156話 鹵獲品の発電機をいじる
殿下の戴冠式や、フィラーゼ公爵領での婚礼の儀の準備は着々と進んでいるが、真学師には、やる事がない。
俺の副業だった、王侯貴族の女性への皺伸ばし等を行う魔法施術――最近、その数もかなり少なくなった。
贅沢三昧の帝国貴族連中等は殆ど潰してしまったし、今回の戦で帝国兵士を殺しまくったという噂が広まってしまったせいで、皆が恐れて俺に近寄らなくなったのだ。
やって来るのは、事情を知っているファーレーンとファルキシムの貴族ぐらいだな。
まぁ俺も、医者じゃないからな。 オバサン連中の皺伸ばしには、うんざりしてたし丁度良かった。
帝国との決着がついた結果――帝国派王侯貴族への切り崩し工作も必要無くなったわけだし。
それに今の急務は、パズズが残した資料の解析――俺には、元世界の本を翻訳するという重要な仕事がある。
だが、漫画に興味を持たれた殿下によって、その翻訳が最優先事項とされてしまった。
漫画は、フキダシの中を翻訳するだけだから、そんなに手間ではないのだが――専門書となると頭を抱える。
この世界に存在しない単語が山のようにあるからだ。
俺が、その新しい単語を考えて、注釈まで付けねばならない。 こりゃ、凄い手間だ。
翻訳ばかりをやっててもつまらんので、帝都で鹵獲したエンジン発電機を弄ってみる事に。
こいつを動かして、ノートPCを充電したり、LED電球を点灯させたりする計画だ。
使い道のないノートPCを復活させたりしても、あまり意味が無い計画のようにも見えるが――まぁ、とりあえず、やってみたいのよ。
魔石から取り出せる電力も、俺がプラチナ合金磁石で作った発電機も、出力は交流なのだが、電圧、電流、周波数――すべてが、不明だ。
そんな物に、PC等の精密機器なんて繋いだら壊れるに決まってる。
しかし持ってきた発電機は、ガソリンエンジンなので、ガソリンがなきゃ無用の長物だ。
魔法でガソリン――炭化水素を合成出来りゃ良いんだが……しかし、ガソリンエンジンはディーゼルエンジンに比べて燃料に敏感である。
粗悪な燃料を使うと、壊れたりするしな。
高濃度のアルコールでも動かない事も無いと思うが……。
元世界で、スクーターのキャブレター改造して、純アルコールで動かした事があるから、これも動くと思われるが――そのアルコールを作るのが大変だ。
それなら、飲んだほうが良いし、高級酒として高く売れる物を、燃やす必要もない。
それに、ゴムを腐食させたりとデメリットが大きいし、アルコールを燃料にするのは、あまり現実的ではないだろう。
やはり、機械的に他の動力と連結した方が得策だ。
最初は、動力に水車を考えていたのだが、色々と考えた末、蒸気機関を連結することにした。
そんな訳で、とりあえず発電機をバラしてみようと思ったのだが――工具が無い。
レンチもプラスドライバーも無いのだ。
ネジは、この世界にもあるが、全部マイナスネジ。 俺が今まで作った機械のネジも全部マイナスだ。
無きゃ作るしか無いって事で、加工しやすい軟鉄棒を旋盤で加工、ヤスリで削ってプラスドライバーを何種類か作る。
それを真空浸炭炉に入れて、魔法で空気を抜いて加熱――これで、プラスドライバーは鋼鉄になる。
取り出したら、焼入れをして完成だ。 プラスドライバー一本でこの手間。
弩砲の巻き上げに、ラチェットは作った事はあったが、メガネレンチや六角ソケットは自作不可能だ。
あのレンチのギザギザの穴や、六角ソケットはどうやって六角形に加工するんだ? 全然解らん。
ヤスリで削って作れるとは思うが――う~ん、焼入れするとサイズが変わったりするんだよ。 そこまで計算しなくちゃいけない。
六角ソケットを作らなくても、スパナでどうにかなりそうかな。
この世界にもボルトとナットは存在しているが、六角ではなくて全部頭が四角い物で、しかも大型。
小型のナットとボルトなどは見た事が無く、既存の物はサイズがまったく合わず、スパナも自作した。
だが、せっかく作ったスパナであったが、奥まったナットなどは、これでは回せない。 どうしようもなく、結局六角ソケットも自作するハメに……。
こんな感じで、分解する工具を集めるだけで、1週間。 翻訳の仕事をしつつ、ちまちまと計画は進む。
――道具が揃ったので、早速分解開始。
ガソリン発電機は、元世界のバイクメーカーYハ製の青いボディだ。 ちなみに、俺の愛車もYハ製。
だが、よく見ると中ノ華共和国製で、がっくりと肩を落とす。 ライバルのH田も中ノ華製なんだろうか?
H田の名車、スーパー○ブも中ノ華製になったって話だし、あり得る……。
安い発電機などは、PCなどは繋げないのだが、コイツは電子機器などにも使える高性能で値段が高い物だ。
実際に、ゴールドの奴も使っていたようなので、問題は無いだろう。
発電機を作業台に置いて、ガワを外し、じっくりと観察……。
なるほど――バイクのエンジンと全く同じ構造だ。
クランク軸が伸びて、フライホイールとジェネレーターが一体になっている物が装着される構造。
その反対側には、ファンが取り付けられて、強制空冷を行っている。
エンジンは、一番シンプルなSVエンジンだ。 高回転まで回す必要もないし、シンプルでコンパクトに出来るし、SVで十分なのだろう。
発電機を床に固定して、フライホイールに木製のプーリーを装着したいのだが……。
加工の為にフライホイールを外そうとしたのだが、フライホイールプーラーが無いので、ちょっと無理。
旋盤があるからプーラーを作れない事も無いのだが、ねじ山を測るピッチゲージも無いし、色々と考えるだけで頭が痛い。
手前勝手に物を作る分には、寸法がテキトーでもなんとかなるのだが、元世界の既存の規格に合わせるとなると、凄く難しい。
一番簡単な方法を選択して、フライホイールの上から、被せるように旋盤で作った木製のプーリーを膠で接着した。
ちょっと強度的に問題がありそうだが、ダメなら他の手を考えよう。
水車側にもプーリーを装着して、ベルトを掛けるが――とりあえずどのぐらい回せば良いのか不明なので、低速から始めてみる事に。
エンジンのポンピングロスを減らすために、点火プラグを外そうとしたのだが――今度は、プラグレンチが無い!
いやはや……1人で頭を抱える。
「其方、何をしておるのじゃ」
突然の声に後ろを向くと、サクラコが覗きこんでいた。
「サクラコか。 帝都から持ってきた、向こうの世界の機械を改造している」
「それは、何をする物なのじゃ?」
「え~、電気――と言っても解らんか。 電撃の魔法のような力を理で作り出して、明かりを灯したり、機械を動かしたり出来るようになる」
「ほう……」
頷いているはいるが、あまり解ってないっぽい。
プラグレンチを作るために、軟鉄の板を3本ローラーで丸めて筒を作り、合わせ目を魔法で溶接。
せっかく苦労して溶接機を作ったりしたのに、全部魔法で出来るようになってしまったという……。
しかし、溶接機なら普通の人も使えるからな。 今のところは一般実用レベルではないのだが。
筒の先を叩いて、六角形に成形する――元世界の安いプラグレンチはこんな作りだったので、これでも大丈夫だと思うが……。
しかし、サイズが上手く合わずに、結局5本程試作を繰り返して、やっとピタリと合う物が出来た。
レンチを回すための棒を差し込む穴を開けて、真空浸炭炉へ突っ込む。 その後、焼入れして完成。
「やっと完成だよ」
プラグレンチ一個に汗だくになる。
喉が渇いたので、水にリンゴ酢と甘味を入れて、魔法でキンキンに冷やす。
せっかく、帝都から持ってきたので、あのチタン製のカップを使ってみた。 真空断熱タンブラーらしいので、温くなりにくいし、カップに結露もしない。
作業を見ていた、サクラコにも同じ飲み物を作ってやる。
「こんなのを見て、どうする?」
ずっと、俺の作業を見ていた、サクラコに質問する。
「暇じゃ! 其方の作業を見ていた方が面白いわぇ」
2人で、飲み物を飲んでいると、玄関の扉が開いたようだ。
「ショウ! おやつぅ!」
どうやらステラさんだ。 ふう、もうそんな時間か――。
腰を上げると、ステラさんが作業場へ入ってきたのだが、彼女の手には真っ赤に熟したトマトが握られている
「何をしてるのぉ?」
「帝都から持ってきた、機械の改造ですよ。 おやつって、そのトマトで良いじゃありませんか」
「これも、美味しいけど。 もっと甘いのが食べたい」
それじゃ、トマトに砂糖でも掛けて食えば良いのに……そういえば、ウチの親戚の年寄りがそういう食い方をしていたな。
ステラさんが、俺の飲みかけのカップを取ると、残っている中身を飲んだのだが――。
「なにこれぇ? 鉄かと思ったら、鉄じゃないしぃ!」
「それは、チタンですよ。 もしかしたら、この世界にもあるかもしれませんが……」
少しの間、ステラさんに背中を向けたまま工具の片付けをしていたら、彼女が居ない。
「あれ? ステラさんは?」
作業場にはサクラコだけだ。
「あのハイエルフなら、其方の器を持って、玄関から出ていったぞぇ」
「あ――またかよ」
「追わないのかぇ?」
「いいよ、もう。 ステラさんは、鉱物の専門家だ。 見たことがない金属は欲しいだろうさ」
「其方、達観しておるのぉ」
「エルフと付き合うなら、このぐらいで怒ってられないからな。 怒るだけ無駄」
サクラコは呆れているが――たいした物じゃないし、俺が作って大事にしている物でもないし。
それに、ステラさんが、チタンの錬成方法を見つけてくれるかもしれないしな。
「サクラコ、何か食うか?」
「いや、もうすぐ夕飯じゃろ? それまで待つわぇ」
「育ち盛りなんだから、食った方が良いぞ。 それにしても、ここに来た時から比べたら、随分とふっくらしたよなぁ」
ファーレーンに到着して、馬車から降りた彼女は、骨と皮状態だったからな。
「肥ったと言いたいのかぇ?」
「いや、元の体型を見ていないからな、肥ったかどうかは……」
「やはり、肥ったと思っておるのじゃろ?」
「思ってないって。 それに、少しふっくらとした方が、ぷにぷにしてて可愛いし、手触りも――」
話せば話すほどドツボに嵌りそうなので、止める。
むくれているサクラコを放置して、発電機に戻ろう。
完成したプラグレンチで点火プラグを外し、フライホイールを回してクランキングしてみる。
プラグの穴から――シュポシュポと音がする。
発電機の横に蒸気機関を固定して、プーリーを取り付けて、ベルトを張る。
最後にベルトのテンショナープーリーを取り付けて完成だ。
プーリーとベルト、そしてテンショナーも、この世界で作られて利用されてる物だ。
俺が蒸気機関を持ち込む前は、風車や水車を動力として工作機械を動かしていた。
それ故、お城の城壁には沢山の大型の風車が回っていたのだが、その殆どが蒸気機関に代わられてしまい、もう動いていない物や、ドラゴン襲撃の際に壊れた物が放置されたままになってる。
未だに使われているのは、精麦や石臼用、それと井戸から水を揚げるのに利用されている物だけだ。
俺の工房の隣を流れている小川の水源にも風車が使われているので、それが壊れたら俺が修理しなくてはならない。
この小川は畑に水をやったりするのに、結構利用しているからな。
「さて、動かしてみるか……」
発電機のスイッチを入れ、蒸気機関のボイラーに水を入れて、魔法で加熱する。
魔法を使えば、小さいボイラーなら簡単に沸騰させる事ができるので、すぐに起動準備が整う。
蒸気バルブを開くと、ゆっくりと白い蒸気と共にフライホイールが回り出す。
シュポシュポシュポポポ!
徐々に回転が速くなるが、適切な回転数は幾らか?
――そのヒントは、発電機のスイッチの横にある、緑色のランプにある。
発電機が使用可能になると、このランプが灯るので――要は、そこまで回転数を上げれば良いはずだ。
徐々に蒸気機関の回転数を上げると、ガシャガシャと機械音が激しさを増す。
すると、緑のランプが点灯した!
「やったぜ、これで使えるはずだ」
ナナミの使っていた部屋から、ノートPCとACアダプタを持ってくると、発電機のソケットに差し込んだ。
――すると、ノートPCの充電中のランプが灯る。
「うひょ! 大成功! しかし、これって何か使い道あるかなぁ?」
しかし、こうやって作ったり試行錯誤する事自体が楽しいのだから、これで良いのだ。
「そうだ、LED電球も付けてみようか」
ゴールドの部屋から持ってきたLED電球には、白いソケット付き延長コードが一緒だった。
延長コードの途中には、回転式のスイッチが付いているタイプ。
コードのソケットを発電機へ差し込み、途中に付いているスイッチを回すと――。
「明るいわぇ! まるで、アマテラスの光じゃ!」
煌々と光を放つ電球に、サクラコは目を細める。
「おほ、久々に見るLEDの目に痛い光だな」
しかし、電球なら交流の周波数等は関係無さそうなので、魔石から取り出した交流でも電圧さえ気をつければ点灯出来るかもな。
LEDは10年ぐらい保つとか聞いたんで、かなりの間使えるだろう。
そのうちに、タングステンぐらいは見つけて、魔石ライトをもっと明るく改良したいところだ。
だが、人工蛍石が大量に作れるようになれば、魔石ライトも要らなくなるだろうか?
居間には、蛍石と魔石ライトがあるので、こいつは作業場のライトにしよう。
手元を照らしたりするのに便利そうだし、LED用のスタンドを作れば使いやすそうだぞ。
発電機は使える事を確認したので、これ専用の車輪付きキャリアでも後で作ろう。
移動出来るようにすれば、外で明かりが欲しい時に役立ちそうだ。
LEDなら虫もあまり寄ってこないって話だしな。 実験動画を見ただけで、自分では試した事は無かったので、本当かは解らないが。
とりあえず発電機は、なんとかなりそうなので、夕飯の準備でもするか。
またトマトが沢山取れたので、トマトソースのパスタにしよう。
元世界のような長いパスタは、この世界では不評なので、いつものように薄く伸ばした生地を四角に切って作った蝶々型にした。
生地を薄く伸ばしたり、切ったりするぐらいはサクラコでも出来るので、彼女にも作業を手伝ってもらう。
巫女として生まれてから、料理なんてしたことがなかった彼女ではあるが、生地をコネたりする姿は楽しそうだ。
もっと、いろんな料理の作り方を覚えたいと言う。
料理が出来ると、夕飯に人が集まってきた。 いつものように師匠がやって来たが、ステラさんは顔を見せない。
おそらく、俺の所から持っていったチタンのカップを、あれこれ弄くりまわしているのだと思う。
チタンはそこら辺にある物質だが、錬成するのがかなり難しいはず。 テクノロジーが発達していた元世界でも利用されるようになったのは、つい最近の事だ。
ステラさんが居ないので静かだと思っていたら、代わりにフローがやって来て、一気に騒々しくなった。
パスタを沢山作ったので、ファラも食事に呼んでみたが、いつもは、お城の食堂に行ってるらしい。
「うまっ! うまっ! こりゃ、甘くて、美味いっすね!」
「フロー、しばらく見かけなかったが、仲間の所に行ってたのか?」
「そうっすよ! ラテラ様に村作りを手伝わされていたっす」
口の回りをトマトソースだらけにした、フローがぼやく。
「そのまま、一緒に暮らしてれば良いのに」
「嫌っすよ! 手伝っても金は出ないし、料理は不味いし! あたしに対する愛は無いっすか!」
はぁ、なるほど。 村のための無料奉仕か。 そういうのは、コイツが一番嫌いそうだが、フローはエルフの中じゃかなり若いし、下っ端っぽいしなぁ。
有無を言わさず、エルフのパシリ役か。
「でも、料理が不味いって――エルフ原理主義者なら、森の木の実とか、虫とか食べるべきだろ?」
「前にも話したっすけど、今どきそんなエルフなんていないっすよ。 食うなら、美味い方が良いに決まってるっす!」
何のための、原理主義なのか。 一族を纏めるためのタダのお題目なのか?
まぁ、エルフの生き方に興味はないので、どうでも良いけど。
「美味しいですね。 これって野菜ですか?」
初めてトマトパスタを食べたファラは、野菜と感じたようだ。
「これって、森の中でなってる、木の実っすよね。 果実じゃないっすか」
どうも、エルフではトマトは完全に果実扱いらしい。
まぁ、森の中で大木になっている姿を見たら、完全に果実だよなぁ。 あれが、野菜には見えん。
「パズズとか、いつも何を食べていたんだ? ウチの師匠と同じで、あまり食い物に執着心がなさそうな印象だけど」
ファラに、パズズの食生活を聞いてみるのだが――。
「そんな感じですよ。でも、食べ始めると、結構味に煩いんですよ」
「ああ、いるなぁ。 そういう奴……」
「それにしてもこの部屋、昼間みたいに明るいっすね!」
「あそこの、人工蛍石のおかげだよ。 早く、あれを実用化出来るようにしないとな」
「じゃ、皆の部屋も明るくなるっすか?」
「まぁ、上手くいけばな」
だが、パズズの所から回収した、人工蛍石は2個だけ。
作るのが、余程難しかったか――それとも、戦の為の武器開発に全リソースを割くために、一時開発を中断しただけなのか。
「ショウ、私もあれが欲しいのですけど……」
師匠も欲しがる蛍石だが、この手の専門家はステラさんだ。 コイツの開発には、どうしてもステラさんの力が必要になるだろう。
それを考えるだけで、色々と気が重い。
パズズの研究を把握しているファラにも手伝ってもらう必要があるのだが、ステラさんはファラを嫌っているので、直接話をしたり一緒に仕事をする事を拒むだろう。
それ故、どうしても俺が中に入って仲介する必要がある。
あんな悲惨な事があったのに、ステラさんにファラと仲良くしろというのは酷な話だろうし、彼女に無理やり納得してもらい、ファラをお城へ引き込んだのであるから、俺も協力しなくてはならない。
「しかし、この蛍石が、世界に広がれば、街が昼間のように明るくなるわぇ」
「俺の居た世界が、そんな感じだったよ、サクラコ。 眠らない街とか、不夜城とか言われてた」
「不夜城とは、中々に詩的じゃの」
トマトソースパスタは、皆に好評だったな。
外でもトマトの栽培は始まっているので、城下町で似たような料理が広まるに違いない。
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ノートPCの充電が無事に終了したので、ベッドに寝転びながら、中身のチェックをしてみる。
スマホで写した写真などが結構出てきたのだが、エロ系の写真や動画以外は、然程重要なデータは無い。
パズズの研究の一部でも入っているかと思ったのだが、完全にゴールドの私物だったらしい。
だが、気になる物を見つけた――ブラウザに残っていた、ログとキャッシュだ。
奴は、このノートPCを持ち運んで、元世界でネットにもアクセスしていたようだ。
そして、某巨大掲示板のキャッシュも残っていた。
【荒らし厳禁】 日本と異世界を行き来しているんだけど、何か質問ある?
1 名前:名無しさん@異世界の住人 投稿日:20**/0*/**(*)10:03:05 ID:Gngl◆bel
言えない事も多いけど、答えられる範囲で
2 名前:名無しさん@異世界の住人 投稿日:20**/0*/**(*)10:10:14 ID:g78jkl
嘘松乙
3 名前:名無しさん@異世界の住人 投稿日:20**/0*/**(*)10:12:23 ID:98Hml45
つまんねぇスレ立てるな
4 名前:名無しさん@異世界の住人 投稿日:20**/0*/**(*)10:14:07 ID:Gngl◆bel
マジだって、ソース【写真:リンク切れ】
6 名前:名無しさん@異世界の住人 投稿日:20**/0*/**(*)10:25:55 ID:AAHL85
何処かのヨーロッパの写真だろ?w
7 名前:名無しさん@異世界の住人 投稿日:20**/0*/**(*)10:28:10 ID:Gngl◆bel
>>6 住人の写真もあるぞ ドワーフと獣人 【写真:リンク切れ】
8 名前:名無しさん@異世界の住人 投稿日:20**/0*/**(*)10:36:23 ID:AAHL85
>>7 普通のオッサンの加工だろ? CG乙 よく出来てるとは思うけどなw
10 名前:ケモナー@異世界の住人 投稿日:20**/0*/**(*)10:45:56 ID:777blb
>>7 ケモナーの俺歓喜、もっと写真をくれ 女はいないのか?
11 名前:名無しさん@異世界の住人 投稿日:20**/0*/**(*)10:48:07 ID:Gngl◆bel
>>10 女はエロいのしかない 無理だw
12 名前:名無しさん@異世界の住人 投稿日:20**/0*/**(*)10:53:25 ID:45uiOP
そなた、もしかして、やったと申すのか
13 名前:名無しさん@異世界の住人 投稿日:20**/0*/**(*)10:55:32 ID:Gngl◆bel
>>12 メチャやったw 金は安いし、シマリは良いしサイコーだよw ただ、マジでデカイ犬とか猫とかとやってる気分になるから、人を選ぶよな ただモフモフなのは間違いないw
14 名前:ケモナー@異世界の住人 投稿日:20**/0*/**(*)11:02:16 ID:777blb
おい、>>1 よ物は相談なのじゃが、ここに秘密のアドレスがあるじゃろ?
15 名前:名無しさん@異世界の住人 投稿日:20**/0*/**(*)11:06:54 ID:Gngl◆bel
>> うpするのは無理だ。 俺も写ってるし、身バレするだろw
18 名前:名無しさん@異世界の住人 投稿日:20**/0*/**(*)11:12:23 ID:45AAwel
ええい、獣人は要らん。 エルフはどうした!
19 名前:名無しさん@異世界の住人 投稿日:20**/0*/**(*)11:13:12 ID:Gngl◆bel
>>18 この国にエルフはいない、帝国はエルフに嫌われているらしいからな でも、エルフの事を聞くと、皆嫌な顔をするから、あまり良い物では無いらしい
22 名前:名無しさん@異世界の住人 投稿日:20**/0*/**(*)11:20:43 ID:123HJLo
帝国? って何帝国?
23 名前:名無しさん@異世界の住人 投稿日:20**/0*/**(*)11:21:42 ID:Gngl◆bel
>>22 カミヨ大帝国
25 名前:名無しさん@異世界の住人 投稿日:20**/0*/**(*)11:30:09 ID:123HJLo
カミヨって日本語かよw なんで、そこだけ日本語なんだよ 設定ガバガバじゃねぇかw
26 名前:名無しさん@異世界の住人 投稿日:20**/0*/**(*)11:32:10 ID:Gngl◆bel
>>シラネーヨ 5000年前から、この名前だって言ってたぞ 皇族にも会ったけど、日本人っぽいけど、日本人っぽくなかった 皇宮もちょっと東洋が入っている感じ
28 名前:名無しさん@異世界の住人 投稿日:20**/0*/**(*)11:43:32 ID:45AAwel
それじゃ、どこにエルフはいるんだ?
29 名前:名無しさん@異世界の住人 投稿日:20**/0*/**(*)11:47:57 ID:Gngl◆bel
>>28 隣のファーレーンっていう国にいるらしい でも、近々戦争になるらしいので、会うのは難しそうだな
33 名前:名無しさん@異世界の住人 投稿日:20**/0*/**(*)11:59:01 ID:09kMop3
戦争になったら、>>1 は参戦するのか?
36 名前:名無しさん@異世界の住人 投稿日:20**/0*/**(*)12:03:22 ID:Gngl◆bel
>>33 魔導師と、真理を学ぶ者っていう賢者みたいな連中は、徴集されるらしい 俺も一応、その真理を学ぶ者って言われてるから、多分徴集される
39 名前:名無しさん@異世界の住人 投稿日:20**/0*/**(*)12:10:31 ID:87DTYL
>>1 乙 お国のために潔く散って下さいwww
40 名前:名無しさん@異世界の住人 投稿日:20**/0*/**(*)12:12:01 ID:Gngl◆bel
>>39 うるせぇ! なんで、異世界で軍隊に徴集されなきゃならねぇんだよ! ふざけんな!
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この後ゴールドが、捏造やコラがどうのと集中砲火を浴びてボコボコにされ、すぐにスレから逃亡して終わっている。
殆どネタ扱いで、誰も本気にしていなかったようだが――この世界の情報が、向こうに流れたのか。
しかも、写真もアップロードされている。
確認は出来ないが、もっと沢山流れてしまった可能性もあるなぁ。
まぁ、門は使えなくなったし、心配無いとは思うが……。
それにしても、戦が嫌なら逃げりゃ良かったのに。 良い思いはしたいんだけど、義務は果たしたくないってか。
如何にもだな……。
もしかしたら、自分が前線に立たないようにするために、門へ進軍する計画を持ちかけたのかもしれないな。
パズズの様子から察するに、かなりテキトーな大ボラを吹いていたようだし。
俺は、ノートPCの電源を落とすと、眠りについた。