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今更くどくどと語るまでもないが
ミザール公爵家はセレスシャル王国建国の折に
初代国王の弟が興てた由緒ある公爵家であり
代々続く王国の重鎮でもある。
当然長い歴史の中では当時の王女が降嫁したこともあれば、
一族の娘が他国の王室や貴族に嫁いで、
国家と一族の繁栄をもたらしたこともある。
王家に次いで伝統と格式のある一家なのだ。
その伝統と格式のミザール公爵家正面玄関に似つかわしくない、このボロ雑巾はいったい。
現宰相を務め、敬愛する我が父はこう宣った。
「この子は今日からお前の妹だよ」
汚れと油で絡まってぼさぼさの髪の毛。
煤汚れで汚れた顔。
汚れで黒ずんで、ところどころあかぎれのある手指。
着ているものときたら、メイドの雑巾のほうがまだ綺麗だ。
あまりの汚らしさは見るに堪えない。
こんなみっともないボロ雑巾が公爵家の一員などと認められるわけもないので、
身の程をわからせるべく、ボロ雑巾を虐げることにした。
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