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 三つ巴 ③

♢53♢


 あたしたちは今日、ボスキャラのいる場所である新宿のゲートから、直接新宿に入ることはできなかったんだ。


 理由は入った瞬間にゲームオーバーを避けるためと、みんなの多少の慣らし。アップも兼ねての多少のバトルは、姉の組んだ予定に入っていた。

 しっかりと準備してから、ボスキャラである黒ブタマンのいる新宿に入るつもりだったんだ。


 しかし、こうして新宿にいるはずのボスキャラが、目の前に現れた。新宿から出られない制約はどうなってんだ! と、キレても仕方がないのでやるべきことをやろう。


「──こっちだ! 来てみろ、黒ブタマン!」


 こいつは速いし、一歩の移動距離が半端じゃない。

 見つかり、狙われたら逃げるのは困難。というか不可能。こないだ上手くいったのはたまたまだ。

 弱点と感じるのは、少し感知能力が鈍いかな? と思うくらいだ。他は弱点らしい弱点もない。


 闘いおいては完璧な生き物だ。

 コミュニケーションは取れないし、傷は治るし、軽く引くくらいに強い。


「お前、それにしても随分と殺してきたな……。こないだ削った分が回復してる。それどころか増してない? 一杯食わされたからって、強くなってわざわざ復讐に来るとは大人気ないぞ!」


 こいつのところまで、ユッキーを無傷で連れて行くのが今日の目標だったのに。それは出来てないし、黒ブタマンは自分から現れやがった。

 そして、これは運営としても予想外の出来事のようだ。


「レン。こうなってしまったら仕方がない。殺すわよ、これ」


『すまない。カイアスを過信しすぎた。何としてもフィールドから出すわけにはいかない。頼めるか?』


「殺していいならね。貴方は手を離せないでしょう? カイアスは役立たずだし。私がやるわ」


『ゲートはこちらから操作して順次閉じている。なるだけ早く終わらせてくれ。エースのお嬢さんもすまない』


(みやび)もいるしすぐにでも終わるわよ。私がやるから、雅は動きを止めておいてちょうだい!」


 と、勝手なことを言っている。運営のふわふわと黒ウサギ。あと、いないけどクソピエロ。

 2人の口ぶりからするとヤツがやらかしたらしい。おそらく黒ウサギにシメられていると思われる。ザマァ!


 まぁ、クソピエロのことなど。どーーでもいい!

 今は目の前のこいつだ。真剣に取り組まないと。


「前回とはやり方が違うんだ。お前の風はそのまま利用させてもらう。お前は超強いけど、それだけだ!」


 さっきまでのあたしと一緒。

 守ることなど考えない。

 攻めて、攻めて、攻めて殺す。

 そのやり方には非常に共感するけど、もう古い。柔も必要なんだ。


「ふわふわと違い、お前の移動は空気が震える。一瞬姿は見えなくても、空気の流れが変われば来るのが分かる」


 纏う風が仇になっている。他の人たちにはこれ自体が防御として機能するんだろうけど、あたしには意味がない。逆に利用してやる。


「身体能力もプレイヤーたちとは比較にならない。けど、捉えられる。 ──そこだ!」


 黒ブタマンが巻き起こす風を、雲母(きらら)さんの言った通りに利用する。風に限ってだけど、相手が強ければ強いほど簡単に利用できる。

 向かってくる風の流れを変えてやれば、風は黒ブタマン自身に向かう。そこに多少細工すれば、速さを殺せる。更に、おまけで残りを直接浴びせてやる。


「もっと強い魔法でなくてはミヤビちゃんは倒せないぞ? ──もっと強い魔法でなくてはな!」


 物理攻撃じゃなくて魔法プリーズ。

 こいつに近寄られたら死ぬ。簡単に死ぬ。

 何故ならミヤビちゃんには、直接殴ったり蹴ったりする技術はない! バレないように戦わなくては……。


「よし、そのまま抑えてなさい。私が一撃で──」


 ふわふわたちの言う事は分かってる。

 こいつをフィールドから出すわけにはいかないというのは理解してる。けど……。


「──やめい!」


「──ちょっと何するのよ?!」


「これはユッキーの獲物だ。貴様にはやらん!」


 ほら、ふわふわが黒ブタマンを倒してしまって、ユッキーがガッカリするところとか見たくないんだ。

 黒ブタマンにもふわふわにも、ユッキーが来るまで勝手な真似はさせない!


「どういうつもりよ!」


「どうもこうもない! ユッキーが来るまで大人しくしてろ」


 黒ブタマンが自身の力が利用されていると気付くまで時間が掛かる……と信じて。ふわふわがあんまり強くないと……信じて。ユッキーを待ちます。


「貴女、状況分かってるの? こいつが表に出たら大惨事じゃ済まなくなるわよ」


「だって〜ユッキーに嫌われたくないし〜」


「それは私の真似……。私はレンと違って、雅を特別扱いはしないわよ?」


 ふわふわから、ふわふわ感が消え失せる。

 どうやら見通しが甘すぎたようだ。

 運営に弱いやつはいないらしい。


「うっ……予想より強そう。昨日の姉と同じくらいの気もする。しかし、やると決めたらやる!」


「その粋や良し。槍は使わないけど、少し本気でやるわよ?」


 睨み合うあたしたちのところに、動けないはずの黒ブタマンもやってきた。これは三つ巴になるらしい。


「大人気ないやつらばっかりだ! お前も黒ブタマンも。もう少し優しくして!」


 黒ブタマンも早々に仕組みを理解したようだし、ふわふわは予想より強い。これは気合いを入れていかないとダメだ。


 ユッキー、早く来て! 長くはもちません!

 三つ巴と言いつつ2対1になると思うから。



 ♢



 ゲート運営よりプレイヤーの皆様へ。

 ただ今、システムに不具合が発生しておきます。

 全力で改善を行なっておりますが、終了の時間は現在のところ不明です。


 この不具合の改善までの間、固定ゲート、日替わりゲート共に運転を一時的に停止しております。

 この間は自発的にフィールドから出ることはかないません。ご理解ください。

 なお、イベントは続行しておりますので引き続きお楽しみください。


 イベントに関してですが、未だ100個のエッグが残っております! 今から参加しても十分にチャンスはございますので、皆様ふるってご参加ください。

 現在、エッグの軌道はプレイヤーの妨害により運営の手を離れ、渋谷区に散らばっております。

 

 システムの改善までお時間のあるプレイヤーの皆様は、こちらをどうぞよろしくお願いします。


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