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闇の帝王の烏  作者: 海道 香魚
第一章
3/75

烏とドラゴン 続

お読み下さりありがとうございます。


「あなたは誰かしら」


「ああ。それなら...

お主が一番よく知っているはずだ。 」


長く黒い尾を左右揺らしながら、子ドラゴンは答えた。


そういえば、体の中の血液...ではないけれど、なにかじんわりと力の流れのようなものが感じ取れるようになった気がする。大地から受け取り、体を巡り、私達の力になる感覚がしっかり伝わってくる。


これってもしかして...!

本で読んだことある...!


「もしかして...

これが魔力なのかしら...!

まぁ...! 気が付かなかったわ!」


...すごい!魔法がこれで使えるようになるのか!すぐにでも使ってみたいけど、少し怖いな。詠唱が必要なのよね!初めてはどういう魔法がいいのかしら。


すごい、すごいわ! と、1人興奮しているわたしに、子ドラゴンは困惑の表情を浮かべている。


あっ、ごめんなさい...

つい魔法に興奮してしまって、子ドラゴンのことをほうっておいてしまった。

こほん、と子ドラゴンの方へ向き直る。


「あなたはわたしの内獣なのね」


「そ、そういうことだ、主。

その...、我の質問にも答えてくれ。

召喚に応じる時にお主の頭の中が垣間見えたのだ。我によく似たドラゴンが...」


少し悲しそうな目をするかわいいドラゴンを見て、わたしは知っていることを話す。

もちろん、少し曲げるけど…

そのうち全部話せる時が来たらいいな


「わたしは夢で見たのよ。あなたよりもっと大きいけれど、見た目はそっくりな黒いドラゴンを。とても強くてかっこいいの。

その...あなたの父上かはどうかは分からないけれど…」


RPGで出てきたドラゴンがお父さんでは絶対ない、とは言いきれない。もしかすれば、この世界から向こうの世界への転生者が作った可能性だってあるだろう。


お父さんでなかったのが申し訳なく感じ、俯く。

だが、ドラゴンの声色がとても優しくなり、安心したのがわたしでも分かった。


「ありがとう。ぼくの父上に会えた気がして嬉しかったんだ。」


急に子ドラゴンらしい少年のような口調になる。きっと初めての人に対して緊張と大人らしく振舞おうと無理をしたのだろう。


偉いなぁ... なんだか、撫でてあげたくなる...


「ふふ。いつもはその口調なのね。 その方が親しみやすくて助かるわ。」


「あ。」


子ドラゴンは気が抜けて、自分の口調に気が付かなかったようだ。

おろおろと焦る姿もなんてかわいい…


「これからわたしとは親友よね。今日は一晩中、お互い、どういう風に生きてきたかを語れたらいいな、と思うのだけれど...どうかしら?」


「賛成だよ!」


嬉しそうな子ドラゴンを見て、わたしも嬉しくなった。

くるり、と子ドラゴンは猫のように丸くなると、尻尾の上に座るように促した。

ドラゴンを触ってみたい好奇心に押され、座ってみる。

おぉ...! 遠くから見るとツルツルに見えるが、近くで触ってみると鱗は微妙にザラザラしている。遠慮なくペタペタと触ってみたいが、自己紹介すらしていないのにそんなことはできない。


「わたしはアリスィア、アリスィア・アギオよ。アリス、で構わないわ。これからはわたしのことはそう呼んでね。」


「あの...アリス...

ぼくからお願いが1つあるんだけど、いいかな...?」


少し顔をくっつけての上目使い...

こんな風にお願いされては、歳上(精神年齢)は断れるわけがない。かわいい。


「もちろん。」


「ぼくに...

名前を付けてくれないかな...」


話を聞くと、子ドラゴンには亡くなってしまったが家族がいたという。ドラゴンは特に長寿であるため、色々な魔法実験の材料や不死の力を得られると信じたやからに狙われる、生きた高級素材。だがドラゴンを内獣に持つ人はそうそう居ない。見つけたとしても、国で守られていたり、護衛が付いていたりする。

そんな希少なドラゴンの内獣がとある森に貴族と平民の駆け落ちした夫婦の男女の双子のところに召喚されたという。そのドラゴンは子ドラゴンの親であった。

強力な魔力を宿してしまった子供の存在は隠せるはずもなく...

内獣に召喚主の性格は知らされても、状況や家庭事情までは知らされない。

生まれてすぐの子ドラゴンは親の帰りを待った。 だが帰ってくることはなかった。 名前をつける前に居なくなってしまったのだ。

そして月日が経ち、自分の波長に合う、黒髪の女の子が現れた。人間に恐怖を抱きつつも、自分と同じ黒に共感を覚えた。勇気を出した矢先に自分とそっくりなドラゴンのイメージをわたしから見たのだ。

両親の姿をほとんど覚えていない子ドラゴンにとって、懐かしく感じる姿だったそうだ。


わたしの部屋の防音や魔力を感知させない魔法が付いているのに初めて感謝した。

わたしの和やかな時間を保てているのはこの魔法のおかげだものね...


「名前かぁ…」


真っ黒だから"クロ"...だと流石に猫のような感じがしてしまう。

英語にしてみる?

"ブラック"はわたしが呼びにくいし...

そわそわと待つ子ドラゴンは落ち着きなく、翼をパタパタしている。

あ、翼の内側って深い藍色なんだ。

夜の空みたい

夜....よる...


「ヨル...、ヨルにしよう!」


単純だけれど、シンプルでわたしにとっては呼びやすい。この世界でもおかしくはない名前でもある。


「あなたの名前に ヨル はどうかしら。」


「ぼくがヨル...。ヨル!」


ヨル、とわたしも呼んであげる。


嬉しそうにわたしに頬擦りをした。

気に入ってくれたのは嬉しいけれど

そこまで喜んでくれると思っていなかったな... 本当にかわいいドラゴンだ。


「アリス、ぼくの名前はヨル。

改めて、よろしくね。」


かわいい子ドラゴンは今日から、

わたしの親友ヨルになった。


そしてそれからわたしは自分の身の上も、ここから自由になるための計画も全て話した。

誤字脱字ございましたら、コメントお願いします涙


アリスは ドラゴン<魔法 でした。

魔法への憧れが勝ったみたいです...

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