買い物
♢22♢
すぐに雲母さんに連絡した。
世界は現在、どのくらいのピンチなのか聞こうと思ってさ。そしたらね。
ユッキーもいろいろ知ってたし、志乃ちゃんたちも知ってた。
あたしだけ、また何も知らなかったらしい……。
これは他にも知らないことがありそうな予感。
ピエロとふわふわは、普通に帰っていった。
次はラーメン屋に行くと言ってた。
あんなにかき氷食べて、マジでラーメン食べるんだね……。
あたしたちは、かき氷屋さんを出て駅前まで戻ってきたところ。
♢
「──本当に世界は終わらないの? 朝起きたら死んでるとかない?」
「ない。空にゲートが無い限りは大丈夫だと聞いた」
「だから安心しろとは言えないですが、今は目先の買い物です。衣類から買いますよ。雅さん、何もないんですから……」
そんな場合じゃなくね?
能天気にお買い物してて最後を迎えるとか嫌だ。
一刻も早くなんとかしないとじゃないの?
方法とか何も分からないけど、とにかく行動しなきゃいけないんじゃないの?
──世界のピンチなんだよ!
「私も服を買ってこいと姉さんから言われました。ちょうどいい3人がいるからと。どういう意味なのでしょうか?」
ユッキー、それはつまり……。
「──よし、すぐ行こう! 服を買いに!」
「世界の危機はどこにいったんだよ……」
「そんなことよりユッキーの服の方が大事!」
世界はなくならない! そんなに簡単には終わらない。だから、この話は終了!
「いや、まずは自分でしょう……。下着すら満足にないのに」
雲母さんナイス。
ユッキーにどんなのが似合うのか、真剣に考えなくてはいけないね。
──予算はある。
高いのを着せればいいというわけではないが、安くていい理由もない。これは、いろいろ見て回らなくてはいけないな。
「あたしなんて安売りのやつでいいよ。それよりユッキーだよ。とりあえず移動だね。どこ行く? 原宿とかいく?」
「まあ、渋谷じゃないか?」
「そうですわね。安売りではないですけど、雅さんは数がいりますし、大型店があるところがいいでしょう。道玄坂店が広かった気がします」
よし、目的地は結果した。
渋谷に行こう!
♢
移動には当たり前だけど電車。
何この迷路。とたまに思うけど、大きな駅には最悪ずっと電車に乗っていれば着くと思う。
しかし、あたしたちに方向音痴はいなかったらしく、迷わずに渋谷まで到着した。
「ユウキは電車とか乗るのか? ウチらは通学に電車使うからほぼ毎日乗るし、遊びに行くにもよく乗るけど」
「えぇ、乗りますよ。初めは迷いもしましたが、今では問題なく」
「帰国子女というのも大変ですわね」
そう……ユッキーは帰国子女らしい。
帰国子女なユッキーは学校に通っていない。
本来なら高一だけど、帰国子女らしいから行かないのか、夏休み終わりから編入とかするのかは不明だ。
ちなみに、あたしは帰国子女というのは嘘だと思う。
ただの感……。でも、そんな気がする。
──聞かないけどね! 嫌われたくないし! 嫌われたら死ぬし!
「かき氷にだいぶ時間使ってしまったから、はやくいくよ」
「誰だよ。かき氷、食いに行きたいって言ったのは!」
「志乃ちゃん。あたしだけが悪いと言うのかい? みんなだって、かき氷美味しかったよね?」
「ほらほら、ケンカしないでいきますよ。すぐ夕方になってしまいますから」
行列に並んでいたからもう14時過ぎてる。
それともピエロ野郎のせいだろうか?
あー、結局あいつにスプーン刺さなかったな。別にいいけど。
♢
「……広っ。そして人多っ。もう、ここで今日終わりじゃない? 何ここ……」
「大型店だからな。限定商品とかもあるし人が多いのは仕方ない。それに夏休みなのもあるな」
志乃ちゃんの言う通り、若い人が目立つ。
都内には他にも沢山店舗あると思うんだけど、みんなここに来てるの。これは?
「雅さんの言うように、歩き回らずに今日はここだけで済ませましょうか? 明日明後日と休みですし、どちらか朝から出掛けることにしますか?」
「そうだねー、そうしようか。ユッキーはいい?」
「はい。これといって予定もないですし、構わないです」
なら明日もお出掛け。ということで。
──いざ人混みの中へ!
……………………。
「はぐれるー、人混みに攫われるー。みんな助けてー」
出入り口付近でいきなりこうなった。
入りたい人。出たい人によって、揉まれて押し戻される。
「ほら、手を出しなさい。遠慮しているから前に進まないんです」
そう言う、遠慮しないユッキーに手を握られた。
急にこんなことされるとちょっと困る……。
「あいつは何をやってんだ……。それで、どっから見ていくんだ?」
「雅さんが言い出したら聞かないので、ユウキさんの服から。そこで雅さんにも着させます。志乃さんもカゴお願いします」
「あぁ、それはいいんだけど……亜李栖はどうして目が本気なんだ?」
「──服に無頓着なのが2人もいるんです。1人くらい本気でいかないとダメだからです!」
「雅は自分よりユウキに。ユウキは本当に無頓着みたいだからか……」
そうなんだって。大変だねー。
……………………。
「ダメ。はい、次はこれ着てください」
次の服を手渡される。もう何度目なのか覚えてない。
「いや、亜李栖ちゃん? あたしもユッキーの服選びたいなー、なんて?」
「早く着てください。まだまだあるんですから……」
──こわい。
あたしは、この子に何も言えなくなりそう。
助けを呼びたいけど、志乃ちゃんは志乃ちゃんで次々と服を持ってくるし、隣のユッキーは人形のように着せ替えしている。
あたしもユッキーと変わらない状況だけど、隣に参加したい。しかし、聞き入れてはくれないだろう。
「雅さん? は、や、く」
「──はい!」
黙って着替えよう……。
着せ替え人形体験の自分の分を早く終わらせて、ユッキーの方に参加しました。
3人それぞれ選んだし、お揃いもゲットしたので満足です。
♢
「今日はこんなところでしょう。夏場の衣類はこれで大丈夫ですね。秋物は来月になったらですね。また、みんなで来ましょう!」
本気の亜李栖ちゃんにより、買い物はつつがなく終了しました。疲れた。
「そうだね……」
「はい。でも、服を買うだけで2時間以上掛かるとは思いませんでした」
そうだね……あんなに着させられるとは思わなかったし、下着まで時間かけてだし。本当に大変だった……。
「ユッキーは平気そうだね。あたしはもう死にそう」
「何言ってんだ。ほらよ──」
迎えの雲母さん待ちとなり、休憩していたあたしたち。自販機に飲み物を買いに行っていた、志乃ちゃんが戻ってきた。
「──おぉ、コーラさん。志乃ちゃんありがとうございます」
「ほら、2人も」
缶の飲み物を1人で4本。さて、志乃ちゃんはどうやって持ってきたでしょう?
正解は……2本ずつ積んで両手で。でしたー。
志乃ちゃんらしい。
「すぐそこだとはいえ流石だね。袋を持っていくという選択肢はなかったのかい?」
「……ないな。4本くらいなら手で持てるだろ?」
♢22.5♢
試してみよう。
プレイヤーにではなく人間に。
本当に死ぬのかを。本当に殺せるのかを。
……やっぱり銃がいいな。
刃物も試してみたが、あれは感触が手に残る。
血も出ないから嫌な感触が残るだけだった。
対して銃は手に反動が残るだけ。
血は流れないが……それは昨日までの話だ。
フィールド外でも魔法を使える……。
まさか、裏ワザが存在するなんて思わなかった。
奪うことができるなら、与えることもできたわけだ。感謝しないとな……あの影には。
さて、どいつにしようかな?




