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闇の帝王の烏  作者: 海道 香魚
第一章
8/75

烏と商人 続

お読みくださり、ありがとうございます。

お暇つぶし程度にお読みいただければ幸いです…


今回初めてのパソコン投稿で、どきどきしています。



もうそろそろキャラクタープロフィールを書こうかな、と思っております。




「俺たちと一緒に商人をしないか?」



 う、ん…?


 リオさんは優しいし、”職探し”くらいは手伝ってくれるだろう、と確信してはいたけれど。まさか、一緒に働こう、と誘ってくれるとまでは至らなかった。この世界で約6年間、家から出たことないのだ。1人で売り買いはしたことはないし、お金なんて一度も見たことが無い。一般的な同世代なら、少しはお手伝いとして役に立つだろうが、今の私だと完全にお荷物状態だ。


 でも正直言うと、お誘いに乗りたい。

わたしのような幼い子供が一人うろうろしていては怪しまれるし、すぐに人攫いに遭ってしまうだろう。王都を出て働けたとしても、事情を深く詮索されたりしそうだ。少しでも情報が漏れれば、アギオ家は容赦無く、わたしを連れ戻しに来るだろう。

やはり、リオさんと行くのが最善策かも知れない。


だが、リオさんがなぜわたしを誘うのかが気になる。

本当は人攫い? 実はロリコン? 何か魔法とかの実験体にする? 

本人にストレートに聞いて見るか。


「リオさん、是非とも一緒に商人したいです。

ただ、その、なぜ”わたし”を誘ってくれたんですか?」


「別にわたしじゃなくても良かったんじゃない?って顔をしてるね。アリスちゃん、君を見ていると昔の俺を見ているみたいだって言ったよね。」


「はい、ついさっき言ってましたね。」


「それが理由だよ。初めて俺に似ている人と出会ったよ。

外見とかじゃなくて、根本的な部分が”昔の俺”に似てる人だなって思ってさ。嬉しかったんだ、この時代にも同じような考えの人がいるんだって。」


がばっとわたしの両手を手に取り、情熱的に続ける。


「一緒に商人しないか?

もちろん儲けはそれなりにあるから、いい給料を出してあげらるよ。

あぁ、無理強いはしないけど…」


 他から見れば熱烈なプロポーズとか口説かれているように見える…くらいの情熱だ。

前半は何を言っているかあまり意味はわからなかったが、意味的には”老人が自分の若い頃にそっくりな若者を支援する”、みたいな感じだろうか。そう考えると、少し納得できる気がしてきた。


 折角の機会だ、乗ってしまえ。

お金もないし、人望もない。知識もなければ、居場所もない。

そんなわたしを誘ってくれているリオさんに感謝しなければいけないくらいだ。

もし騙されていなければの話だけれど。



まっすぐリオさんを見つめ、にこりと微笑んだ。



「こんなわたしでよければ、ぜひ!」



と言った瞬間、”ぐぅ”とわたしのお腹の虫が空腹を訴えた。



…どこか穴があれば、入りたい。




……



わたしとリオは今、屋台を見て回っている。


道中、わたしとリオは互いに、名前呼びと敬語をやめようという話になった。妹としての設定を貫くのにも丁度いいかななんて思ったりもした。が、よくよく考えれば、随分な年上相手に呼び捨てだなんて生意気すぎると思う… 日本の感覚なだけかもしれないが。



 屋台からは香ばしいお肉の匂いや、甘い果実のジュースの香り…どれも魅力的で、特にお腹が空いていると全て美味しそうに見えるのだ。どれも見たことのない食材ばかりだし、あれこれ見て回っても楽しいだろうな。もう食べ物の今年か考えられない…



リオが目の前の屋台を指差し、魚は大丈夫か、と聞いた。


「魚大好きよ。ここは何のお店なの?」


「ここは魚のピーナ焼きの屋台。

ここの魚のピーナ焼きは特にだけど、ここの果実も新鮮で美味しいんだ。」


ここの屋台はおすすめだよ、と言って、

リオは気前の良さそうな店員のお姉さんに2つ注文した。


「魚のピーナ焼き2つで銅貨2枚よ。あら、お兄さん男前ねぇ。横にいる可愛いお嬢さんは妹さんかしら。」


「妹にここの絶品ピーナ焼きを食べさせたくってね。」


「男前にそんなこと言われると嬉しいわ。絶品って言ってくれてありがと。

うふふ、この果実はサービスよ。」


わたしに可愛くウィンクして、果実をわたしに、ピーナ焼きをリオに、2人分づつ渡した。


「わぁ、ありがとうございます!」


礼を述べ、リオは銅貨2枚をポケット出し、お姉さんに渡した。


「毎度あり、またいらっしゃいね〜。」




 受け取った果実をまじまじを見てみる。手にすっぽりおさまる、丸い果実。淡いピンク色だが、香りは甘酸っぱく、苺に似ている。どんな味がするんだろう。あれ、リオが目の前にいない。


「アリス、こっちだよ。」


斜め前から声がして、我に返った。

危ない危ない。ぼーっとしていたら、こんなに人がいるところだと簡単にはぐれてしまう。



少し人気のないベンチに二人で座り、ピーナ焼きを頬張る。


…この世界でこんな美味しいもの食べたの初めてだ。


と思うくらい美味しかった。甘い味噌のようなソースがかかっていて、香ばしく少し塩辛い味の魚にぴったりマッチしている。魚の表面はパリッとしているけれど、身は熱々ふわふわで、美味しい。


リオに美味しい、ありがとう!を連呼した。

お金はあとで、給料分からしっかり払わなきゃ。



 今まで出て来たご飯はあまり味がついておらず、薄味だった。きっと「こういうもの」なのだろう、と思って食べていた。だが、今考えてみれば、わたしには最低限の食材を使った最低限のご飯を出されていたのか。そうよね、わたしなんかの為に使う食材なんて無いか。別に恨んでいるわけでは無いが、許しはしない。



わたしとリオはピーナ焼きはあっという間に食べ終えた。

…リオの言っていた通り、本当に絶品だった。


わたしは膝に乗せていたピンク色の果実をリオに手渡す。


「リオ、この果実ってなんていうの?」


「この果実はペアーと言って、こうやって皮を剥いて食べるんだ。」


と言って、みかんのように皮を手で剥き、わたしに差し出してくれた。


 ありがとう、と受け取り、かじってみる。あ、ぶどうの味だ。

苺の香りのする丸い果実はぶどうの味がする…なんとも不思議な感覚だ。剥いてもらったから、今度はわたしが剥いてあげよう、と思ったが...皮が硬く、わたしではさっぱり歯が立たなかった。剥くことをあきらめて、果実をリオに渡す。


「思ったより硬いんだね…」


「ふふ、コツがいるんだよ。」


スルスルと皮を剥く姿を凝視する。



ふわっと笑い、優しげな口調で話す商人、リオ。

なぜかわたしをすごく可愛がってくれる。



能ある鷹は爪を隠すっていうくらいだし、

実はリオって相当実力者なんじゃ無いかしら。

補足:お金『ラブロ王国のお金を日本円で考えると?」

大金貨1枚、10万円

小金貨1枚、1万円

大銀貨1枚、1000円

小銀貨1枚、500円

銅貨1枚、100円


となっています。



今までの話でも、説明のところがたくさんありすぎて、

ここよくわからない、というところが御座いましたら

コメントにてお気軽にお聞きください。


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