第7話 紳士の流儀×囚人の気まぐれ
レディース!アーンドジェントルメン!
次の対戦はこの2人、ミコト・センドーウッ!
イイェーイーーー!
アーンッドォ!ミツマ・ノゴ!
イェーッイ!
三日前
新宿第一警察署
警視庁襲撃事件から1週間後。
生き残った警視庁所属だった大野達は、ここに捜査系統を移した。
「おいおい大野の奴今日休みだってな。」
「まぁ先週のもそうだし、今週の4件も結構疲れたんじゃない?心が。」
都立病院:精神科
大野と、対USの責任者である成瀬が診療室へ入った。
「あ〜君が大野くんか、まず座って。佐藤です。」
「はい。」
「で、例の装着員なんだって?まぁキツイよね?」
佐藤が優しい口調で話しかけ、話し合った。
城南大学
水琴が校門の中に入った瞬間、またあの男が待ち伏せていた。
「またですか?もしかして、アレですか?」
「アレではない。これを見てみろ。」
男は、水琴が入学式の時見つけたような封筒を持っていた。
「これは…?」
「まぁ…開ければわかる。」
城南大学ロビー
水琴は封をきり、中身を見た。
「フロース・フラーテルの件ですか?」
水琴は中のレポートをざっと見て聞いた。
「そうだ。そして俺は…」
「もしかして、大学でそんな研究が…」
「違う違う。それは大昔のことだし俺はそのメンバーではない。そして…俺が聞きたいのはな、おまえの力についてだ。」
「力?」
水琴の頭の中にハテナが出てきた。
「覚えてないのか?今から1週間と3日前のことを。おまえは一度殺されていた事を…」
「僕が…」
水琴は全く覚えていなかった。
ただ草蒲に呼ばれ、気がついたら知らない道を歩いていた。
「しらねぇか。まぁいい3ページ目を読め。」
レポートの3ページを開いた。」
フロース・フラーテルを超え、神さえも超えた第六の人類、ヘキサ…
「神ってどういうことですか?」
「言っておく。俺が神だ。お前は俺を超える。」
…
水琴は席を離れた。
「おい!待て待て!まだ話は序の口しか…クソォ…」
その時、
ゴロォォォォ!
晴れていた空から雷が落ち、一瞬だったが停電した。
そして皆が外に注目し、木から煙が上がっていた。
「なんですか?」
水琴が戻ってきて話しかけた。
「すまん俺のせいだ。ゼウスの喜びは繁栄、怒りは厄災だ…とにかく、さっきのは本当だ。いい加減ちゃんっと聞け。」
「はい…」
あ、ついたついた。
ある学生がテレビをつけた。
「…現在、スターバックス八王子東急スクエア店で、1週間前に脱獄した野後実爪死刑囚を名乗る人物が、別の脱獄犯とともに襲撃し、怪我人も出ているとのことです。えー現場の原馬さんお願いします。
…はい、スターバックス八王子東急スクエア店の前にいます。現在非常に緊迫した状況で一般の方々は半径50m以内立ち入り禁止となっていまして、報道陣には防弾チョッキの着用を呼びかけています。えー現在も…あ、叫び声がしました!何か起こったようです!何か人が、いや、何かがこちらに目を向けています!人じゃないです!…
…あれ?なんか切れた。えー情報が入り次第続けていきます…」
「フロースか…」
「何ですか?」
「あぁちょっと訳してみた。じゃなくてアレがそれだ。」
スターバックス八王子東急スクエア店
キャァ!
くぁ…お前ら叫ぶことしかできねぇのかよ…
店員を思い切り殴り、店員の首が270°ほど回った。
野後実爪…日本を代表するシリアルキラーである彼に、慈悲の心はない。彼は異形の姿となり、一人、さらに一人と殺していった。
それを何食わぬ顔で見ていた青年がいた。
條野だった。
「ねぇ…そろそろ行こうよ…」
…そうだな…
條野もフロースになり、野後とともに警官隊に突っ込んだ。
病院
PPPPPPPPPPPPP…
成瀬のスマホが鳴った。
「はい成瀬です…そんなの無理ですよ!彼の心は砂のこぼれたサンドバッグのようにボロボロ何です!」
「…あの、そこまでではないと…」
大野が突っ込んだ。
「だったら戦えるの?」
「…」
「とにかく、対USの使用許可は出すので…はいそれでは!」
アパート
今日は文目は午後出勤だった。暇だった。
ちょっと…ねぇ!…
「どうした?なんだっけかお前。」
イリス!…とにかく早く!…
「だから俺をどうしたいんだ?」
だから!…
文目の眼が蒼く光った。
八王子
野後は通行人を襲いに襲い、暴れていた。
…くぁ…ドゥアラ!
「ひー!じいや〜!前の車が燃えてるぞ!」
綾助の乗っているリムジンが立ち往生していた。
…くぁ…!
リムジンを襲おうと野後が近づいてきた。
ダァァァァ!
文目が現れ、野後を止めた。
「うわぁぁ!なんか増えた〜っ!」
「綾助様、慌てなければこちらには来ません…」
そう言うじいやも、ハンドルを握る手が震えていた。
ウルァ…!
野後は文目を街路樹ごと吹き飛ばした。
ガハ…クソォ…
…ケヘヘヘヘヘ…
「あーつまらない…」
條野は「傍観者」になっていた。
…かかってこい…
ジジジジジジ…
野後の腕から、大きな「爪」が出てきた。
それは悪魔のように禍々しい「爪」。
まさに、「悪魔の爪」だった。
…本気ださねぇと、死ぬぞ…
残念ながら本気出せねぇんだよ…
文目は絶望に包まれていた。
ブサ…クグチャ…シャ…
気味の悪い音を出して文目の身体を切った。
ガャァァァァァ!
この時、文目は自分は死ぬと確信していた。
それなのに、なぜか息が絶えなかった。
心と身体の「気」が正反対を向いていた。
…おぉ…まだいたのか…イェア…
野後は綾助を狙って襲いかかろう
…というその時、剣をかまえ、異形で華麗な甲冑を身に纏った戦士が、綾助を守った。
フン!ハッ!
…なんだお前…
貴様に名乗る必要は無い!
戦士は剣で野後を吹き飛ばした。
…ギャハァァァァ!…
「戦士」は姿を変えた。
「誰だ…お前…」
綾助は声をかけた。
「紳士、式部京紫と申します。」
つづく