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天使様は、立ち上がるとゆっくり歩いてきて、私の手を取った。
「難しいことはいずれ説明しましょう」
天使様は私の手を取ったまま、床に座った。
「あなたはね、わたくしの義妹になったのよ」
いもうと。
妹?
天使様の?
「ですから、わたくしのことは、お姉様とお呼びなさい」
香油のお風呂や甘いミルク粥以上に頭がくらくらする。
私が、この綺麗な天使様の妹?
妹というのはどんな仕事をしたらいいのだろう。
そう訊ねると、天使様……お姉様は、私にペンを持たせた。
「さしあたっては、ご飯を食べて、お風呂に入って、文字を覚えることですわ」
この日は、自分の名前以外に初めてお姉様の名前を書いた。
ヴィクトリア・アイリーン・ミザール
自分の名前よりも綺麗に書ける気がした。




