魔法について
【魔法の基本構成要素】
魔法の基本構成要素は二つ。行使者の魔力と外界の魔力要素である。
魔力とは、最も広義には「行使者が外界要素を取り入れて利用する能力」を指す。この能力が高いことを魔力が高いという。またこのとき、利用される外界要素のことを魔力要素という。
気力が自己の内部要素を取り出して外界に及ぼす能力であり、内から外へベクトルが向いているのに対し、魔力は外界要素を取り入れて利用する力であり、外から内へベクトルが向いている。ゆえに魔力と気力は反発し合い、通常(フェバル等三種の例外的な超越者を除いては)双方を高いレベルで維持することはできない。
定義通りに解釈すれば、極めて抽象的で広い概念である。取り入れて利用することのできる外界要素、すなわち魔力要素は、理論上あらゆるものが対象となり得る。例えば、酸素を取り入れて呼吸を行うことも、辞書通りに当てはめれば、酸素=魔力要素、呼吸=魔法となる。この場合、肺活量が高いことを指して魔力が高いということになるだろう。
しかし、このような用法はさすがにナンセンスである。一般に魔法と呼ばれるものは単なる物理法則を超えた超常的な事象であり、これらを引き起こすことのできるものは限られている。普通、魔力要素という場合、潜在的に超常的事象を引き起こすことが可能なものに限って使われる。
また注意であるが、魔法は行使者が魔力要素を「取り入れて」「利用する」行為のことである。たとえ上述の普通の意味で魔力要素とされるものであっても、行使者が「取り入れることなく」、魔力要素本来の性質のみに基づいて生じる、あるいは生じさせられた事象は、単に物理事象であり、魔法とは区別される。例えば魔素は単体で高いエネルギーを持ち、濃縮すれば燃料として使用することができる。しかし燃料としての利用は物理事象である。一方、行使者が取り入れた魔素を濃縮、制御して放てば、それは魔法となる。
行使者は必ずしも人である必要はなく、他の生物が引き起こしても、機械によって代行させても、それは魔法である。物理事象か魔法か、判断が微妙な事象もある。
魔力要素を利用する手法は、世界によって様々であるが、これらは魔法体系と呼ばれる。種々の魔法体系については後述する。
【魔力要素】
一般に魔力要素とされるものは、次の条件を満たす。
・高いエネルギーをもつが、自然な状態では安定的である(一般にエネルギーと反応性は比例するため、この条件を満たすことは難しい)
・行使者が取り入れて利用することが可能である(一般にエネルギーが高いものは毒性を示すことが多いため、この条件を満たすことは難しい)
・行使者の利用次第によって、本来の性質にはない超常的な事象を引き起こすことができる(極めて難しい)
特に三番目の条件を満たすことが難しく、魔力要素となるものは非常に限られている。この事実が、魔法が行使できる世界が比較的少ないことの一つの要因となっている。
魔力要素の強さを示す単位としては、主にエンパワー値=(単位量当たりの魔力要素保有エネルギー)×(平均一人当たりの実効吸収量)が用いられる。
魔力要素の保有するエネルギーが高いほど純粋な魔力要素としては強いはずであるが、人にとって魔力として利用可能な形で吸収されなければ、魔力要素としては使えない。
そこで、平均的な人を想定し、その人物が「魔力として安全に利用可能な形で吸収できる量」を「平均一人当たりの実効吸収量」として定義する。すると魔力要素の強さは、上述の積――すなわちエンパワー値として表される。
以下に、いくつか代表的な魔力要素の例を示す。各々の世界によって同じものであっても呼称が異なるため、ここではダイラー星系列で普及している呼称(を日本語に翻訳したもの)を用いる。
・魔素
魔力要素として最も有名で代表的なものは、その名に魔を冠する魔素である。実現可能な魔法現象の自由自在さから、万能元素とも呼ばれる。常温で無色透明の気体、高度に濃縮するとエメラルドグリーンを示す。
魔素は宇宙誕生の際――ビッグバン現象の核となった物質とされており(このことを指して、ビッグバンを究極魔法と呼ぶ向きもある)、同現象によって生じた凄まじいエネルギーにより、ほとんどが消失、あるいは変質してしまったが、ごく一部の星ではそのままの形で大量に残っている。
ごく一部の星にしかなくとも、宇宙で最もポピュラーに存在する魔力要素である。エンパワー値も全宇宙で知られる中で三番目に高い。
・プレマライト
魔素に次いでよく利用される魔力要素が、プレマライトである。常温で紫色の固体であり、純度によって色合いや輝きが異なる。固体であることから、魔石とも呼ばれる。純度の高いものは魔素よりも強力なエンパワー値を持つが、平均的なものはより低いとされている。魔素の約十倍~数百分の一程度と、ものによるばらつきが大きい。ちなみに呼称についても、魔素と比較してばらつきが大きいようだ。
プレマライトの主な利用方法は、魔具の核としての利用である。魔法の行使者は、必要に応じて身に着けたプレマライトよりエネルギーを取り込み、魔法を行使することができる。
プレマライトに秘められたエネルギーは使用とともに減少していくが、日光等によって自然回復する。また、プレマライト同士で移し合うこともできる。過度な使用や老朽化によって粉々に割れてしまうことがあり、こうなるともう二度と利用することはできない。
携帯可能であることから、魔力許容性さえ高ければ、魔力要素の存在しない世界に持ち込んでの魔法の行使も可能となる。
・ヒポランタン
魔素、プレマライトに次いで広く宇宙に普及している。魔素とほぼ同じ性質を持つ気体であるが、濃縮した際に赤色を示すことによって区別できる。エンパワー値は魔素の約五分の一であり、劣化魔素とも呼ばれる。魔力許容性の比較的低い世界に分布していることが多い。
・コノン
宇宙にヒポランタンと同程度の量分布している気体だが、こちらはさらに魔力許容性の低い世界に存在することが多い。濃縮した際にごく淡い黄色を示すため、黄素とも呼ばれる。エンパワー値は相当に低く、黄素を利用しても、実用的な魔法はほとんど一切使用することはできないだろう。
・シュアーホワイト
宇宙では珍しい常温液体の魔力要素。白濁色であり、行使者は直接飲んで取り入れることもできる。ただし、非常にまずいとの評判。エンパワー値はさほど高くなく、魔素の約四分の一に留まる。
・デュコンエーテリアス
宇宙に散らばるダークマターのうち、魔力要素として利用できるものの一種。暗黒魔素とも呼ばれる。
ビッグバン現象によって変異を起こした魔素の亜種とされている。利用にはダークマターの濃縮分離技術が不可欠であり、高度に進んだ文明でしか扱うことができない。魔素の約百倍強もの単位量当たりのエネルギーと、約十分の一の平均一人当たりの実効吸収量、掛け合わせて魔素の約十五倍のエンパワー値をもつ。
・星光素
星脈に漂う淡く白い光の素は、星光素と呼ばれる。星脈内部に豊富に存在するほか、星脈の流れの停留点、星々にもごくわずかながら漏れ出ている。
漏れ出ている星光素については、魔力要素として利用できる。しかし、フェバルを始めとした一部の超越者にしかそもそも存在を認識することはできず、利用できる技術を持つ者となるとさらに限られる。ダイラー星系列は、星光素の利用技術を持っている。
フェバルの能力によって、魔力許容性の低い世界、あるいは元々魔力要素の乏しい世界で魔法が行使される場合は、まず星光素がエネルギー源として利用されていると考えてよい。宇宙で知られている中で最も強力な魔力要素であり、単位量当たりの保有エネルギーは実に魔素の数万倍にも及ぶとされている。しかし平均一人当たりの実効吸収量が低いため、エンパワー値としては魔素の約500倍である。
【魔力要素の強さ一覧】
魔素を100として、エンパワー値順
星光素 50000
デュコンエーテリアス 1500
魔素 100
プレマライト(平均値) 40
シュアーホワイト 25
ヒポランタン 20
コノン 3
【魔法体系】
工事中




