君曜日
カフェで働く詩織は、毎朝、曜日占いをチェックしていた。
月曜は仕事運、火曜は健康運、水曜は恋愛運、木曜は金運、金曜は友情運、土曜は家庭運、日曜は全体運。
「今日は水曜日。恋愛運が1番いいのか。素敵な出会いもある…」
占いアプリを見て、詩織は首を傾げた。
出会いなんて、期待していなかった。忙しい毎日の中で、恋は後回しになっていた。
水曜日の午後、常連客が友人を連れてきた。
「紹介するよ。高校時代の同級生の陸」
爽やかな笑顔の青年が会釈した。
それから陸は毎週水曜日、カフェに来るようになった。
「水曜日ってなんか特別な感じするんです」と陸が言った。
「私が見てる曜日占いだと、水曜日は恋愛運の日なんですよ」
「じゃあ、僕の『君曜日』は水曜日かな」
「君曜日?」
「会える日。だから、一番大切なんです」
詩織は照れるようにうつむいた。
それから毎週水曜日が待ち遠しくなった。
火曜日は「明日会える日」と思うだけで、仕事が少し軽くなった。
ある水曜日、陸が花束を持ってきた。
「毎週会うだけじゃ足りなくなって。他の曜日も一緒に過ごしたい」
詩織は微笑んだ。
「じゃあ月曜日から日曜日まで、全部『君曜日』にしちゃう?」
「それ、最高だね」
占いは水曜日という特別な日を教えてくれただけだった。
窓の外、夕焼けが美しく染まっていた。
「来週の月曜日も、火曜日も会おうね」
「うん、毎日が君曜日」
カレンダーの全ての曜日に、小さなハートマークをつけた。
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