2-24
「お召し替えを致します」
されるがままに黄色の衣装を脱がされてちょっと安心した。
やっとこの綺麗な衣装を汚す心配をしなくていいのだと思ったら
今度は薄くて軽い服を着せられた。
これは夜着というものではないだろうか。
よく奥様やお嬢様の夜着を縫っていた。
「どうぞ、寝台にお入り下さい」
メアリーさんが掛布を上げてくれて、自分が寝るように促されていることに気が付いた。
「でも、このお部屋は」
「お気に召しませんか?」
そんなわけはない。
調度品は綺麗だし、掃除もしやすそうで良い部屋だと思う。
「お部屋の人は」
「今はどなたもお使いではありませんから、ご安心下さい」
にこにこ笑うメアリーさんに言いくるめられてしまって、恐る恐る寝台に上がった。
手をつくのも不安になる白いリネンの上を恐る恐る移動して足を伸ばした。
足先に温かいものが触れる。
何かと思って覗いてみると、温石の入った袋があった。
足先が温まるにつれて、どんどん瞼が重くなってきた。
羽毛の入ったふかふかの掛布に埋まって、清潔な寝台に横になっているなんて。
もしかして、これは全部幻なのだろうか。
本当は雪の中で眠ったまま、幸せな夢を見ているのかもしれない。
やっぱり夢で、目が覚めたら、またあの冷たい半地下の物置で
かじかんだ手足をさすって必死で動かす日が始まるのかもしれない。
それでも今、寝台の横には天使様がいてくれる。
こんな幸せな夢が見られたら、この幸せの余韻だけで
明日も生きていける気がした。




