00.はじまり
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錬金術とは、金を作り出すために生まれた学問である。
ただ、金を作り出すためには高価な材料が必要になってしまうことが判明して以来、学ぶ者も既にいなくなってしまった。
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00
ある男がいた。男は錬金術を学んでいたが、廃れた錬金術は教えられる教師も居なければ教科書も昔に出されたものが数冊しかなかったし、そのほとんどがぼろぼろだった。
男はぼろぼろの本をかき集めた。そして、投げ売りされていた昔の手記や道具などを集めた。男は実験を始めたが、すぐに問題に直面した。そう、昔の錬金術師たちと同じ資金不足に……
「金がない……錬金術は金が掛かりすぎる……」
男は元々稼ぎが良い訳でもなかったので、資金難に陥るまでわずか1ヶ月だった。男は独り言をしながら実験を止めて機材を片づけると、副業の内職を始めた。男は副業の薬師で生活費を稼いでいたし、男のことを錬金術師と認識している人間は周りにはいなかった。
とはいっても、魔法のある世の中で薬の需要はせいぜい風邪薬や栄養剤くらいのもので、儲けもちびちびとしたものだった。
男の運命が変わったのは、ここから約半年後のはなしである。