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噂の動物屋敷  作者: 鵠っち
日常~動物屋敷へ~
5/50

美樹の家にて(1/4) 悠の困惑

 章タイトルが変わりました。

『プロローグ』から『プロローグ~噂の動物屋敷~』、『仮題「本編」』から『日常~動物屋敷へ~』。


 前話(五月の出来事)を修正しました。高校二年の設定から高校一年に変わりました。ごめんなさい。細かいところのミスです。ストーリーには関係……ちょっとありますが、読むにあたってはあまり気にする必要はありません。


 今話タイトル「美樹の家にて(1/4) 悠の困惑」。悠が困惑する原因は……?

 翌々週、土曜日。

「ここが美樹ちゃんの家……」

「あ~、遠慮なく上がって」

「……美樹ちゃんの家だよね?」

 ここは美樹の家だが、なぜか未来也が受け答えしている。

「そうだが?」

「じゃあ、なんでさっきからキミヤが案内してるの?」

「やーねー、永井くん。また『キミヤ』になってるわよ?」

 なぜか美樹からのツッコミだった。……分からない。

「ごめん……って、さっきから二人とも逆じゃない?」

「そう? 未来也くんはどう思う?」

「いつもは未来也のこと『キ……』」

「さあ? なんのことかしら」

 悠は、美樹にクッションを押し当てられて喋ることができない。

 そんな悠が視線で未来也に助けを求めると、美樹の手を優しく掴んでクッションを下げさせた。

「あら、未来くん! 来てたのね!」

「母さん、来てたのね~じゃないわよ。今日来るって今朝言ったじゃない。それと、そっちにいるのが永井悠くん」

「初めまして。クラスメートの永井悠です」

「あらあら。美樹ちゃんがお世話になってるわね。私が美樹ちゃんの母です」

 未来也は、小さいころからよく来ていて「第二の家」といった感じである。未来也が全て案内していたのは、美樹からは「遠慮なく~」とかいう言葉が出ないからでもある。美樹もそんなことを気にした様子はないので、これでいつも通りなのである。

  美樹の家、森邸は広い。初めて訪れる人は迷子になる人もいるくらいである。美樹が二人を伴って帰ってきて、少し経ってから美樹の母がやってきたのはそれが理由である。

「悠くんって、男の子だったのね……」

 美樹の母がそう呟いたのは、だから誰にも聞かれていない。


「ここって美樹ちゃんの部屋だよね?」

「そうだが、どうかしたか?」

「だから、それは美樹ちゃんが言うセリフだと思うんだけど……」

「そうだけど、それがどうかしたの?」

「美樹ちゃんが言っても、結局同じ答えしか返ってこないんだ……」

 先程も同じようなやり取りがあったような気がするが、誰も気にしてはいない。

 いや、悠だけは気にしているが、表面上は取り繕っている。

 そんな悠は、疑問を解消するために、勇気を出して美樹に質問してみることにした。

「なんで美樹ちゃんの部屋に、男物の服があるの?」

 女の子の部屋に男物の衣類が普通に置いてある。ちょっと不自然である。

「それは未来也くんのよ」

 未来也は小さいころから、よく美樹の家に泊まっていて、そのときは美樹と寝起きを共にしている。当然、悠がそんなことを知っているはずもないので、悠が不思議に思うのも無理のないことである。

 それなのに、さも当たり前のように言われてしまい、困惑する悠。それが普通なのか、と思ってしまいそうである。

 そんな困り顔の悠に気づいた未来也が説明を始める。

「僕と美樹は幼馴染だ。ここまではいいな?」

「オーケー。それで?」

「そこまで分かれば特におかしなことはないだろ?」

「……えっ、説明終わり?!」

「それ以上何かあるか?」

 仕方ないわね、と今度は美樹が話し始めた。

「小さいころから、未来也くんはよくここに来ているのよ。そこまではいいわね?」

「まさかそこで説明終わり、じゃないよね?」

 とりあえず、悠の言葉を無視して話し続ける。

「小さいころからお泊りするときはこの部屋なのよ」

「その割には服のサイズが大きいと思うんだけど……」

「当たり前じゃない。十五年も同じさサイズの服を着られる子どもがどこにいるのよ?」

 遺伝子やらなにやらの関係でそういう症状の人もいるようだが、一般的ではないので考えないことにする。

「ん? ということは、今でも泊まってるの?」

「そうよ」

「美樹ちゃんの部屋に?」

「ええ」

「美樹ちゃんはその間どうしてるの?」

「ここにいるわよ?」

 何を当たり前なことを、という感じで言われてしまい再度困惑する悠。年頃の男女なのだから普通は別の部屋にするのではないか、と。しかし、この二人を見ていると、その方がおかしいのではないかと思えてくる。

「だいたい何でも一緒だよな」

「そうね。昔からトイレ以外は一緒よね」

「……俺ってもしかしなくてもお邪魔か?」

「何でそういうこと言うのよ! それだったら最初から呼ばないわよ!」

 何気なくぼそっと言った一言だったが、美樹を怒らせてしまった悠である。そして、声を荒らげた美樹に驚いているのは未来也も同様で、少し思案顔である。

「まあ、美樹。少し落ち着こう。……ごめんな、悠。突然」

「ご、ごめん。……まさか聞こえるとは思わなくて」

 今度は泣き出してしまう美樹。何がなんだか分からずにおろおろしているのは悠である。

「悠、なんていうか、……美樹は謝られるのが大の苦手なんだ」

「……ごめんなさい、未来也くん。余計な気を使わせてしまって。……永井くんも、ごめんね」

 潤んだ瞳で未来也を見上げる美樹を見て、じゃあどうすればいいんだ? と思った悠であった。

 お泊りすると、寝ても覚めてもず~っと一緒な二人です。

 若干アレなセリフがありますが、お気づきでしょうか? 美樹のセリフですが、別にミスったわけではありません。(誤字があれば、ただの誤字ですよ)


 美樹の母の「悠くんって男の子だったのね」は、クラス名簿で名前を見て男の子? 女の子? と迷っていて、美樹の新しい友達と聞いて、勝手に女の子だと思い込んでいたためだったりします。男性か女性か分かりにくい名前の人ってたまにいますよね……。


 美樹の家が広いとありますが、部屋数が多く、一部屋の広さは普通サイズです。そのうち出てくる未来也の家もなんだかおかしいです。


 なぜ、美樹は謝られるのが苦手なのか……?

 自分が謝ることは普通にできますが、謝られるのが苦手です。ただ苦手というだけで、詳しい設定はありません。みなさんも『なんとなく○○が苦手……』なんてことありますよね? そんな感じですが、泣き出してしまうほど苦手です。(ぼくなんか、道で犬に吼えられると涙目で走って逃げます)


 次話タイトル(予定)は「美樹の家にて(2/4) 約束」です。

 どんな約束なんでしょうか。詳しくは次話にて(?) 2013.2.25 23:25

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