月曜日の教室
今話タイトルは「月曜日の教室」です。
時間は「美樹の家にて」の翌日です。
……悠の苦難は続く。
翌、月曜日。未来也が学校につくと、悠がクラスメートに囲まれている。
「で、ミキちゃんの家はどんなだったんだよ?」
「あの二人はいつも以上にラブラブだった?」
「ほら、まだ本人たち来てないんだから、さっさと吐いちゃいなさいよ」
誰も、未来也の到着に気付いていないようだ。
「片方ここにいるぜー!」
「もう片方もいるわよー!」
ちょうど美樹も到着していたようだ。
クラスメートたちは、いっせいに壁際まで逃げてしまった、……なぜか、悠もそれに倣っている。
「ちょっと?! なんでみんな逃げるのよ! ひどいじゃない!!」
「僕はみんなを驚かせようと思って、こっそり近づいたんだけどな」
「え、そうだったの? 私はてっきり、みんなの輪の中に入りたいんだと思ったのに……」
悠もほかのクラスメートも、すでに会話にでてこない。完全に二人の世界に入ってしまった未来也と美樹だった。
そんな様子を見て、クラスメートたちは「こんだけ甘い空気を醸しておいて、付き合ってないとか……なぁ?」と、ひそひそ確認し合っている。
ちなみに、このクラスにいる『納葵』という苗字の双子も、世間一般からすれば十二分にラブラブなカップルに見えるが、この二人と比べるとそうでもないように思える。
「……おい、納葵。お前ら出番だろう」
「ちょっと、押さないでよ」
「そうよ。だいたい、なんであたしたちに振るのよ!」
「なあ、ミキーズ。納葵たちが話したいってよ」
そう言われて押しやられる双子。弟の夕日と姉の呉葉である。
「……なあ、『ミキーズ』ってなんだ?」
「……さぁ? 二人とも『ミキ』だからじゃない?」
ミキーズと呼ばれるのは初めてなので、困惑気味な未来也と美樹。
「……けど。あれ? もしかして聞いてなかった?」
「ん? ごめん夕日。聞いてなかった」
「だから、私たちは特に用はないのだけど、あなたたちの甘い雰囲気にみんなが耐えられなくなってしまったみたいよ?」
「あら? その言い分だと、呉葉さんたちも同じようなものでなくって?」
なぜか、美樹と呉葉は仲が悪かったりする。初めて会ったのはこの四月であるが。
「ちょっと、二人とも! 喧嘩はやめようよ!」
「なんですの、あなたは?」「夕日、少し黙っていなさい」
しばらく口を挟み続けて軽くあしらわれるので、「お助けを」という念を込めて未来也の顔色を窺うと、仕方ないな、といった風に美樹の隣に立った。
「美樹、もうそのくらいにしてやれ。けしかけられたとはいえ、発端は僕たちらしい」
「……キミちゃんがいいなら……。今回は許してあげるけど、次があるとは思わないことね。呉葉さん」
「なんだか随分と上から目線ね。まあいいわ。今回はこれでやめてあげる」
どうやら言い合いは終わったらしいことを確認した夕日は、未来也に話しかけた。
「ありがとう。助かったよ『ミキ……』、あれ? 『キミヤ』くんだっけ?」
「まだいたのか……。『キミヤ』ではなく『ミキヤ』だ。ミキが『キミちゃん』と呼ぶからといって間違えないでくれ。そろそろ三ヶ月経つぞ」
「未来也?! 僕のときとは随分対応が違うじゃないか」
夕日が「ごめん」と口を開くより早く、悠が割り込んできた。
「悠はいつもだけど、夕日はあまり話したことないだろ。それなのに同じように怒るのは、違うと思うぞ」
「そうよ悠くん。あたしの夕日になんてことを……」
「呉葉。今悪いのは僕なんだ。……ごめん、未来也くん」
呉葉よりも夕日のほうが対応が大人だなと、教室中の意見が一致したことだろう。
「やっぱり、ミキーズほどじゃないけど納葵もすごいよな」
「あら? 私たちがなにをしたというの?」「愛する夕日のためだもの」
教室中の空気が固まると、先に口を開いたのは美樹。
「永井くん。この子、ちょっとばかし天然さんなのかしら?」
「悠くん。この人分かってて言ってるわよね?」
ここで悠に白羽の矢が立ったのは、単に近くにいるというだけではなく、悠が納葵姉弟と旧知だということも関係している。
「ぼ、僕に聞かれてもなぁ……。そうだ、夕日くんはどう思うんだ?」
「今度はどっちもどっちだと思うけど……。未来也くんはどう思う?」
悠が夕日に投げたところ、結局、夕日も怖いので未来也にそっと渡すことにした。
未来也が教室をぐるっと見回すと、真っ先に目をそらした女子生徒に聞いてみることにした。
「そそそ、それなら、な、納葵くんの言うとおりだと、お、思います!」
「だ、そうだ」
「……仕方ないわね美樹さん」
「ええ。今回はおあいこね」
少し、ギスギスした空気を残したものの、一件落着のようだ。
うーん。自分で言うのもアレですが、微妙なお話ですね。
結局、なにがしたかったかというと、
・呉葉と夕日の初登場
・美樹と呉葉の口喧嘩
なんですけど、どう仲裁していけばいいか分からず……。
書いていませんが、こんな設定が……、ってあれ? ぱっと思い浮かばない……。
……あ、ありました。
言い合いの最中、「この子」「この人」と呼び合うところがありますが、呉葉の方が美樹より先に生まれています。(詳しい設定はありませんが……)
次話タイトル(予定)は「月曜日の放課後」です。
こんない人いたらすごいなー、という特技を持った人たちでした。というお話です。(嘘ではありませんが……、ねぇ?)
時間的には、今話の放課後のお話です。
悠くんが微妙に活躍。悠が誰のつながりか分かっちゃう人がいるかと……。
次話、次々話、その次はとても短いです。(特に次々話)
次話から、本編らしくなるかと思います。2013.3.18 23:05