表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
96/111

 三つ巴 ④

 ふわふわに注意しつつ、黒ブタマンを攻撃。

 立場的に考えれば、ふわふわは味方だし、あたしからちょっかいかけなければ、攻撃はされない……はず。


 しかし、ふわふわの黒ブタマンへの攻撃は防がなくてはいけない。ユッキーが到着するまで、ふわふわに勝手させるわけにはいかんのです。


 だけど、今のところは、ふわふわに動きはない。

 そのまま黙って見ていてくれないかなーー。

 まぁ、無理だろうなーー。


「そうだ! もっと強い魔法プリーズ!」


 そして黒ブタマンは無駄に魔法を使ってほしい。

 こいつの黒い風の魔法は、分類は風の魔法に違いない。元がどうであれ手元を離れたら風は風。


 そのコントロールを得るのは簡単。後はこれを使って攻撃をしよう。だが、黒い魔法を取り込むのは危なそうだから、そのまま跳ね返す感じで攻撃。時間を稼ぐのが安全。


 しかし、この黒ブタマンの魔法なら、こいつ自身を倒せそう。ちょっと試してみようかな……──って、ダメだ、ダメだ! そんなことしてはユッキーに嫌われてしまうぞ!


「私が手を出さなければ、ユッキーが来るまでいけそうね?」


「えっ──、もしかすると、ふわふわは協力してくれる感じ?」


 実はそうなんだろうか?

 やっぱり、なんやかんや優しいのだろうか?


「……そんなわけないでしょう。そいつの脅威度は計り知れない。檻から出た獣なんて即射殺よ!」


「一瞬、期待したのに! 結局は敵か!」


 大人しく、ゆるふわお姉さんしてればいいのに。

 ぶりっ子して、『みんな〜』とか言ってればいいのに!


(みやび)がいたから、面倒な準備も楽に済んだわ。じゃあ、いくわよ? せいぜいソレを守るのね」


 大人しかったのは準備とやらのせいか。

 姉もだけど本当に大人気ない大人が多い。


「自分だけ悠々と準備してズルいぞ。あたしにも準備タイムください!」


「いいわよ。代わりましょう。その間にソレは死ぬけどね?」


「それじゃあ意味がないだろうが!」


 黒ブタマンの魔法を分解。再構築。

 だいぶ力の運用に無駄が出てるけどしょうがない。

 取り込まずにやるのはこれが限界。でも威力は十分。

 こないだ自分で味わった折り紙つきだ。

 

「くらえ! 黒式(こくしき)太刀風(たちかぜ)! どうだカッコいいだろう!」


 来ると分かったなら先手必勝。

 遥か彼方まで吹っ飛んで行け!


「へぇ……そんなことも出来るの……」


 ふっ、避ける暇もなく風に巻かれよった。

 今のが捨て台詞になってしまったな。ザマァ!


「おぉー、想像以上の威力。これでは、ふわふわは果てまで飛んでいったな。さらば」


 予想を上回る結果。この感じなら軽自動車くらいなら飛んでいくと思う。

 あと技名だけど、黒い魔法を使ったやつには、全部この黒式って付けよう。簡単だし、黒いからカッコいいし。


「その色は雅には似合わないわよ。可愛くないし」


 馬鹿な……どうして普通に立っている。

 間違いなく直撃したはずなのに。

 人間などゴミのように飛んでいくはずなのに。


「実は体重が1トンくらいある?」


「今は、あるかもね?」


 飛んでいかない理由があるなら、それは重いからだ。太刀とは言ったけど今の魔法には刃がなかった。

 怪我させないためとか考えたのが間違いだったな。切り刻むつもりで撃つんだった……。


「ふわふわな服で分からなかったけど、ふくよかな体だったんだね。胸だけでなく他もかなりデ──」


 ──ブ。と言いたかったのに、黒ブタマンがこちらに向かってくる。ふわふわから視線を離したくないのに。


 だが、寄られるのはマズい。対処しなくては。


(くろがね)刀源郷(とうげんきょう)


「──なにっ?! ふわふわ。貴様、何するつもりだ! そして、おまえがやられないようにしてんだから、邪魔すんな!」


 あたしにばかり来やがってー。

 ふわふわもいるんだから、やつにも行けよー。


 ふわふわは何て言った?

 とうげんきょうって言ったよね。

 とうげんきょうって、ところで何?!


 スマホはあるのに検索している暇がない。

 起きる現象を見て対応するしかない。

 くろがねは鉄。とうげんきょうは不明。

 何が起きるのかも現在不明。


「再現・和泉守兼定(いずみのかみかねさだ)。更に複製」


 兼定。それってユッキーが持ってるやつ?

 あの刀がなんとか兼定って名前だった気がする。


「ユッキーが持ってたのを見たかしらね……。今日はこの子にしたわ」


 ふわふわの手元に刀が生成される。

 材料は鉄。手持ちに鉄があったわけではなく、辺りの鉄を使用しての魔法。


「自らを(てつ)と化すのも(くろがね)の魔法だけれど、(てつ)を利用するのも(くろがね)の魔法よ。そして今の時代……(てつ)なんてそこら中にあるわよね」


 ──これはヤバい!


 複製と言った意味も分かった。辺り一面に刀が生えてくる。手に持ってるやつと同じ形のが。材料は鉄だけど……。

 ビルも鉄。車も鉄。あれもこれも全部、──鉄!

 材料は無尽蔵だ。ふわふわの魔力の続く限り生成できる。


「そ、それはさぁ……手に持って使うんだよね? 刀が飛んできたりは、──するんだ!」


 生えてきた刀が黒ブタマンに飛んでいって貫通した! ヤバいぞ。これが全部飛んでくるのはヤバい。


「射殺と言ったでしょう。再生が不可能になるまでまずは力を削ぐ。巻き込まれたら死ぬわよ?」


 刀が舞い黒ブタマンを斬り刻む。

 あいつだって不死身じゃない。

 再生には限度がある。止めなくては!


「やめ──にゃ?!」


 飛んできた刀が頬をかすった……。

 気のせいでなければ血が出ている。

 ここにきて今日の中で一番死にそう。


 ふわふわはプレイヤーではないので、あの攻撃にフィールドの加護とやらは適用されない。

 ……刀が刺さったら死ぬよね? 少なくとも血が出る。血が出続けたら死ぬよね……。


「逃げ道もなくすから、逃げるなら今よ?」


「逃げませんー」


 それでも逃げはしない。

 逃げたら死ぬほど後悔しそうだし。


「あら、残念」


 この女は本気で黒ブタマンを殺すつもりだ。

 土は風に相性が良くないけど物量差で押し切れる。

 刀の材料を無くすのは不可能だし、刀を折ったところで意味もない。鉄に戻ったところで再利用される。


(くろがね)鳥籠(とりかご)


 鉄が空を覆う。地面から鉄が伸びていく。

 そして、トゲトゲがついた鉄が網目模様を形成していき、あっという間に籠が出来上がった。


「相性が悪くとも地の利は私にある。恨むなら鉄に満ちた街を恨みなさい。雅、空がなくては鳥は飛べないわよね? 小鳥ちゃんはそこで大人しく見ていなさい」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ