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見慣れたメイドや庭師のジョンや、じいやまで
どんどんいなくなってしまう。
いなくなることを教えてはくれない。
朝になるといなくなってしまっていて、どうしたのか誰も教えてくれない。
見慣れた顔が減るにつれて、知らない顔が増えていった。
知らない顔のひとたちは、平気で私を叩くひとたちだった。
みんなはいなくなる前には毛布や服をおいていってくれた。
厨房横の物置は半分地下で、いつも薄暗く隙間風も冷たかった。
みんながくれたものは物置の空き箱に隠してこっそり使った。
だけど一番最初に、厚手の毛布を見付けられてしまった。
毛布は知らないメイドに取られて、燃やされてしまった。
裏口の影で、前にジョンがくれた干し肉をかじっていたのを見られた。
食材を盗んだと言われて、手を鞭で叩かれた。
取り上げたいほど良いものではない。
新しいメイドも料理人も、私よりよほど良いものを持っていた。
ただ私が困るから、私が痛がるから。
私が、泣くから。
誰よりも早く起きて、誰よりも遅く寝る習慣が出来たのは
多分この頃だっただろう。




