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せめてこんなに綺麗な衣装ではないものを貸してもらえないかと訴えたが
今はこれしかないと言われてしまった。
早く返さなくてはと思っているうちに、今度は違う部屋に到着した。
そこは厨房だった。
やっと安心した。
このままこの厨房で働けということなのだろう。
家の厨房よりも広くて、お鍋も磨かれてピカピカだ。
竈の前も広く作られているから、邪魔だと蹴られはしないだろう。
少し大きな椅子に座らされて、目の前に両手に乗るくらいの小さい器が置かれた。
薄く湯気の立つ器の中身から、甘い匂いがした。
温められた牛乳にパンを煮溶かしたミルク粥に見える。
「これ、あの」
こざっぱりとした白い服を着た料理人さんが笑った。
「冷ましてあるから、すぐ食べられますよ」
食べても良い、ということなのだろうか。
恐る恐る銀色のスプーンですくって口に運ぶ。
前はともすればスープに残飯を投げ込まれたり、椅子を蹴飛ばされたりした。
周りを見ながら口に入れたミルク粥は、信じられないくらい甘くておいしかった。




