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噂の動物屋敷  作者: 鵠っち
日常~動物屋敷へ~
4/50

五月の出来事

 今話から本編です。

 章タイトルが浮かびませんので「仮題『本編』」とします。

 高校生5人が主役です。初めのうちは3人しか出てきませんが、この一話目は5人とも登場します。

 ・前書きにて()を忘れていたので修正。2013.2.20 17:00

 未来也たちを高校二年生から高校一年生に変えました。細かいところですが、大勢たいせいには影響はありません。2013.2.12 12:20

「キミちゃ~ん! 永井く~ん!」

 僕たちを呼びながら走ってくるのは森美樹(もりみき)。僕の幼馴染。

「美樹ちゃん、廊下を走ると危ないよ」

 そんな美樹に、当たり前のことを言うのは永井悠(ながいゆう)。高校生になってからの新しい友人。

「悠。美樹にそんなことを言っても聞くわけがないと、この一ヶ月で学んだろうに」

 呆れた口調でいう僕は加古未来也(かこみきや)。結構がんばって美樹と同じ学校に入り、一月ひとつきがたった。ちなみに『キミちゃん』とは僕のことである。

「いい加減に『キミちゃん』はやめてくれないか」

「え~、だって『ミキちゃん』だと、自分のことちゃん付けで呼んでるイタイ子みたいじゃない」

「だったら『未来也』と呼び捨てにすればいいだろ? 僕だって美樹のこと呼び捨てなんだし」

「未来也だって、不毛だと分かっていていつもそのやり取りをつづけているじゃないか」

 悠の言うとおり、このやり取りはかれこれ十二年は続いている。しかし……、

「ほら『キミヤ』、言い返せないじゃないか」

 こういうことになるから、やめて欲しいと何度も言っているのだ。

「……悠、わざとか?」

「……ごめん、わざとではない」

 いつも、なぜか美樹の呼び方が先行しやすいので、こういうのはクラスに毎年十人は必ずいる。それでも、普通は半月もすれば直るものだ。

「悠、何度も言うけど、一ヶ月以上経っても直らないのは今のところお前だけだ」

「…………」

「永井くん、そんなに気にしなくていいわよ。そのうち直るわ」

「間違いの発生源である美樹に言われたところで、気休めにもならないと思うんだけど」

「もぉ。幼馴染に対してその言い草は、ちょっと愛が足りないと思うのよね」

 愛とかいう言葉が普通に出てきたところでちょっとざわつく教室。でも、そんなことは気にしない二人である。

「愛って……。仲よさそうだよね、いつも」

 何気ない悠の一言のはずだが、どうやら二人にはお気に召さなかったらしい。

「あら、心外ね」

「そうだな。仲がよさそうだなんてな」

「そうよ。本当に仲がいいのよ」

 本当に仲がいいようである。『よさそう(・・・・)』ではなく。

「ねえ、二人って付き合ってるの?」

 唐突に、教室にいる誰かが言った。まだあまり話したことのない人物である。

「いいや」「そんな風に考えたことはないわ」

 二人のほぼ同時の回答に、再度教室がざわつく。

「加古君かっこいいって、あなた言ってたじゃない! 告白してみなさいよ!」「ええ?! い、いや、無理だってば、あれ!」

 と、女子生徒の囁き。

「お前、森さん可愛いってこないだ……」「ば、バカ! 言うな! あんなところに入れるか!?」

 こちらは男子生徒の囁き。

 どちらにも共通しているのは、『あの二人の間に入り込む余地などない』と最初から諦めているところである。

 余談だが、今、友人(たまたま近くにいたクラスメート)をけしかけたのは『納葵なき』という苗字の双子の姉弟である。

「そういえば、永井くんは結構一緒にいるよねぇ~」

 今度のは誰だろうか。悠はいわれのない視線に晒されることになった。

「おっ……、僕はそんなつもりでいるわけじゃない!」

 自他共に、あまりキレないという評価をされる悠が、珍しく声を張り上げた。が、そんな評価を知っている人はまだあまりいない。

 自分のことを『俺』から『僕』に言い直したのは何か理由があるのだろうか。

「まあまあ。みんな、それくらいにしておいてやれよ」

「そうよ。永井くんは気が弱いんだから」

 悠は未来也の言葉に感謝しつつ、美樹の言葉に内心で泣いていたりする。……ショックのあまり未来也も原因の一端だということを忘れているようだ。

「森さん、それはちょっと……。追い討ちをかけてどうするのよ?」

 そう言うのは、悠の評価を知っている双子の姉のほう。しかし、それでも美樹は自分の言葉を理解していないようだった。

 悠が「ひどいよ美樹ちゃん。キミヤ、どうにかしてくれ……」と呟いたのは誰にも聞かれていなかった。

 前話後書きにも書きましたが(書いたっけ?)、この本編はプロローグ部分とはあまりつながっていません。……いや、ちゃんとつながってますけど。

 とりあえず、プロローグの主点であった夕輝くんは忘れても構いません。回想の語りのところで名前だけ出てくる予定です。


 文中の雰囲気から分かるかとは思いますが、一応説明。

「 ~ 」「 ~ 」とかぎ括弧が2回続いているところは、同時に喋っている、または遮るか被せるようにして喋っている部分です。


 またも、前回に引き続き、こんな設定があったりします。

 ・悠の小学校時代の友人に林樹美という名前の女の子がいて、美樹に対して『林さん』といいそうになったりします。←そんなシーンは書きません。

 ・そのうち出てくるかもしれませんが、プロローグの『少女』に続き、美樹も長髪だったりします。長さは足の付け根くらい。


 プロローグにて「あれ?」と思ったので、少し補足です。

 納葵音子は別に有名ではありません。普通は「あの声って人がやってたんだ~」という程度です。「なきねこ」と読める人はそうはいません。


 今月中にもう一話投稿したいと思っています。

 次話タイトル(予定)は、「美樹の家にて(1/x) 悠の困惑」です。さあ、悠はなぜ困惑するのでしょうか。今話より一週間ちょっとあとのお話です。

 何話になるか確認していないので、分母はx(エックス)です。たぶん4になると思います。


 活動報告を見てくださった方へ。

 タイトルを(×/○)とかにしないと書きましたが、「本編(×/○)話タイトル」みたいにしないという意味で、各話タイトルについては使います。2013.2.14 17:50

 

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