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不意に思い出したお母様の記憶。
どうして忘れていたのだろう。
シャーロット。
それが私の名前。
「シャーロット……」
この日、お姉さまが私に与えてくれた名前は
【シャーロット・リリィ・ミザール】
私の名前を思い出した日でもあり、新しい名前をもらった日でもあった。
天使様は筆記具と紙を用意させて、私の名前を書いて見せた。
流麗な筆致で、自分の名前がなにかとても素敵なものになったようだった。
天使様は私に筆記具を持たせてくれたけれど
読むことは出来てもほとんど文字を書いたことがなくて
まずは筆記具の持ち方を教えてくれた。
握りこむのではなく、指先で支えるように。
つい力が入ってしまう腕を、天使様がそっと抑えてくれる。
「何度も書いて、覚えればよくてよ。これからはいつでも練習出来るわ」




