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闇の帝王の烏  作者: 海道 香魚
第一章
9/75

烏の買い物

お読み頂き、ありがとうございます



私情で4月から投稿が遅くなります。

申し訳ありません...

あまり間を開けないように

頑張りますッ



お腹を満たしたわたしたちは馬車を置いたところまで戻る。

あのままのんびりと座っていたらうたた寝してしまいそうだった...


馬車の中で丸くなって寝ているヨルを撫でてる。一緒に連れていこうか悩んだが、内獣はこちらの世界ではお腹が空かない。ただお腹は空かないけれど、デザートは食べれる、くらいの感覚らしい。 猫の姿のヨルはかわいいから、他人に撫でられまくるだろうな、とも考え留守番を頼んだ。


「ただいま。待たせてごめんね。」


ヨルを抱き上げて、腕の中に収める。家を出てから、ずっとこの形でいたせいか、なぜか落ち着く。



一方のリオは、馬車を動かす準備をしているようだ。これから仕事だろうか。


「アリス、鐘が3回鳴るまで、自由行動にしようと思うんだ。」


「リオ、お仕事は?」


「アリスには次回から手伝ってもらいたいんだ。今回の商談が終わり次第、屋敷に帰るから、そこでお金や商品の扱いを覚えてもらうよ。」


なるほど。いきなり子供に仕事させるなんてことはしないのね。少し身構えてしまったが、今回は安心して良い様だ...


「はい、これ。少しだけれど、お小遣い。何も持たない状態で家から出てきたみたいだから、洋服や好きな物買っておいで。買ったものは俺のものじゃなくて、アリスのものになるからね。」


好きに使ってきなよ、と笑顔で袋を渡された。なにこのイケメン....。わたしを甘やかしすぎてはいないか?


「えっ、その、本当にいいの...?」


「構わないよ。俺がいいって言ったんだ。好きに使ってくるといい。大体はそれぐらいで足りると思うけど...まぁ、女の子の服の相場は分からないけどね。」


本当は一緒に買いに行ってあげたいんだけどねぇ、と嘆いた。いや、女の子のお買い物って長いし、疲れるからやめておいた方がいいよ、リオ。



そしてまた密かに、これも後で給料からしっかり返そうと決心する。無料ほど高いものは無いのだ。



「気をつけてね。ヨルという騎士がいるから問題は無いかもしれないな。

じゃ、いってきます。

またここに鐘が3回なる頃に集合だよ〜」


リオが馬車で行くのを見送り、わたしは渡された袋の中身をそっと見た。

しかしながら、わたしは硬貨の価値を知らない。袋の中に数枚少し小ぶりな金貨と金貨より大きなサイズの銀貨が5枚づつ入っているが、どれぐらいの価値なのだろう。


お店で、硬貨を出した時の反応などで読み解くしかないか。とりあえず服屋さんを目指そう。


近くのカフェの店員さんに服屋さんを聞く。

わたしはこれから商売に携わるから、あまり貧相な服は良くないだろう...商売をする時は見た目から大切だと思うし。

少し高いけれど、質のいいお店を紹介してもらう。


「すぐ目の前の門を右へ曲がったところの手前側に小さいけれど、可愛らしい、"フェルナール"というお店があるわ。」


思ったより近くにあったようだ。

善は急げ!

すぐに礼を言って、訪ねてみる。


「呉服店フェルナール 〜質の良いお洋服を幅広く取扱っております〜」、と看板に書いてあるが、まるでメルヘンなセレクトショップのような外見だ。若干濃いめの青と白のストライプの壁に、看板には華やかなリボンの絵が描いてある。


チリンチリーン


ドアを押して入ると、花柄にレースのストライプが入った壁紙に、白を基調とした家具がメルヘン感が溢れさせている。



「いらっしゃいませ。フェルナールへようこそ、かわいらしいお嬢さん。本日はどのような服をお求めかしら?」


いかにも貴婦人というような綺麗な方がここのお店の方のようだ。


「わたし用の他所で着ていても、素敵に見える服をお願いします…」


もちろんよ、と貴婦人は微笑み、5着、わたしのサイズのワンピースを持ってきた。


持ってきて下さった服はわたしの今の髪色と合う、紺色の綺麗なワンピースや、淡い花のようなふわふわした黄色いワンピース、濃い紫から上にかけてラベンダー色になっていくワンピースなど、色も形も様々だ。


「まずは試着をしてみてから、

お決めになられたら?」

と進められるがままに試着をした。


そして、一番気に入った、紺色のワンピースに胸元に少しだけ金色の刺繍の入ったものと、白い使い勝手の良さそうなレースのワンピースをお願いする。


あとは少し田舎の町娘のような印象を受ける、家から持参したワンピースでいいだろう。普段使いには充分だわ。


この世界の女性の装いの主流はワンピースだ。シャツにスカートだと、着まわせるからいいな、なんて考えていたが、お店に置いていないあたりを見ると、やはり、シャツにスカートは駄目なようだ。


綺麗な貴婦人に、お願いしたワンピースのお会計をお願いする。


「このお二つで、

大銀貨2枚、頂きますわ。」


硬貨はそのままの呼び方だったらしい。単純で助かる。

この袋に入った大きな銀貨が、大銀貨だろう。それを2枚出し、貴婦人に渡した。


「お買い上げありがとうございました。またいらっしゃってくださいね。きっと貴方は綺麗になるわ。」


最後に息をするように褒められ、1人赤くなる。


「...アリスー?

もうそろそろ集合の時間だよ。」


お店の中ではわたしの異空間に居てもらったヨルがふわっと足元の影から出てきた。


「あ、本当だ。たしかにワンピースを言われるがままに着すぎてしまったわ…」


1回目の鐘が鳴り響き、ますますわたしを急かす。



せめて靴だけは買いたいところだ。

この一足だけでははつらい..



急いで、靴屋を探す。


靴、くつ、靴...あったわ!


視界の端に入った靴屋まで走り、一番丈夫そうな焦げ茶のブーツを買った。大銀貨一枚を支払い、また来た時のように走って待ち合わせ場所まで向かった。

3回目の鐘が鳴るくらいにやっと、見覚えのある馬車のところへたどり着く。


待ち合わせ場所には笑顔のリオさんが何故かわたしのように買い物袋を馬車に乗せながら待っていた。


ヨルは内獣ですので、勝手に違う世界とこっちの世界を行き来できます。が、アリスが驚かないように事前に言っています。

健気です。


アリスは実はリオに甘やかされるのに少し慣れてきました。

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