約束の地
考えてみれば小学生の頃より何にでも疑問を持つタイプだった
それもあり怖がりの性分なのに超常現象にも興味があった
ようするによく解らないものにとても興味があったということ
中学から日本の古代史、特に古墳時代辺りに興味を持ち出した
仁徳陵のすぐ近くに従兄弟の家があったので従兄弟とよく仁徳陵の周りを探検した
高校生になって独りで飛鳥まで散策するようになった
その頃から日本史も奈良時代までは興味が持てた、平安時代になると貴族がちゃらちゃらしだすので興味がなくなった
奈良の素朴な風景が好きだ
その中でも飛鳥は特別だ
堺の元環濠集落の中の包丁鍛冶屋の息子で生まれたけれど、今住んでいるのは飛鳥時代の物部氏が本拠地としていた辺り
近くに物部守屋の墓もある
大学生になった入学前にはその近所で遺跡発掘のアルバイトもした
遺跡発掘と言っても自分たちに与えられた仕事はシャベルとツルハシを使って対象区域を限りなく決められた深さで掘っていくという作業だった
体力的にはきつかったけれど知的好奇心は満足できた
この辺りは地面を掘ると何かが出てきてしまうようだ
物部氏は武器製造も担当していたらしい
私は包丁鍛冶屋の息子だ、今は物部氏のかつての本拠地辺りで暮らしているということは考えてみればそこにも縁があるのかもしれない
饒速日命は物部氏の先祖と言われている
饒速日命の追っかけをしたくなったのも何か縁があるのかも知れない
去年、奈良の桜井市にあるかつての禁足地である三輪山の登拝をしようと思い立って車を走らせた
ナビを使うのは趣味なので、三輪山、つまり大神神社の駐車場への道程は知っているのだけれどナビを使ってみた
目的地は「三輪山」
すると途中の交差点で何故かナビが左折の案内をしてきた
普通はこのまま直進のはずなんだけどねぇ・・・
怪訝に思いながらナビに従うとどんどん田舎道へ、そして山道へ案内された
可怪しいなぁ?
と思いながらそのまま走ると山の中の道の上が突然のゴール地点だった
道が狭くUターンもできない、さらに今まで自分以外に走っている車が無かったのにいきなり後続車が現れた
仕方がないのでそのまま前進した
すると蕎麦屋の看板が見えてきた
昼食には少し早いけれど寒いので蕎麦でも食べようとそこに向かうと、山の中にいきなり荒神社が出てきて、その向かいに蕎麦屋があった
駐車場はけっこう広かったので参拝者が多いのかもしれないと思えた
まずは荒神社にお参りして、それから蕎麦屋で温かい山菜そばを注文した
ここはどこなんだろう?
スマホの地図で確認すると三輪山の北側を走ってここにたどり着いたようだ
途中までだが何故ナビはこんなところを案内したのだろう?
疑問に思ったが理由は解らなかった
蕎麦を食べて今度はナビの目的地を大神神社に設定して走り出した
やっと山道を抜けて知っている道に出て、その後無事に大神神社の駐車場に車を停められた
予定通り三輪山登拝をと進んだら、看板が立っていてコロナの再拡大により登拝を中止していますとのこと、それも中止したのは昨日からということだった
何というタイミングの悪いこと
ここでふと思ったのは三輪山からは歓迎されていないなと言うこと
少なくとも今日は来るなというメッセージなんだと思った
不思議な経験をした
かなり話が脱線したが、話を戻すと何よりまず飛鳥の風景がとても好きだ
何度も訪れたくなるし三輪山のように訪問を阻まれたこともない
それどころか今はその飛鳥で生業であるギター弾きとして自由に弾いても良い機会を与えていただいている
こう繋がってくるとほんとに不可思議な縁を感じる
思い過ごしかも知れないし、たまたまかも知れないけれど
そう思えるということがとても幸せなのだ
約束の地であるかも知れないことが嬉しい
そして光栄なことだ
今回、飛鳥応援大使に就任させていただいたことでさらにその幸せが深まる
飛鳥を何度も訪れて、飛鳥にもっと深く触れると、もっといろいろなことが解るかも知れない
もちろん知識だけではなく、飛鳥に惹かれる不可思議な理由も
繁栄した地には何がしかのパワーがある
パワーがあるから繁栄するとも言われる
本当に不思議なことだ
これからの人生でさらに何が解ってくるのだろう
自分が進むから常に新しい縁に触れる
その新しい縁から何を読み解いていくのか
少なくとも飛鳥からは過去より呼ばれていると感じている
この先も退屈することはなさそうだ