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闇の帝王の烏  作者: 海道 香魚
第一章
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烏という鳥

初めまして...

海道(かいどう) 香魚(こうぎょ)と申します。

初めての作品なので丁寧に頑張っていきたいと思っています!

ですが初めて故に誤字脱字など大変多いと思われます…

生暖かい目で、ご指摘&ご覧下さい…

どうぞよろしくお願いします!

ズキズキと頭が痛い...


固くて居心地の悪いベッドの上で、

わたしは目が覚めた。


「わたし」.....?


薄っぺらい毛布とも言えないボロボロの布切れをどかして起き上がろうとすると、自分の手がすごく幼く見えた。


あれ?


細かくは思い出せないけれど、

「わたし」は20歳は越えていて、仕事もしていた。


いつも通りに仕事を終えて、

わたしは暗い帰り道を歩いていた...


ふらふらと進む車が目に入り、危ないなぁと独り言を呟いた。

すると、車が急にこっちへ向かってきて

とっさに目の前を歩いていた親子を突き飛ばした。車のライトの眩しい光線が私を包む。


眩しい...


そこからの記憶はない。


あぁ、「わたし」は 旅立ったのか


改めて自分の手を見た。


今のわたしの手である。

前の「わたし」の記憶で少し混乱していたのが窓の外の優しい風と木の葉の音のおかげで少しづつ落ち着いてきた。


"前のわたしの記憶"と"今わたしの記憶"の違いを冷静に分析する。


今のわたしの名前は アリスィア・アギオ、愛称はアリスで、まだ5歳である。

上に11歳の兄のエーリオン、8歳の姉のレーマがいる。


わたしのいる世界は"前のわたし"からすると中世ヨーロッパのような世界に魔法とファンシーな生き物がいる、ザ・ファンタジー作品 のようなところだ。


この世界の魔法には、土・水・火・風・光・闇 の六つの属性がある。それぞれ適性があれば使えるが、適性が無いと使えるようになるまで血のにじむ努力を強いられるそうだ。


そしてこの世界のもう一つ面白い特徴として、「内獣」というものがいる。「内獣」は6歳になった時に自分で召喚する生き物で、自らの魂に見合った生き物しか召喚に応じてくれず、一生変えることはできない。正に魂を写す鏡のような存在だ。

内獣の召喚は義務として課されているが、「召喚」をしなくても、内獣は6歳になると勝手に目の前に現れてくれるのだという。なら召喚いらないのでは...?とも思うが、召喚もその子供の成長の証の一つとして大切にされてきたという文化があるので、誕生日パーティーのようなイベントになっている。

召喚した後は召喚主と一心同体になり、その人が死ぬまで付き添ってくれる、なんとも優しい獣たちなのだ。召喚主の持つ魔力を通じて異空間を行き来出来るため、何もないところから出入りするらしい。


わたしには何の動物が来てくれるのだろうか...早く6歳になりたい。6歳になって内獣とともに過ごしてみたい....。


だがそれと同時に怖くもあった。

何故わたしだけ...


わたしの一家、アギオ家はわたしの住む国、ラブロ王国の王族が信頼を寄せる、"純白の使徒"として、大変有名な貴族の家柄だ。

アギオ家は先祖代々「白魔法」、いわゆる癒しの魔法や光属性の魔法などを得意とし、太陽を信仰し、白魔法を重要視している ラブロ王国の巫女のような存在なのだ。

アギオ家が"純白"の使徒と呼ばれるのは、一家の髪色が白に近いことから由来する。

この国では、白魔法の力の適性が強ければ強いほど白に近い銀の髪色を持つとされており、黒魔法の適性が強いとされる黒髪が特別差別されてしまう。

このアギオ家は先祖代々、例外なく、みな白銀の髪色を持つ家系なのだ。太陽に照らされ輝く、白銀の髪をみな"純白"と称える。

そして、アギオ家が持つ内獣もみな純白であったことも、王族が代々信頼を寄せる証とも言えるのだそう。



そんなラブロ王国のアギオ家に生まれたわたしの髪色は何故か黒かった。


先祖代々、家族はみな美しい白銀の髪に、

茶色や鶯のような緑色の瞳を持っていた。

なのにわたしだけ、艶やかな真っ黒の髪色に黄金の瞳...

家族はわたしを名前で呼ぶことは少なく、

黒い色が似ている、と家族の誰が言ったかは覚えていないが、(カラス)と呼んだ。


"前のわたしの記憶"を知らないころはとても嫌で嫌で仕方がなかった。それに毎日が辛かった。


家族からはアギオ家の恥だとして、生まれなかったことにされており、質素な部屋から出してもらえない。


泣いても、喚いても、声の届かないような防音の魔法がかけてあるらしく、誰も何もしてくれなかった。


いっそ殺してしまえばいいのにも関わらず、わたしは偉大なアギオ家の御先祖様の瞳と同じ色で、殺せないのだと言う。

その御先祖様は、おおきな白い狐の内獣と共に戦争で疲れた国を癒したと言われるお方だ。


玄関ホールに大きな御先祖様の絵が飾られているそうで、

「あなたはその瞳の色だけは同じなのね。

玄関ホールで御先祖様の肖像画を見るとあなたの御先祖様と思えないくらい美しいわ。

あなたは烏のようなのにね」

黒いなんて恥ずかしい限りだわ!

と姉様が嘲笑いながら言ったのを覚えている。


陰口をコソコソと使用人たちに言われ、不満の対象であるわたしは家族に罵声を浴びせられ続けた日々。


お母様はわたしを産んだことを後悔した。

お父様は母の不誠実さが招いたのではと疑った。

お兄様もお姉様も 烏がいなければ両親は優しいのに、ぼくたちを見てくれるのにと罵声を浴びせた。


幼かったわたしは感情を殺した。

何も感じなければ、きっと傷つかない。

そう思って毎日何も感じないように、ただただ出される少量の食べ物を食べては寝た。毎日どうしてここにいるんだろうとずっと窓の外を眺めていた。


そんなある日、お腹が空いて寝付けなかった。その日は家族が外食するということで、わたしは夕食の分の食べ物を出してもらえなかった。いつものことなので、慣れていたはずなのだが、その日はなかなか寝付けず、変に寝返りを繰り返す。もう一度横へごろりと寝返りをしたつもりが思ったよりも転がり、横に設置してあるサイドテーブルの角に思いきり頭の後ろをぶつけた。


「いたい...」


じわり、と滲む涙とともに、何故か意識が消えていった。



そして、わたし...は随分と文明の進んだ娯楽の多い国に住んでいた記憶を思い出した。とても奇妙な"前のわたしの記憶"。

前世、というのだろうか。



20歳以上の精神年齢になったわたしは今までの弱い自分を一喝した。

髪色が黒い? 1人で寂しい?


黒い髪は誰にも負けないくらい素敵だと思うし、黄金に光る瞳は御先祖様から頂いた贈り物に違いない!


わたしの人生なんだから、わたしから何か行動を起こせばいいわ

もうすぐ6歳なんだもの...

その前にここを出ていってしまえばいい!


ここにいてはただのスケープゴートだ。

わたしに唯一利点があるとすれば、この大量の本だろうか。


倉庫のように使われているこの部屋は、質素な部屋の割には置いてある大量の本が部屋の一角を埋め尽くしていた。


6歳になる前に全部読んでおきたいところだ。逃亡先や、この国について王族と我がアギオ家についての関係以外についても学ばなければ。


わたしは幼くて小さな手を使って本をめくった。


だって5歳なのだもの...

魔法のことも、国のこともしっておけばいずれ力になるはずだ。



「1人で生きていくんだもの...!」



わたしはアリスィア・アギオ

子供とは思えない考え方と物言いをしているけれど、5歳で、もうすぐ6歳です。

6歳になる前までに絶対に...

何をしてでもわたしは出ていく。



これからは後ろなんて振り向かないわ...

むしろ振り向かせてやる。

お読みくださり、ありがとうございます!

誤字脱字 もしありましたら、ご指摘くださいませ...


※補足

白魔法...詳しく言えば光魔法や癒しの魔法のことですが、主には光魔法を指します

黒魔法...詳しく言えば闇魔法や妨害魔法のことですが、主には闇魔法を指します



☆作者の独り言

絵が上手かったらアリスィアちゃんを挿絵にしたかったです。

これからよろしくお願いします!

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