りつぶしたようにぐちゃぐちゃになっており、元がどういった顔なのか判別できない。


「ここデ、お前ラは、死ヌンだよ」


 そのバレリーナとは別の場所の暗闇から、そんな物騒なセリフとともに何かが浮かび上がってきた。

 白い真っ白で瞳孔も虹彩もない。歯は不揃いで肉食獣のような黄ばんだもの。その他輪郭や耳などの顔のパーツは無く、その眼と歯だけが浮いているだけというものだった。口から垂れる涎のようなものは、地面に落ちると、熱した鉄板に落ちた水のような音を立てる。もしかして強酸? ますますわからない。


「畜生……これはまずいかもな……」

「………………」


 仮面越しにもわかる弱気な声に、旋笑の表情も暗い。あの二人がこれほどまでに絶望するなんて……。でも仕方がない事かもしれない……。この空間には金属物質も無ければ、旋笑は竜巻を起こせないし、音破の能力を発動しようとすると辺りが真空状態になるし、向こうの攻撃は反則急な程強く、見たことも無いものばかりだ。

僕はなぜこうなったのか、これまでの経緯を思い出してみた――


「――え? なんで?」


 心当たりがない。なんで僕らはこんな目に遭っているんだ? 恨まれるような事はしていないはずなんだけど……


「これデ終わりだヨ」

「「っ!」」


 今度は刺々しい鎖のようなものが暗闇から僕らの元に飛んできた。

なんで僕らはこうも一方的に、攻撃されているんだ? あまりにも理不尽過ぎないかな? なんだか、だんだん……


「腹が立ってきた……」

「ナンだ?」


 鎖は僕らの元に届く前につま楊枝ほどの太さにまで潰され、地面に落下した。

それに先程大量に吐血した旋笑と音破の血が波紋を立てながらゆっくりと地面から離れ、僕の元に集まってきた。視界も少し暗いし、様子がおかしい。もしかして、僕……覚醒状態に入っている?


「ははは……凄いや」


 少し黒ずんだ血液が僕の思うがままに動く。いつもはこんな微量な血液なんて操れないのに……確信に変わった。音破達から聞かされた覚醒状態に入っているんだ。


「二人とも……下がってて」

「鉄操……?」

「ここは僕がやる……二人の血液……使わせてもらうよ」

「お、おう……」

「………………」

 

 僕は一歩前に出て二人の壁になるように目の前の化け物と対峙する。


「いイ度胸だネェ……」

「そっちがね……」


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