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私はメイドの手伝いをしていたのにあの子はしていなかった。
だから不思議に思って訊ねた。
「おじさま、あの子は」
言いかけたところで、バチンと音がした。
頬の痛みにじわじわと涙が出てくる。
「わたしのことは旦那様、クラリッサのことは奥様、イザベラのことはお嬢様と呼べ」
間違えたら頬を打たれた。
メイドたちと同じように話しかけないと食事を抜かれた。
お腹がすいたと言っても、誰もパンを出してくれなくなった。
みんなの食事が終わってから、残ったものをこっそりともらうようになった。
箱の奥で古くしなびた野菜だけは
持って行っても文句を言われないことに気が付いた。




