表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
76/111

 作戦会議 ③

「明日は……じゃないや。ボスキャラとは、ゆーきが闘う。それにはみやびは邪魔」


 フウちゃんに新たにリストバンドを付けられた。

 緑のやつでも力を抑えられているのに、青いやつも同じ効果があるらしい。


 ──これはマズい。

 今なら小学生のフウちゃんにも負けると思う。


風香(ふうか)、分かるように言え! それは一度付けたら簡単には外せない。お前はそれを知っているだろうが!」


「みやびには大人しくしていてもらいたいんだ」


 ユッキーが闘う? 1人でってこと?

 それは駄目だ。一緒に行くし、一緒に戦わなくちゃ。


「みやびの魔法はスゴい。街をメチャクチャにしちゃうくらいに。でも、そんなとこでみんなで戦える? みやびも周りを気にしては本気で戦えないよね。観てたし、見たから知ってるよ」


 ……フウちゃんの言う通りだ。


 あたしの魔法では死なない奴らだったから、新宿では戦えた。クソピエロも黒ブタマンも。

 もし、あの時。あの場所にユッキーたちがいたら、ああは戦えなかった。あれじゃ、周りの人間はみんな死んでる。


「きららが付けた分じゃ力を抑えられてない。みやびには、もっと強力に力を抑えなくちゃ意味がないんだ」


「だがな。勝手にやっていいことじゃない……。それにタイミングも最悪だぞ?」


 明日、ボスキャラに挑むこの状況で。


「だから、ゆーきが闘うんだよ。みんなはチームなんでしょ? 1人がダメなら力を合わせなきゃ」


 これでは足手まといにしかならない。


「……そう、私も言おうと思っていました。1人でやらせてくれと」


「──ユウキ?!」「──ユウキさん?!」


 ユッキーは何を言って……。

 志乃(しの)ちゃんも亜李栖(ありす)ちゃんも驚いてる。


「1人で行きはしません。しかし、1人で闘わせてほしい。(みやび)たちにはそれを見ていてほしい」


優姫(ゆうき)……ミヤビちゃんなしでやれるのか?」


 そんなの認められるわけない。

 一緒にいて見てるだけなんて出来るわけない。


「──はい。私があの怪物を殺します」


 でも、ユッキーは本気だ。

 今の殺すには何の混じりけもない。冗談でもない。


 本気の本気でそう思ってる。


「実を言うとあの瞬間、私の剣は当たれば(、、、、)あの怪物を殺せていた。血の一滴も流れていないあの怪物を。弱点も分かっていますし……。何より、同じ相手に二度の敗北など私は自分に許しません」


 尽きない魔力。それでできている身体。

 元からある肉体の能力に魔法。

 魔力は攻撃にも転じ、魔法にも変わる。


 1人で完結している生き物。

 戦うという点において一切の無駄もない。まさに怪物。


「雅は1人で背負いすぎです。世界なんてものを1人で背負っては潰れてしまいますよ? ですから、明日は私に任せてください。信じてください」


 信じてください。とか言われたら信じるしかない。

 もう大したことは出来そうにないし……。


「わかりました。ユッキーを信じて任せます。志乃ちゃんも、亜李栖ちゃんもそれでいい?」


 これは初めてかもしれない。

 誰かに何かを任せるなんて。


「ウチらは一瞬でやられてるからな。嫌だと言ってもな……」


「はい……──しかし、それならそれでやりようもあります! みんなで露払いでもしましょう」


 そうだね。ユッキーの邪魔をさせないように、ユッキーのフォローをしよう。


「ミヤビちゃんは無理だろう。フウのせいで一般人になってしまったぞ?」


「風を50。水を50。それぞれ封じたから、みやびに残る魔力はカスくらいだよ!」


「力の制御が出来ていれば良かったのにな。これでは1パーセントの制御どころではない。全開でやって1パーセントくらいしか力はでないぞ」


 そんな気はしていたけどさ。

 1パーセントでは魔法なんか使えない。


「ねぇ……これは怒っていい案件だよね?」


 言ってくれれば良かったんだ。

 そうすれば納得したかもしれない。


「相談なしにやったからな。流石に止められないな」


「ふふふふ、覚悟があってのことでしょうから大丈夫でしょう」


 殴ったり、叩いたりはしない。

 でも罰は必要だと思うんだ。


「フウ。これでは私も雅たちを止められません」


「諦めろ。滅茶苦茶にされて反省するんだな」


 撫でるのと抱きつくのは禁止されているから、どうしようかな? くすぐろうかな? 全力で。


「……嘘だよね? しの? ゆーき? 2人はフウを助けてくれるよね?」


「──フウちゃん」


 あたしが正面を。亜李栖ちゃんが後ろを。


「ひっ──?! その手の動きはなに? 小学生に何をするつもりなの! 犯罪だぞ! 通報するぞ!」


 フウちゃんは後ずさるが、亜李栖ちゃんにガッチリと捕獲される。

 これがチームプレイというやつだ。今のは口に出さなくても分かった。


「大丈夫だよ。少しくすぐるだけだから……」


「ちなみに、雅さんは手先が器用なので、指がそれぞれ別な生き物のように動きます。もうスゴイです」


 以前にふざけあって、これをやった事がある。

 二度とやるな! と志乃ちゃんに怒られてた。

 以来、封印してきたが他は思いつかないから。


「ごめんなさい。ほら、謝ったから許して?」


「フウちゃん。世の中には、謝って済む事と済まない事があるんだよ。一個勉強になったね」


「にゃ、にゃーーーーーーーーーーっ!」


 フウちゃんをくすぐり倒しました。

 もうこれでもかというくらいに、くすぐってやりました。


 息は切れ、涙流し、ごめんなさいを繰り返してもやり続けてやりました。あたしはとても満足しました。


 この後、フウちゃんは部屋に閉じこもってしまった。

 ご飯になったら呼びにいこう。カギは壊れたままだから。



 ♢



 フウちゃんをくすぐり倒し、真面目に明日の話をして作戦会議は終了した。

 フィールドの加護とやらで死にはしないのであたしも行きます。ユッキーの邪魔にならないようにします。


 夜の練習はやらないと姉が言っていたので、今日はもうご飯を食べて寝るだけです。なので、明日に備えて休むというか、すでにお昼に3日分は戦ったと思う。


「しかし、ミヤビちゃんはいらない子……」


 フウちゃんに装着されたリストバンドの枷は大きい。自由が効かないくらいに。


 ……てっきりミヤビちゃんスペシャルで倒すんだと思ってた。あれなら黒ブタマンだって倒せたと思う。

 雲母(きらら)さんには効かなかったけど、姉は黒ブタマンより強いから。


「はーい、みんなお薬の時間だよ!」


 ソファーでゴロゴロして、コーラを飲みながらテレビを観ていたら、隣のオフィスのドアが開いた。

 明らかにおかしなセリフと共にだ。


 あと、テレビを観てはいるが内容は頭に入っていない。みんなに心配されないように平静を装っているだけだ。


「「「…………」」」


 テーブルで学校の課題をやっていた志乃(しの)ちゃんたちも、おかしなセリフを言った姉を見ている。誰も何も言わないけどね。


「ほら、飲め」


「飲むわけないじゃん。なんだその液体……」


「いいから飲め。ユウキにモテるようになるぞ?」


「──いただきます!」


 惚れ薬なのかな。そんなものが実在するとは。

 水の魔法にあるのかな?

 見るからに真っ青な液体にそんな効果が──


「何かも分からずに飲むな! バカなのかお前は!」


「今のは卑怯です。(みやび)さんには特に」


 コップに入った液体に手を伸ばしたら止められた。


「ちっ──」


「また騙したな!」


 くそーーっ、一瞬我を忘れてしまった。

 この姉はちょっと油断するとすぐこれだ。


「なんなんですか。この合成着色料は一切使用していません、とは絶対に言えない液体は?」


 青い。青汁とかの青ではなく本物の青。

 コップの向こうが見えないくらいに青い液体。


「ある種のポーションというやつだな。調合してみた。これ飲んで明日に向けて力を付けてほしい」


「せっかくだけどHPはMAXだからいらないや」


 お断りしよう。

 危ない薬を飲んで死亡とか洒落にならない。


「ミヤビちゃん。私は何もできないから……。これくらいしか、みんなにしてやれる事がないから。だから……」


 うわぁ、嘘泣きだ。

 普段そんなキャラじゃないじゃない。


「そんなに思いつめていらしたなんて……」


 ──亜李栖ちゃん?!

 バカな。こんな芝居に騙されるだと。


「せっかくだから貰おう」


 ──志乃ちゃん!?

 普段とのギャップか? あまりの違いにか?


「飲むの、その液体を飲むの? 2人とも騙されてるよ!」


 たしかに心配はしていると思う。

 作戦会議後も、あれこれユッキーに言っていた。

 その姿は姉と言って間違いないものだった。


 みんなそれを見ていたし、真面目な顔をしていたし、けどね──


「──いいから飲め!」


「──むぐっ!」


 渋っていたら無理やり口に入れられた。

 液体がコップから口に向かって飛んできた。


 こんなことができるなら、どうやっても逃げようがなかったじゃん。そしてマズっ……くはない。むしろ甘い。


「……何味だ?」


「何味かはわからないけど、甘い」


「成功か。良かった良かった」


「──おい!」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ