前へ目次 次へ 3/14 1-3 狂気の歯車が噛み合う瞬間 「……余計なことを考えるな」 「分かってるよ、でも気になるじゃない」 おりんが肩をすくめて笑う。千代はまた静かに桃の花びらを掃きながら、ぽつりと呟いた。 「……桃華様が、守ってくださるから」 それきり、三人は黙った。夕暮れの風が、境内をゆっくりと通り抜けていく。 継之助は足を止め、しばらくその光景を見ていた。 (……守るべきものとは、これだ) そう思った。思ってしまった。 泥に汚れた草履を踏み出し、継之助は振り返らずに山道を下っていった。