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噂の動物屋敷  作者: 鵠っち
日常~動物屋敷へ~
6/50

美樹の家にて(2/4) 約束

 今話タイトルは『美樹の家にて(2/4) 約束』です。

 どんな約束なんでしょうかね。

 ややあって、三人が落ち着いたころ。

 美樹の母がお茶とお菓子を持って美樹の部屋にやってきた。

「少し騒いでいたようだけど、なにかあったの?」

 この家は、初めて来た人が迷うほどに広いので、離れているリビングやキッチンにいては多少騒いだところで聞こえないはずであるが……。近くの部屋で待機していたのであろうか。

「で、美樹ちゃんの好きな人って? お母さんも気になるわぁ~」

 ややあって、三人が落ち着く、そのちょっと前の話。

 定番といえば定番の『好きな人』という話題もあった。

 美樹が話の流れに動揺して、未来也を制するために『未来くん!』と言ってしまいさらに動揺して、この手の話題にしては少し荒れたものになってしまったのである。

「母さん、いったいいつから聞いてたのよ!? 盗み聞きなんて趣味が悪いわよ!」

「昔はお風呂で水遊びしたわね~、って辺りからね。あと、盗み聞きしていたのではなくて、聞こえちゃったのよ」

『好きな人』という話題のもうちょっと前の話である。かれこれ三十分は聞かれていたようだ。

「ま、美樹ちゃんは昔から未来くんにべ~ったりだったものね」

「ちょっと、母さん!」

 今までの話から、まあそうなんだろう、と一人納得している悠をよそに、美樹と未来也は少し怪訝な顔をしている。

「あら? 結婚式は華やかにやってあげましょうね~、って話はもうしてるんだけど?」

「えっ……、初耳ですよ?」

「そうよ! なに本人たちをすっ飛ばして親同士で勝手に決めちゃってるのよ!」

「……許婚?」

「あっ! 意気込んでやってきた二人が拍子抜けする様を楽しみにしてたのにぃ~」

 なにやらサイテーなセリフが飛び出した気がするが、そこはグッと堪えて……、

「……いつの間にそんなこと話し合ってたのよ」

「いやぁ、何年か前にね、二人が結婚するって言ったらどうしよっかー、って話になってね、無駄に反対したりしないで盛大に祝ってあげようじゃない、って話がまとまったのよ。

 ああ、それから、無理に結婚しろなんて言ってなくてね、別に許婚とかいう話じゃないのよ?」

 なにやら開き直った感のある美樹の母である。しかも、ボソッと言った悠の一言にキチンと返すあたり、非常に耳聡い。

 おほほ~、とか、うふふ~、とか誤魔化しながら部屋を出て行った美樹の母の気配に耳を澄ませ、確実に遠ざかったのを感じてから、ほっと安堵の息を漏らす三人。……悠は二人に気圧されただけであるが。

「……とりあえず、永井くん。今のは誰にも言っちゃだめだからね?」

「う、うん。分かった」

「じゃあ、未来也くん。私たちは何も聞かなかったことにしましょう」

「ああ、そうだな。それがいい」

 数分の沈黙の後、最初に口を開いたのは未来也だった。

「……悠、すまないな。せっかく遊びに来たのにこんな話になって」

「そ、そうね。気を取り直して何かしましょう。……といっても、トランプくらいしかないのだけど……」

 ちょっと言うと、花札とオセロもあるのだが、花札のルールが分からないのと、オセロが二人でやるものなので、トランプ以外の選択肢がないだけである。

「いつもは二人でトランプやってるの?」

 ……もっともな疑問である。

「いつもは、こんなことしないでお喋りしてるだけよね」

「う~ん、滅多にやらないよな」

「やっぱり、仲のいいカップルにしか見えない」

 その後、ゲームに熱中しすぎて日が暮れるころ。

 三人とも上手くないので一回が結構長かったが、気にする者はいない。

「あっ、もうこんな時間!? そろそろ帰るよ」

「そうか。悠はもう帰らないと、家に着くのが真夜中か」

「そうね。駅まで送るわ」

「ありがとう。ここらへんに来たのは初めてだったから、迷わないか心配だったんだ」

 悠が住んでいるところは美樹の家から遠い。それなりに田舎なので、今から急いで最終に間に合うかどうかだ。

「じゃあ、母さんに永井くんを駅まで送ってくるって言ってくるから。ちょっと待ってて。未来也くんもそのまま帰る?」

「いや、お母さんにちゃんと挨拶したいから、一回戻ってきたい。いいか?」

 未来也の言葉を聴き、美樹は家の奥へと向かった。


 悠を駅に送って、美樹の家に戻る途中。

「……覚えているわよね?」

「……ああ。忘れるはずないだろ?」

 二人は昔交わした約束を再確認した。

 約束の内容は『悠への口止め』ともう一つ。最後のところ、空行のあとの『約束』ですね。

 本文中では、遠回しのさらに遠回しなので読み取れる人はいないかと……。(読み取れないでほしいなぁ~、なんて……)

 未来也と美樹の台詞が全てです。なので、次話以降、はっきりとは約束の内容は出てこない予定です。が、会話の端に、この約束が前提となる台詞が出てくるかもしれません。


 本文中の説明を少し。

 今話(前話もですが)、『美樹の母』と書いています。

 美樹の母だけでなく、美樹の父、未来也の両親、悠の母、音子の両親の名前も考えてはあります。

 その中で、名前が出る予定なのは、未来也の母、美樹の母、悠の母です。一度名前を出したら、その部分から名前に置き換えます。少し読みにくいかもしれませんが、ご容赦ください。2013.3.7 23:45

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