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文字の書き取りに夢中になっていて、すっかり時間が経ってしまった。
「休憩にしましょう、シャーロット」
それが自分を呼んでいたと認識するまでに時間がかかった。
メアリーさんが、天使様には紅茶、私には温めたミルクを出してくれる。
今日二回目のミルクだなんて贅沢、こんなことが続いて良いのだろうか。
温かいミルクはお腹の中から暖まっていく。
これもゆっくり味わわなくてはと思うのに
どうしても急いで食べていたときの恐怖心が強い。
「こちらもどうぞ」
メアリーさんが出してくれたお皿には真っ赤なベリーとまんまるのぶどうが乗っていた。
ベリーはそのまま食べられるし、ぶどうは皮をむいてある。
そういえば、家でも同じようなことがあった。
食べるものがなくて空腹なときに、旦那様が私の前の床にお皿を置いた。
豆の煮込みの食べ残しだったけれど、私にはごちそうに見えた。
「床でなら食ってもいいぞ」
旦那様とお皿を見比べながら床に座り、恐る恐る手を伸ばして、伸ばした手を踏みつけられた。
お皿はお嬢様に蹴られて中身は散らばり、私はただ床に座ったまま嗤われていた。




