プロローグ ―「何か」との出会い―
―――風を感じる。この瞬間が一番落ち着く。
屋上ってのは現実から逃げるための場所なんだなぁと思う。
僕の名前は白城悟郎。中学年3年生だ。
しがない普通の中学生。どこにでもいる中学生。
だけど僕は少し変わった体質みたいで、
たまにこの世の物とは思えない変なものが見える。
人のような形をしているが羽根の様なものもあるような気がする。
そして浮いている。特徴と言ったものはこれくらいか。
だけど、触ることが出来ない。ちょっと触ってみるか、
どうせすり抜けるけど。それっ。
「ひゃっ?!」
「・・・え?!」
さ、触れた?!確かに感触はあった、しかし今まで触れたことなんて無かったハズだ。理解が追い付かない。
「・・・ま、まさか私の事が見えるの?」
「う、うっすらとだけど見える。」
「私達を目視出来る人間がいるとは思わなかったなぁ。どんな目の構造を・・・」
「ちょっとちょっと近いって!別に変な構造してないと思うんだけど!」
「なーんて冗談だって!コホン、ここで会ったのも何かの幸運、少し真剣な話をするわ。君、天の使いにならない?」
「天の使いって何なんだよ。いきなり過ぎてわかんないっての。」
「あまり時間が無いの!YesかNoで答えて!」
「そんなに簡単に決められないって。話を聞いてから判断する。」
「じゃあYesってことね!じゃあ今すぐ来て!」
「え?いや別に決定した訳じゃ・・・っておわああああああああ!!!」
僕は天の彼方(推測)に飛ばされ、その途中で意識を失った。
でも少し期待した。世界が変わるなら良いなと思った。
でも僕が背負うには少し重かったのかもしれない。
――――飛ばされる前に、誰かがこちらを見ていたような気がした。