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義弟が我が家を後にしてさらに数か月が経った。
その日は王宮が大勢の客を迎えていた。
ようやく王位継承者が決まった海の向こうの国との国交の回復を祝って
王太子を招いての式典が行われたのだ。
未来の王であるわたくしの婚約者殿、つまり、我が国の王子殿下も
勿論出席するし、当然隣にはわたくしが立つ。
主賓である王太子様は随分と年若く、
出席していた貴族の娘たちがずいぶんと姦しい。
まだ世情の安定しないあちらの国では
王太子様の相手が決まっていないことは知られている。
主賓として一曲踊るのだが
決まった相手を連れてきていない以上
踊る相手をこの場で選ばなくてはならない。
王太子様は迷わず義妹のもとへ行き、一礼する。
「踊って頂けますか」
久しぶりに義弟と顔を合わせた義妹は
にっこりと笑ってみせたのだった。




