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第10話

ダァァァァ!

ゼウスに向かってフロースが突っ込んできた。

その瞬間、

ツルン!

リング上で滑った。

リングのマットを見ると、油のようなものがまかれていた。

「オイルじゃつまらんか。もっと神々(テオス)らしくやってみるか。も一回突っ込んでみろ。」

ンダトォ!

相手は激昂してもう一度突っ込んできた。

すると今度は消えた。

ドコダァ!

「…ここ(お前の体)だ。」

グジャァァァァ!

破裂した。

オォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!


アパート

文目はメンチカツを眺めていた。

ボォーッと、何も考えずに眺めていた。

やっぱ…

考え始めた。

やっぱなんかひっかかるな…アイツ(アヤ)の事考えると…


貸家

「なぁ〜に考えてんだろな〜。ひょっとしたら…あの(アヤ)の事だろなぁ〜。」

梨楽は煎餅を片手に持ち、お茶をすすりながらパソコンのモニターを見ていた。


若宮家モニタールーム

「なんでだ…ちょっとみんな見てみろ!」

こっちもモニターを見ていた。

「ここ、塀の奴だけど時間見てみろよ。今止めてんの13:02:15だろ。再生するぞ。」

16…17…18…54!?

時間が変わった。

「13:11:54…?」

9分間時間が飛んでいた…

「まずこの9分49秒間、何が起きてたんだ?」

「ちょっと待て。右端のアレ…なんだ?」

一人の同僚がさした場所。そこには足のようなものが見えていた。

「解像度上げてみろ。」

そしたら何が写っているのかはっきりわかった。

革靴…


アパート

革靴…

文目の部屋の玄関に同じようなものがあった。

文目はまだメンチカツを眺めていた。

今日は京紫から勝手に会社を休まされたが、電話する気力が無い。

面倒だ…

メンチカツを眺めている方が良い。


リング外

破裂し、血がリング外まで飛び散ったので、試合を一時中断し、清掃が始まっていた。

ゼウスはレフェリーから注意を受けていた。

「君ねぇ、リングの外まで飛び散らすような奴はやめといてくれる?こう客追い出して掃除してんだからさぁ。」

「ほいほい。」

水琴は倒れていた。

「おい!起きろ!」

ゼウスは水琴を蹴った。

水琴はそれでも目覚めない。

それだったらとゼウスは水琴の服の襟を掴んで脇腹にパンチした。

すると水琴の目が紅く光り、波動がゼウスを吹き飛ばした。

「ウッ…まぁいいじゃねぇか元気あるほうが。」


霞ヶ関

キキーッ!

近くに車が止まった。

ガチャ…バン!

「彼はここにいるはずだ。探すぞ。」

「はい!」

あの社長だった。

社長は砂に足を取られながらも懸命に彼を探した。

彼…とは。

「クァ〜…」

「ねぇ、なんか来たよ。」

野後と條野だった。


若宮邸

式部は多少焦りながら歩いていた。

「式部くん。」

貴義が声をかけた。

「!…なんでしょうか?」

「別にそんなに戸惑う必要はない。君に我が家の事情を話さなければならないと思っていてね。」

「君を呼んだ理由は綾助の自立のためだ。彼は甘やかしすぎたからね。そして…


…………………………………………………………


「そうですか。では今日はピアノのレッスンはどうでしょうか?」

「うむ、ピアニストも上品な職業だ。5時から頼む。」

「はい。」


世田谷

「どうすればいいんだ…」

大野は歩きながら考えていた。

ボーッとして辞めようかと考えていた。

キャーッ!

するとどこからか悲鳴が聞こえていた。

クァ〜…

野後と條野が暴れていた。

「あいつは…」

ダァッ!

文目がきた。

…ボーッとすんのやめんのめんどいんだよ!

メンチカツを眺めるのを中断されたからか、かなりイラついている。

おいおいこっちもイラついてんだよ…

野後は「悪魔の爪」を振り回して電柱を「斬った」。

ジュワァ…

すると断面から匂いがした。

非常に臭く「斬った」のではなく「溶かした」ような断面だった。

…おいおい。

悪魔の爪から液体が垂れてきた。


車内

「やはり強力な酸を用いるのは正解だったな。」

社長がモニターを見ていた。

何か仕込んだようだ。


「うわぁぁ!」

大野はこれまで戦い続けていたにも関わらず怯えていた。

なんだあのヘタレは…

野後は大野に目をつけた。

くぁ〜…

野後が爪を構えて大野に近づいた。

「…」

大野は何も声を発せなかった。

オラァ!…

野後は爪を振るった。

…ダァ!

ジュワァァァァ…

…くっ、ウゥ…

文目は爪を自分の右腕で止めた。

文目は自分の腕を溶かしてでも大野を守ろうとし、守った。

「あなたは…」

…っしゃあ!

大野が声をかけようとした時、文目は既に野後に飛びかかっていた。

…ハァァァァァァ…

ダァァァァァァァァーッ!

文目は構えて、野後にパンチをくらわせた。

グワッ、ハッハ…


車内

「怯むんじゃない。進みなさい。」


うるせぇ…

野後は人の姿に戻った。

「飽きた。」

野後は回り、後ろを向いた。


貴様を粛清せねばならぬ…

「ん…どうした。」

バァ…!

野後の何かを冥界の者は奪った。

命など、貴様には必要無し…

ジュワァァァァ!

野後の体が溶けてきた。

命を無くし、酸への耐性も無くなったのだろう。

こう説明している間、野後の体はこの世から無くなっていた。

…お前、何なんだ?

文目は目の前の者に話しかけた。

我は冥界の者。貴様らを消す者…

…だったらなんであいつを殺した!

ハデス様の権限は絶対。貴様も今消す…

社長が車内から出てきた。

「…あなたは、なぜ私の素材を!」

貴様も、貴様も注意せよ。ハデス様が飽きたら…

そう言うと冥界の者は消えた。

文目は元の姿に戻り、大野の元へ歩み寄った。

「大丈夫か?」

「…!はい。って、この声もしかして。」

「そう簡単に怖がるな。」

「君!」

社長が声をかけた。

「竜胆文目君。君も奴らのリストに入っている。野後実爪のように殺される。君も我々のように売ったほうがいい。」

売ったほうがいい。媚びを、ということなのだろう。

「何言ってんだよ。お前…」

文目はその場から立ち去った。

文目が立ち去ったのを見て、大野が顔を出した。

「⁈…」

大野は動揺した。

「…與崎(ともさき)さん?!なぜ!」

大野は社長の顔を知っていたのだ。

「大野くん。いたのか。我々は敵ではない。我々を取り仕切ろうとする…神だ。」

「神…?」

「そうだ。彼らは彼ら自身のことをギリシャ語で『テオス』と呼ぶ。彼らは人類を粛清しようとしている。時間がない。」

「だったら…與崎さんの言ってることが本当だったら、どうすればいいんですか?」

「今私は、テオスが会長である企業の社長となって調査している。その企業の名は…」






5時

若宮邸

夕日の差す中、式部が綾助をレッスンルームに呼んだ。

「さぁ綾助くん。今からピアノのレッスンを始めよう。」

「…ん、そうか。」

「今日から私がショパンの『革命』をもとに作曲した『躍動的な革命』を弾いてみよう。」

「…あ〜躍動的になってんだな〜。」

「そう、二台のピアノを使う非常に高度なものに仕上がっている。」

「…おい?」

「さぁ始めよう。」

「いやちょっと待て!」

式部は自分のパートを弾き始めた。

しかし、

綾助は、符を読めなかった。

「…ん、どうしたんだい?綾助くん。」

「俺カエルの合唱しか弾けないんだよ!」

ガッダッン!

式部は、式部の座っていた椅子の足が折れるほどの衝撃を受けた。

「そうだったんかーい!」

(ピアノを弾けるのは上流階級の人間のたしなみでは…無いのか。)


アパート

文目は階段を登り、自分の部屋に行こうとした。

「竜胆さん。」

アヤが、文目の部屋の前にいた。

「また、見たんです…」

すると…


チュッ…


つづく

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