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故郷(ふるさと)は暗闇に消え

 暗闇が突如として村を襲う。

 人々は怯え、逃げ惑う。

 暗闇の奥には、逃げ遅れた人々や家畜が横たわっている。

 暗闇に触れた生物は皆一瞬にして動きが止まり、精巧な蝋人形のようになってしまった。

 今にも動きそうなのに、動かない。そして永遠に動くことなどないだろう。

 命のともしびが消えてしまっているからだ。


 この暗闇に包まれた大地は『死者の地』と呼ばれ、決して誰も近づこうとしない。


 迫る暗闇を食い止めるべく、2体の巨人が駆け付けた。

 人間の8倍くらいはあるであろう巨体。その巨体が空を飛んでいる。

 赤い巨人と緑の巨人が暗闇を前にしている。

「行きましょう」

「ああ、分かってる」

 それぞれの巨人には人が乗り込んでいるようだ。

 乗っている青年たちが声をかけあっている。

 二体の巨人が左腕を挙げ、掌から魔力が込められた光弾を放つ。

 地面に当たった光弾が爆発し、暗闇の侵食が一瞬後退したように見えた。

「やったか?」

「……いいえ、まだ止まっていません」

「くそっ」

 休む間もなく巨人の掌から光弾が放たれ続ける。爆発が断続的にに起こり、やがて大きな爆発となった。

 爆発による煙やほこりで辺りの様子が見えなくなっていた。

「今度こそ、やったか?」

 青年たちは期待と不安を抱きながら、光弾が放たれた先の様子を見ていた。

 しかし、目の前の光景が青年たちの期待を裏切ってしまう。

 暗闇がなおも前進している。そしてゆっくりと、青年たちの心を絶望色に染めていく。 

「どうすれば、どうすればいいんだ……、くそぉっ」

 巨人の中の青年たちは、自分たちの村が暗闇に飲み込まれていく様を見せつけられてしまった。

 こうして彼らは、住み慣れていた場所から追い出されてしまった。


 故郷ふるさとを失うということ。

 それは、心の拠り所を失うということ。

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