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闇の帝王の烏  作者: 海道 香魚
第二章
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烏と驚き

お読みくださり、ありがとうございます。


今回は残虐、少しグロい、シーンが含まれている会となっております。

ご了承くださいませ。

山賊たちはわたしたちをちらりと見つめて、談笑し始めた。

勝利が確定した、とでも言うような圧倒的な力差に酔っているのだろう。


 反抗的な態度を取らず、ただただ従順に縛られ、馬車から降ろされる。

リオが反抗しないなら、わたしも暴れたり、反抗的にするべきでは無いのだろうと察す。大人しく、少し怯えたような態度を取っておいた。



「兄弟か、いい値段で売れそうじゃねぇか!」


「兄弟揃って、不運だよなぁ!こんな目に会っちまうなんてさぁ…はははは!」


「でも、山頂まで行って一つの村だろ?獲物としては小さいと思ってたんだよな。

丁度襲う前に、獲物が自ら飛び込んで来るんだからよォ!」



 嬉しそうに騒ぎあい、馬車に積んである一つの袋に手を出そうとした。

すると、パチン、と横のリオが指を鳴らした。その瞬間、鋭い風を切る音とともに、山賊たちの頭部が宙を舞っていた。一瞬のうちの出来事で理解が追いつかない。山賊たちの頭が無い……。

 頭部を失った体は、そのままバタバタと倒れてゆく。そして、空からゴトゴトと頭部が鈍い音を立てて地面に叩きつけられていった。赤い雨がパラパラと降ってきた。まるで映像でも見ているかのような気分だ。


 山賊たちとは少し離れたところに、リオと共に縛られ、置いておかれた。その後、山賊たちは馬車へ群がり、何が入っているのか物色していた。わたしたちのことを不運だの、村を襲おうとしただの、騒いでいた。そこからは何が起こったのか、わたしにもよくわからない。その場所にいたのに。


「さて、出発しようか。付き合わせちゃったねぇ。そうそう、”山賊”ってこういう奴らのことだからね。すぐに村を襲って、殺しをするし。遠慮なく殺しちゃって大丈夫なんだ。むしろ、ギルドとかから感謝されるくらいさ。これからたくさん旅をしているとたくさん会うだろうね。さっきのはそのことを教えるいい機会になったかな?」


 あはは、とリオは笑いながら、立ち上がる。


あ、縄が解けてる… いつの間に…?

それに、赤い雨が降っていたのに、馬車には汚れ一つ付いていない。

さっきの魔術のことも聞きたい。


リオの謎は深まるばかりだが、きっとわたしの知らない魔法なのだろう。

今まで一緒に旅をしてきたが、わたしのカンが信頼して大丈夫と訴えているし。


 わたしはリオのことを怪しいとは思ってはいるが、嫌いでは無い。むしろ、さっきのさっぱりと人を殺したところを見て美しい、と好意的に感じた。人を殺したというのに。わたしもおかしいのだろう。



「とりあえず、村に急ごうか。アリス、ごめん…

俺が遊び過ぎちゃったなぁ。日が暮れる前に村に着こう。」



「あ、うん!」



さっきのことを聞いてみたいが、全て、村に着いてから考えることにしよう。





 そこから馬車でしばらく行くと、小さな村が見えてきた。

一軒一軒、家は立派な木造で、楽しそうな村人の声も聞こえてくる。小さい疎外的な村なのか、と考えていたが、むしろ逆だったようだ。小さいが、互いを助け合って、生活をしている温かい村だ。



「リオ様だわ!」



 村の一人の女性が嬉しそうな悲鳴をあげると、他の村人たちも、嬉しそうに集まってきた。



「リオ様、おかえりなさいませ!」



「どうぞ、良かったらお屋敷にこの果実をお持ちください!」



「リオ様、何でも仰ってください!」



リオは嬉しそうに微笑み、わたしを撫でた。



「みんな、ただいま。新しい面子だ。」



リオの後ろにこっそり隠れていたわたしを頑張れ、と前に押し出した。

その前に説明をしてほしいところなのだが。



 アリスです、と完結に自己紹介をしただけなのに、ワッと村人が喜んだ。

物凄い歓迎っぷりだ。わたしの髪色が今、紺色なのも効果があるのだろう。



「とりあえず、宿を用意してもらってもいいかい?

アリスは長旅で疲れているだろうし。驚かせちゃったしね。」


周りの村人も、早く休んでくださいね、など優しい言葉をかけつつ、家に帰っていく。


「もちろんでございます。こちらの宿へどうぞ。」



すぐに宿に通され、部屋へ案内される。


「リオ様、アリス様、こちらがお部屋となります。ご自由にお使いください。

そして、何かあれば、下のカウンターまでお申し付けください。」


とても礼儀良く、若い宿の店主がお辞儀をして去っていった。



「この村のことをまずは話しておこうかな。

この村は俺たちが山賊から守ったことが何回かあってね。内獣を飛ばして、助けを要請してきたから、すぐに向かったよ。村の隣にある屋敷だから、あんまり遠くないからさ。」



そのことに恩義を感じ、村では英雄のような扱いをされるらしい。

英雄というか王様のような扱いに見えたが…。



「この村とは、ずっと仲が良かったんだ。何百年も前からあって、ウチとの交流も盛んだし。

うーん、俺の領土みたいな感じで考えるとわかりやすいかなぁ。」



確かに。リオが当主だと言われても違和感がない。



「ずっと聞きたかったんだけど、俺たちってことは他にもメンバーいるのよね?」



「そうだよ。他にも気になってることがあるだろうけど、明日、屋敷に帰ったら、話そうと思う。

アリスは俺たちの家族になるんだからね、しっかり説明するよ!」



 リオに笑顔でこう言われてしまうと、言葉に詰まる。

もし、何か口外できないようなことがあるのなら、ここはヒソヒソ話しの場所としてはよくないだろう。

…すぐそこにリオのファンがいそうな気がしなくもないな。



明日を待つことにするか。


わたしは、湯浴みを軽く済ませてから、ヨルと共にベッドに潜り込んだ。

最近、ヨルの出番がなくて寂しい…

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