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シニガミライフ  作者: 月ヶ瀬 音緒
1/1

死神と仕事

初めまして月ヶ瀬 音緒です、えっと...初投稿です(笑)

色々変な所もあるかもしれませんが、どうか暖かい目で見てくれると嬉しいです。

暖かい目でお願いします(震え声)

────いつからこんなことを思うようになったのだろうか


雨は容赦なく俺の体を濡らしていた。

体中には切り傷と返り血に染まり、冷たい感触が残っていた



今日の天気は雲行きが怪しく、今すぐにでも泣きそうな空模様だった。


「んー...嫌な天気ね.....」


隣で石堂 緋音先輩が話しかける。

見た目は二十代前半くらい、スタイルも良く、髪は邪魔にならないようにといった感じで後ろにくくり縛っていた。

「先輩...着るものスーツしかないんですか?」

俺はため息混じりにそう言うと、先輩は煙草を一本咥え火をつける。


「いつも気味の悪いボロボロのローブ着てる蒼君に言われたくないなぁー」


「これしかないんですよ」


先輩は大きく煙草の煙と共に息を吐いた。


「おさがりなんでしょ?似合ってるよ可愛いっ!」


「か、からかってるんですか!?」


「いいや?.....私はいつだって本当の事を言ってるよ♪」


「その時点で嘘ついているようなな気がする...」


時間を確かめると午後3時28分、その時間を見て先輩の柔和な笑顔が途絶えた。

見慣れている仕事の時に見せる真剣な顔。


「そろそろ時間」

「...はい」


交差点の近くでじっと待ち続ける、張り詰めた時間の中しばらく経つと何かに急いでいるのだろうか高校生らしき少年が唐突に道路を飛び出した。

その刹那、

少年の体は1台の車によって鈍い音と軽々と空を舞い、地面に叩き出された。コンクリートに紅い液体が少年を根に広がっていく、体は人として形を作っておらず本来曲がるはずのない部分が綺麗に曲がっている。

その光景を目の当たりにし、人々の表情が凍りつくのが目に見えた。

中には叫ぶ者も。


「...始まったわね」


「...はい」


物陰に隠れてた俺らは少年が死んだ事を確認しすぐさまそこに移動する。


「私がやるから、蒼君はすぐ後ろで一緒に立ってて」


先輩がそう告げると、道路に足を踏み入れた途端、建物、車、人等の色素が消え、世界が灰色へと変わる。

この世界に入ると一般の人からは俺らが見えない。


「少年」


「......誰?」


跳ねられた少年の体からまた透明に透けた少年に先輩は話し掛けた。


「おっとそれ以上動かないでな」


自分の身に起きた今の状態を察したのか

「............」


少年は黙り込んだ。


「自分がどうなったか覚えてるか?」


「はい...確かこれから部活に行く予定で...遅刻しそうになってて急いで信号渡ったらこうなってて...」


「ほう、理解はしてるみたいだな」


記憶が錯乱して暴れ回ったりするパターンもあるが今回は冷静に判断してれて心の底から少しだけ安心した。


「...お願い...お願いがあるんです!」


先輩は一息吐いて煙草をシガレットケースに捻じ込み再びポケットに元に戻しながら聞く。


「...なんだ?私で良ければ聞くよ」


「あの......生き返る事って出来ますか?」


先輩は溜息を付きながら


「...残念だか、死人を生き返す事はできない」


吐き捨てるように告げた。


「...俺、部活の大会近いんですよ、それまでに頑張って来たのに、努力したのにっ!どうして!?全部無駄になったじゃないか!」


「...受け入れるしかないよ、仕方ないんだ」


「なんで!...なんで...もう...」


少年の頬から一筋の涙が落ちた。

同然だろう、今まで頑張って来たことが全部無駄になるんだから、俺でも泣きたくなる。


「君の努力は報われなったかもしれない、でもね君努力をちゃんと見てくれた人はいたかもしれないよ。」


「...死んだら意味無いじゃないですか」


「...確かにそうかもね、君の為に頑張ってくれる...意思を継いでくれる人がいたならそれでいいんじゃないかな?」


「............」


「じゃあ二つの選択肢を与えよう」


「選択肢......?」


先輩は悪魔のような笑みを浮かべ、一本の指を立てる。


「まず一つ目、死を受け入れ新しく生まれ変わる事」


そして二本目、


「二つ目、君は少しメリットはあるかもしれないけど私はオススメしないなぁ」


「.........」


少年は再び黙ったままだ、

仕方ないというしかない、死を受け入れろと言われて無き喚かない人なんて早々いないだろう。


「このまま時間が立ち君の死体から離れた途端、放浪者扱い...つまり俗に言う浮幽霊となるって君は自由になる...だけどね。

永遠とこの世界で停滞されるよ、君の友達が死んだ後その後もずっと独りで世界を眺め続けることになる、そこに君は居ない...存在しないから」


「っ......」


「私はどちらでも構わない、君の人生...人生外だからな諦めた方が賢明な判断だと思うよ」


しばらく悩んだ後。


「俺は........このまま死にます...」


「よし、よく言った、お姉さん嬉しいよ」


先輩は少年の頭をワシワシと不器用に撫でる。


「蒼、ぼさっと経ってるだけで給料貰えるとか目覚めが悪いんじゃないの?」


「...はいはい......」


俺は先輩の後ろからひょこっと出てきて、少年の額を指先で触れた。

途端に小さな光が現る、次第に少年の体が硝子のように下から細切れに空へと上がっていく


「じゃあな、またどこかで会えるといいな」


いつもの緩い笑顔で後ろから先輩が言い放った。


「はい」


────少年は消えていった。


「ふぅー仕事終わった終わった。」


「お疲れ様です」


「いえいえこちらこそ、明日も学校なのに頑張るね、偉いなぁ蒼君は」


「別に仕方のない事なんで、」


「仕方のない...ねそんな卑屈な物言いじゃ女の子にモテないよー?」


子供がちょっかいを出すイタズラ顔の様に俺の顔を覗き込んでくる。


「...余計な世話です。さっさと帰りますよ」


「もうー...あっ、嫉妬してるんだー?おねーさんがあの男の子に頭撫でたから嫉妬してるんだー?」


「うるさいです」


「素直じゃないなぁー」


先輩がニヤニヤしながら肘で脇腹をつつく、

灰色の雲から小さな雨粒が俺と先輩に襲いかかりつつも、気にせず裏通りを歩いて行った。


No.2


俺らの仕事は、死神だ。

人の命をあの世へ運んだり、死を誘い殺したり...等の仕事だ。

死神達は通常普通の人間として...いや人間のフリをして暮らしている。

そりゃあ毎日天界、地上、天界、地上の行き来をするのは流石にコストとかめんどくさいとの事でそのまま穏便に地上で暮せということになった。

ちなみに俺の方は“高校生”としてこの世界に暮らしている。

ちゃんと制服を着てちゃんと学校にも通っている。

成績もそこそこ悪くなく、変に注目を浴びないよう、総合的に真ん中くらいの席次を維持していた。

このように不自由なく高校学園生活を過ごしている。

唯一欠けているとしたら周りに友達が居ないことくらい。

別にコミュニケーション能力はそこまで低くはないと思うが

俺は個人的1人が好きなのだ。

それにもう一つ理由はあるが

休憩時間、読書などをして他人と関わるのを避けて、この繰りかえしをしていたらいつしか一人になった。

確か先輩は「蒼君、1人は駄目だよー?折角の大切な時期なんだから!青春青春!」

などと言っていたがこのような状態だとこれから先も誰も関わることはないだろう。

今日も変わらず、生徒達の騒がしい音を背景音に、読書を始める。


「......何の本読んでるの?」


一瞬幻聴かと思ったがそうでもなかった。

目の前に清楚な感じの女の子が興味深そうに本を見つめた。

セミロングの髪型。

薄めの化粧もなにも施してない綺麗な素の顔、ひとつひとつ整った目、鼻、口のパーツ、誰が見ても可愛いと言うだろう。

確か、同じクラスの明波 渚葵って名前だったかな。


「黎摩 蒼君だよね?」


「...えっと...はい」


渚葵が物珍しそうに俺が読んでいた本を見つめた。

それに釣られ俺も本を見つめる。


「へぇー...なんか難しい本読んでるね...凄い...」


「そこまで難しく無いですよ?」


そう答えるとはクスクスと笑った。


「俺...変な事言いました...?」


またもや小さな声で堪えるように笑った。


「うんん、言ってないよ、同じクラスなのに敬語使うんだーと思って、ふふっ」


そんなに面白い事なのだろうか。


「は、はぁ、そうですか...」


「同じ歳なんだから、タメ口でも大丈夫だよ」


「ん...分かった渚葵さん」


「そこも渚葵でいいよ、ていうか覚えててくれたんだ」


当然だ、クラスの大半の名前は暗記してある。


「同じクラスメイトだから覚えてる」


「どうだろう、蒼は人間は興味無いみたいな顔してるけど」


「お、俺そんな顔してるのか」


これは初めて知った、毎日読書してるやつを見たら、大抵は関わりたくないオーラが出てるんだろうな。


「そう何じゃないかな?それでさ、明後日の放課後暇かな?」


「明後日...?」


これまた急なお誘いが来たな...


「うん、明後日図書館に来て欲しいの、そこに私の友達もいるからさ、おいでよ」


確か明後日は特に用事はなく、例の仕事もなかったはず...

だけど...


「ごめん...俺...」


「お願い!貴方しかいないの!」


俺は押しに弱い。俺しかできないのとか、そういう台詞を言われるとそう簡単には断れない性格なのだ。


「まぁ、別に......いいけど」


「ほんと!?やった!」


渚葵は嬉しそうに小さくガッツポーズを決める。


俺が時計を眺め時間を確認しする。気付けばに渚葵もそれに習い時計を見ていた。


「そろそろ鐘なっちゃうから席に戻るね」


「うん」


「じゃあね」と手を振りながら自分の席に戻って前の席友達らしき人と既にと話し始めている。

...丁度いい潰しになるか

本を閉じしばらくした所で、午後の授業が始まる鐘が鳴った。

どうやらコミュニケーション能力はちょっと危ういとこの時自分?でも感じてしまった。

学校が終わり時間が経って3時間後くらいの頃、

俺は家の近くの廃校で空を眺めていた。

ここは昔一つのアミューズメントだったらしく、一階にはボウリング場、二階はビリヤード、三階はフードコートの様だった。

そして今、三階のフードコートは天井の3分の二くらいの大きさの穴が空いて夜空の月明かりが地面を差している。

天気がいい夜はここに来て夜空を眺めるのが俺の日課だ。


「へぇー蒼君お友達が出来たのか、お姉ちゃん嬉しいぞー」


隣で緋音が上から目線に頭を不器用に撫でた。


「友達って訳じゃないと思いますよ。誘われただけであって部活や同好会の勧誘かも知れないじゃないですか」


「そうだとしても、気の合う人に出逢えるかも知れないじゃんっ、人生何があるか分からないぞ!」


「死神の仕事してる時点で人生なんてその物はない気がする...」


「だとしても、人との関わりはもっといた方がいいと思うよ、きっと何か変わると思う、だって蒼君は────」


「関わりを持った所で何が変わるんです?思い出は最終的、俺には引っかき傷になるだけなんだから...」


緋音の言葉を遮るように、俺は嘆くように言葉を吐いた。


「...まだ...引きずってるの?」


「っ...」


悟られたくない事を明確に当てられ、顔を背ける。

思い出したくなかった。あの時の事を、

また同じ事が起きるんじゃないかと感じてしまうのだ。


「蒼君は悪くない、1番は私が悪いんだ、他にも方法はあったかもしれないのにそんな選択をしたのは私だ、恨むなら私を恨め」


「自分で責任を全部持っていこうとしないでください先輩、それじゃあ私が濡れ衣を着せてるみたいじゃないですか」


「だけど...全ての原点は...」


「俺は大切な人を『見殺し』にした最低な奴ですよ?そんな最低な奴に人と関わる権利なんて無いです。」


「...」


「すいません、もう帰ります...」


胸苦しい感情に狩られながら、俺は家に帰った、家に着いたら

すぐさまベッドに飛び込み、眠りについていた。


最後まで呼んで頂いた方ありがとうございますっ

第2話も頑張って書く予定です。

これからも見てくれると嬉しいです。

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