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乱反射鏡世界奇譚

《 誰かが命を落とした時、本当に流れ星が現れるのかどうか、その真偽(しんぎ)をつきとめよ 》


 テレスは、心の底から途方にくれた。

 街はずれの尖塔(せんとう)のてっぺんにある、金貨の王から貸し与えられた石造りの部屋で、4つの王たちからの書状を手にしたまま、これが、途方にくれるというやつなのかなと、しみじみ思った。

 心の中で……今座っている椅子から転げ落ちて床をのたうち回り、さめざめ泣きつつ、なんだそれは・どういうことだ・また時間を奪う気か! ……と、さんざんわめき散らしてからのことだ。

 本当には、人前もあり、やや口角をゆるく上げたような平静な顔で、まるで微動だにしていないが。


 杖の王の街から来たテレスは、その才能と仕事ぶりを王たちから認められて、10歳になった頃から、ここにささやかな天文台を設けて暮らしていた。

 それ以前からも、ずっと空の星々の有り様を観てきたテレスからしたら、人の生死と流れ星に関係があるだなんて思ってもみなかったし、またそのような依頼を王たちからもたらされたことにも、テレスはどう考えたらよいのかわからなかった。


 流れ星は、ほとんどいつでも、どこかで落ちている。

 夜ばかりでなく、昼間にも、夕方にも、明け方にも、そのひとすじの光は陽射しにかすんで見えないが、流れ星はある。

 そして、この街に限らず、この国に限らず、尽きず拡がるこの空のもと、ほとんどいつでもどこかで人は生まれ、亡くなっていく。


 だからこそ、言ってしまえるのだろう。人が、本当に星の数ほどあるように思える人たちには。

 果てしなく拡がる夜空・恒常する星々の姿に、まるで初めて気が付いた時に。夜に思いがけず見慣れぬ一瞬の出来事に、遭遇した時に。また、ただ独りで識る場合でも、大勢とともに識る場合とでも、そのことを同じく識った人々との間には、運命を思わせるほどの共感をもたらすことさえある。

 あの感動を己のモノにしたい……そのような満足のための生き方を夢にも見るように、その願望を叶えるための様々な営みが世では試みられる中、それらの人々には、時に星々に見る出来事と、人間に見る出来事とを、こじつけてしまえるのだろう。


 生半可な調べ方で報告をすれば、またそうしたような、こじつけの材料になってしまう。

 世に多くある、よこしまな星読みたちによって、都合のよい話やおかしな話にも、されていってしまうだろう。


 こういったことは、星々の知識にまつわることばかりでは、なかったから……それがいやで、何らかの研究に生きる学者たちの中には、やる気を失う者も出ている。

 また、こうした事情を知ると、何らかの学びを修める前から、もう学ぶことそのものまで煩わしく思えて嫌ってしまうような者たちもあったり、学びの得意な者たちでさえも、学者にはなりたくない・研究の道には進めない、などと考えて、修めてきた世界から離れてしまう人々もあった。


 それどころか、いやしくも、いっそデタラメな星読みとして、またその助力者などとして、自身が、あるいは誰かが、身を投じて修めたり、つきとめてきた研究を、なにかと都合よく持ち出す者たちもあったし

 世の諸々について、何が間違っていて何が正しいのか分らなかったり、どう考え、また判断をし、物事や人生の道を定めたらよいのか……といったことについて特に、迷ったりしている人々の中には、それらデタラメな星読みたちによる与太話を、うのみに信じて生きる者たちも少なくはなかった。


 あるいは、何がどう正しくて、何がどうデタラメであるのか、そもそも関心に無いこと・どうでもよいと思う人々には、面倒くさいから、人が与太話を信じるのならば、そういうことにしておかれているようでもある。


 というか、テレスが世に思うことには、そうやって生きている人々が、ほとんどのようだった。


 何が正しくて何がデタラメなのか、それでどんな悪いことがあったり起きたり続いたりしているのか……それらの物事とは、まるで関わりのない暮らしだから、あるいは、時代だから・そういう世の中だから、という、たぶんそもそも自他ともに責任はないと思うことで、何かのせいにするような言い方や考え方をしている様子も、少なからずあるようだ。

 その時々、各々の居場所は、楽しければ、気楽にいられるのなら、和やかでいられれば、面白ければ満足してしまうので……ただ自分や身の回りとは関係のない、なにか世の中のこととして、それで済まされてしまう。


 中には、デタラメな話についてこれないというだけで、仲間はずれに苦しんだり、人との付き合いができなくて、さびしく暮らさなければならない人々もあったり

 あるいは世を満足に渡ることができず、それはお金に言うことに限らず、貧しく暮らさなければならない人々も、少なからずあるというのだから……テレスは、そうした話や出来事に触れるにつけ、なんだかひどいあべこべが、まるで当たり前のようだと思うことさえあった。


 星読みにも、良い人はあるのだろう。

 とはいえ、良い人というにも、何について良いのかといった意味の違いはあるだろう上に、デタラメな話に合わせて人々は動きがちで、それら諸々のデタラメのために世の中が動いている……それで悪いことが起きたり、おさまらなかったり、ずっと終わらなかったりしている。


 自分の研究が、そうした問題のさらなる材料にも、なりはしないか。


 自分の頑張りが、人々を世の中を……うっかりしたら国の境をまたいだ国々や世界をも、デタラメにするような手伝いに、扱われやしないか。

 人々が、世の中が、いよいよデタラメになり、多くの人々や物事を、様々な存在までもを、良からぬことや悪事にさらし染まらせる手伝いになど、なりはしないだろうか。


 テレスは、いつもどこかで、これらのことに悩んでいた。


 でも自分は星読みではなく、天文学者だ。

 まずやるべきことは単純にして、決まっている。


 そして、どう証明しよう。

 どう王たちへは、報告したらよいだろうか。

 どう世の人々には伝えたら、よいのだろうか。


 テレスは、まず大勢の調べも確かな学者たちに、多くの協力を得ねばならないことを思って、自らの足に目を落とした。

 テレスの足は常に、ゴロゴロと重たい車輪のついた椅子の上だ。立ち歩ける者よりも、自由に動きまわれるわけではない。

 ましてやここは高い尖塔の上だ。昇降機はあるのだが、一人では乗れない代物で、誰かに助けてもらわなければならない。

 それよりも、夜は星々の観測に“暮れ明けて”いるから、昼間は陽に当たりながら寝ることが多く、同じ研究に就く者たちの他には、ほとんど人付き合いもない。

 これでは、あっという間に流布するであろう星読みたちのデタラメには、かないそうにない。


 それで、途方にくれるとはこのようなことかと、しばしの間は動けないでいた。


 ふと、届けられた書状の形が、多くの臣下や依頼先へと送られるもので、王城・城下の内外から街の内外、果ては国の内外まで、様々な立場の者たちから意見を(つの)っていることが(うかが)えた。


 王たちは、どのようなおつもりで、このような依頼を発したのだろうか?


「4つの王たちは、どのような話し合いによって、これを皆さんに送ったのですか?」

 星図だらけの部屋の入口に、1人の衛兵と、テレスのそばには、書状を携えてきた侍従(じじゅう)見習いのオルガノがいた。

「“(さかずき)の王”は、この件に、たいそうご関心の様子でして……」

 オルガノの、困り顔のような苦笑いのような表情を見て、テレスは、あぁ、例の我儘(わがまま)半分なのかな、と思い、同じような顔をしてみせた。

 オルガノは、鼻で息をついて無言のまま(うなず)く。

 とはいえ、杯の王ばかりが求めていても書状にはならないだろうから

「他の王たちは、どのようなお考えで?」

 オルガノは、どう話そうかと視線を落としながら一つ深呼吸すると

「まず、“金貨の王”と“(つえ)の王”は、このさいハッキリさせた方がよいだろうと」

 テレスは、鼻で息をついて項垂れた。もう面倒くさくなったのかな、と思いやられて苦笑いしてしまう。

 その仕事を実際には誰がやるのかといえば、毎日の調べものだけでも、ただひたすら忙しい僕みたいな学者ばかりに投げられてくるわけなのだが。

(つるぎ)の王は?」

「杯の王を、終始(にら)みつけておいででした」

 そうだろうな、とテレスはため息をつく。常に命を張っている側からすれば、そんな思いつきみたいな疑問に、公務の場でまで本気にして取り合うのだとかいった様子は、わざとふざけているようにも見えるだろう。

「杯の王は、おそらく誰よりも人の命を見てきておいでの剣の王から、本当にそうなのかどうかを直接、伺えばよいのに」

 つのる不満に対する愚痴(ぐち)の代わりのように、するわけないのは当たり前を承知の上で口にした、やや意地悪な考えを隠さないテレスの言葉に、オルガノは

「どのような件であれ、杯の王から()かれれば、どの王とも軽く戦争になります」

「そこまではないでしょう」

 まさか、とテレスは笑う。

「冗談ですが、内容によります」

 やはりというか、どうやら、すさまじいのは杯の王の方らしい。

「杯の王は、なぜそのような事に関心を(いだ)かれたのですか?」

「まず、民草の間では、星読みの話題が流行っていることによるようです」

「王は、そんなことに興味を持つ暇があるのかい?それとも」

「以前に、各天文台でのものを含めて各地で観察されたというふれこみで、流れ星について取りまとめた星図が、街中に出回りまして」

「あの、天文台による記録以外は、デタラメのやつかい?」

「そのようで」

「星ばかりのことでなく、方位とか表記の形式とか、デタラメな部分がアレコレあるんだってこと、まさか、王に伝えていない……なんてことは、ないよね?」

「それが、ある星読みどもが、杯の王に“心の目で見た流れ星が云々”また“心の鏡に映し取られた天体図が云々”と進言してから、もう問題にしなくなってしまったようでして」

 あまりにもくだらない理由に、テレスは息を呑むほど心底驚いて、本当に?と訊き返すと、オルガノは黙って深く頷く。

 これはまた、無駄な時間を取られると、テレスは目を伏せてうなった。


 テレスにだって、この仕事に(たずさ)わっただけ、自分なりに専心してやりたいことはある。

 いつか、やり遂げてみたいと考えている夢があった。

 今や長い長い時間の経過で、未だに世で普及している星図と実際の星々とは、大きく位置がずれてしまっているので、まずは星々の実際の位置を正確にとらえた星図を、それらを取りまとめた天体図を、(ひろ)く世に出すこと。

 その上で、もはや実際の星々とは大きく歪んでしまっている星座を、改めて定める。

 ……といった夢を(いだ)いていた。


 相手は、無限を思わせる星々だ。よく見てみれば、思っていたような姿をしていてくれているわけでもない。何も無いように思えるところにこそ、思いがけない発見だってある。

 時間なんて、いくらあっても足りないと、まだテレスは少年ながら、いつも思って観測を続けてきた。


 そもそも、こんなことを本気で追求するなんて、王たちに()めさせるよう、うながす方法はないのだろうか?

「聞いてもよいのか、わからないけれど……(うつわ)の“女王”は、この“杯の王”が件について、何もおっしゃってはいないの?」

「そう言われてみれば……」

 オルガノは、ふと目線を端にやって、どうであったかと思い起こすと

「少なくとも私の身の周りでは、それらしいお話には触れていませんね」

「でも、ご存知ではあるんだろうね」

「それは間違いなくと、私も存じ上げます」

 本来、杯の王も、剣の王にみるのと同様、器の王と呼ばれるのだが、訳あって今代は(ひろ)く“杯の王”と呼び(なら)わされていた。

 杯の王の狼藉(ろうぜき)(はなは)だとなれば、器の“女王”は頼みの綱なのだが、何か理由があるのか、はたまた杯の王と意気投合の上なのか。

 なんだか、どう考えても先々には壁が立ちはだかっているような(わずら)わしさで、テレスは考えるごとに、ずんずん頭をもたげられてしまう。

 いっそ断ろうかとも思ったが、テレスは城の営みに参加すること・王たちの求めに応じることが条件で、自分はここで星の観測を自由にできる立場にあることを考え、思い直した。

 ふと、オルガノが思い出したように

「しかし、最終的に書状の送り方をこの形にしたのは、剣の王のご提案でした」

「本当に?」

 なんだか意外に思って、テレスは目を丸くした。

「察し申し上げるに……おそらく話の、それら世間と申しますか、その見識の狭さには、とうとう息苦しくなったご様子でして」

 テレスは、頷いてオルガノの読みに共感する。

「ずっと黙っておいでだったのですが、この提案をなさいましたところを、杯の王は無邪気に賛成なさいまして……金貨の王は、これは世に恥をさらすと首を振っておいででしたが、杖の王は特に問題は覚えぬご様子で、構わぬと。時間切れもあり、此度のお話し合いは結局その件だけでお開きとなりましたが」

 酷い会合だ。テレスは思わず両手で顔を覆って肘掛けに肘を突くと、首を振った。

 やはり王城によって、何を問題に思うのか意識の違いは甚だなんだなあ、とテレスは感じ入る。

「王も含め王城に務める各位が、世のつまらぬ関心事に動く世間として取り込まれ、いよいよ閉塞する有り様を見かねて、いっそ世に向けてバッサリと実態をさらすと申しますか……」

 はたと、その言葉にテレスはオルガノの顔を見上げる。

「実に、剣の王らしいかと」

 テレスは笑って上体を背もたれに戻すと、なるほどな、と頭に手をやり、トントンと軽く叩いた。

「すごい勢いで、溜まっていた瘴気(しょうき)が吹き出してきたみたいな感じがする。こう、覆いが斬り裂かれて、全部の城下と街中、そうして外までも……」

 オルガノは、その侍従見習いに独特の含み笑いをすると

「書状が届く先々で、さぞ皆さん、むせ返っておいでかもしれませんね」

 その言い方から、なんだかテレスは得体のしれない煙に巻かれて咳き込む学者たちの姿が想像されて、あはははは、と屈託なく笑った。

 オルガノは真顔で付け足す。

「瘴気にあてられて、方々も熱病にうかされなければよいのですが……」

 それは書状を受け取った学者たちが、星読みたちのデタラメに、本気でか熱中して、あるいはわざとか熱心に、世で話を合わせてしまう……と、いうような意味だ。

 うわぁ、ありそうだなぁ。疲れを覚えて頬をこすりながらぼやいたテレスに、オルガノは、また独特の困り顔のような苦笑いのような表情をして、一緒に案じる様子をみせた。



 テレスは、尖塔の管理人から大量にもらっていた芋と果物を、オルガノに頼んで、部屋の入口の外と中に居る衛兵2人の分も持たせて帰すことにした。

「いつもお気遣い頂いて恐縮です」

「いえ、こちらこそ食べきれそうにないから困っているとはいえ、こんなに重たいものばかり」

 オルガノは、端々のほつれた布に果物や芋をくるんだ荷物を、1つは肩にかけて背負い、もう2つを両腕の肘で下げていた。

「衛兵は職務中、城であてがわれたもの以外は持てませんからね」

 入口の戸が開け放たれている部屋に並ぶ2人の衛兵は、武器を納めてテレスに敬礼した。

「すみませんね。金貨の王の衛兵は声も余所に知られてはならないのです」

 テレスは頷いて、武器を持ち直す2人の衛兵に微笑んだ。

 衛兵は姿勢を髪の毛ひとすじも微動だにしないが、兜からわずかに覗く眼光が、優しくなって思えた。

「果物とはいえ、あまり甘くはないのだけど」

「熟れるのが待ち遠しいですし、味が青いものなのでしたら、果物は前菜にだって使えます。それに、この頃は城下に出回っているという、このお芋が評判なんですよ。まだ食べたことがないので、とても嬉しく思います」

「うーん、ちょっと尻尾の方は筋っぽいかな」

「心得ました。仕事の合間に、乳を採る山羊(やぎ)と並んで仲良く頂きます」

「へぇ、お城で山羊を飼ってるんだ。可愛(かわい)いの?」

「えぇ、とっても。きっとよい乳になるでしょう」

 テレスは、一度その山羊を見てみたいと言いかけた時

「あぁ、テレスさん。もう日没まで、あまり間がないでしょうか……どうやら長居(ながい)を致しました」

 窓から立ち位置へと射し込んできた西日に眩しさを覚えたオルガノは、そう言って丁寧にお辞儀をする。

 テレスは、ほんの少し名残り惜しそうな顔をすると、また穏やかな表情をして、これにて失礼と去っていくオルガノたちに、またおいで下さいと告げて見送った。

 螺旋階段を降りていく足音の賑やかさが遠ざかって、それもいつしか止んでしまうと、夕方へさしかかる空を窓から見上げて

「流れ星を見るために、ずっと空を見張っているわけにもいかないし……」

 しんと静かになった部屋は、テレスの子供らしい呆れたような悲しいような呟きから、途方にくれた思いばかりを、やけに響かせた。


 螺旋階段を降りきった石造りの建物の中で、衛兵の1人が、オルガノの鼻先に片手を出して、手話で話す。

“お前は、見てくれを気にしないのだな”

 荷物の多さや粗末な包みであるのを見れば、たいがい城下に勤める見習いたちは、持ち運ぶのを嫌うことも多いのが常であるのに、この侍従見習いにその様子はないのが、ずいぶんと意外に思えたらしい。

 意味型と文字型を交えるこなれた手話は、話し手の心情が思いの外、わかることに感心しながら

「私どもは下っ端ですからね。これしきで認められないのなら、どちらかが所詮(しょせん)それまでなのです」

 衛兵は、オルガノに手話が通じたことと返事の内容とで互いを見やって頷き、もう1人も手話で応じる。

“余裕だな”

「それよりも……その手話は、私にはとても興味深く読ませて頂いているのですが」

 衛兵2人は、何か雑談でも続けかかった所で、はたと侍従見習いの方を見た。

「その、どうやら、あんまり各々方でのクセが強いようですから……声を出さなくとも、そのうちに誰が誰だか悟られませんか?」

 衛兵の2人は、また互いを見合わせると、オルガノに向けた武器の柄を立てて、床へ小刻みに突ついて打ち鳴らした。

 きょとんとしていたオルガノは、やがて身体を前後左右に揺すりながら軽く腹を叩く身振りを交えてきたことから、笑っているのだと気がついた。

 やがて笑うのを止めると

“兵長へ、そのように指摘されたことを伝えておこう”

“また楽しみが減るな”

 衛兵たちのくだけた様子に、オルガノは含み笑いをした。

「その様子だと、今まで気がついていながら、皆さんずっと黙っていましたね?」

“俺が言い出したわけではない”

“自分もだ”

 割と多くの兵たちが、そのことに勘づいていながら、このささやかな営みに問題を見出す者があるまでは……と、決めていたらしい。

 オルガノは、なんだか悪者にされたような心持ちに、ちょっとだけ困り顔をして微笑んだ。


 衛兵たちは、先に連れ立って建物から出ると、もうオルガノにも、どっちがどっちだったのか迷うほど規律正しく動いていた。

 衛兵に挟まれて歩き始める直前、オルガノは片手の荷物を肘にかけて前に出し

“お芋の護衛、よろしくお願いします”

 と手話すると

 衛兵たちは歩き出しながら、武器の柄と鎧を小さく打ち鳴らしたので、笑ってもらえたのかな、と考え置いた。



 それぞれの王城の歴史は、永く賢帝の治める国が開いて以降、器が最も長く、(へい)は最も短かった。

 また、剣よりも(こん)の方が、わずかならず長いと伝わっていた。

 一説には、棍の方が器よりも長いのではないか?とも言われているとのことらしいが、有史を何処で定めるかにより違ってくるといった事情にもより、議論そのものは続いていた。

 何しろ、これらの王城を内包する国とは、世にある国々の中でも国として最も長く続いているため、その本質相手に調べるべきを調べ尽くすにも、人の思いついた一代や二代の研究などでは、まるで歯が立たないからでもあった。


 4つの王城による街の姿は元々、上空から見下(みおろ)したら、とにかく四角四面の城塞都市だった。

 東西と南北に通る広大な大路を挟んで、4つの王たちの正方形をした城下街が広がっており、それぞれの城下のちょうど真ん中に、正方形の敷地があって王城が構えられている。

 その城塞都市の上から見た四角四面さは奇妙なまでに均等で、それぞれの王城は正方形の敷地にあり、それを囲う城下街の敷地も正方形なら、それぞれの城の端から大路に至る城下街の端まで、そして東西と南北を通る全ての大路の幅は、水平に垂直に、やはり4つの王城の敷地の幅どれとも全く同じだった。

 これは、はたらきの違う各々の王と城は互いに、また各々の城下は互いに、立場は対等であるということを示していた。


 今や、かつては広大だった大路のほとんどは市街化しているのだが、大路のど真ん中を通り交差したという馬車道は、路面を敷き鉄の(わだち)を入れて、大小多くの駅を伝いながら連なる車両が盛んに行き交っていた。

 その東西と南北の外端には、それぞれ大きな駅があり、永く永く賢帝が治める国の内、4つの王城の統べる街の外にも弘く道を繋いで、その豊かな営みと優れたはたらきは国中に及んでいた。


 それら四角四面な敷地をした4つの王城は、それぞれ

 西の南が、テレスの生まれ育った杖の王の城下。

 南の東が、杯の王の城下。

 東の北が、テレスの住んでいる金貨の王の城下。

 そして北の西が、剣の王の城下となっていた。


 この4つの城下街の最も外角に、それぞれ高い高い尖塔があり、かつてはなんであったのか、やがて星々を眺めるのに優れていることから正式に観測が始まり、天文台として使われるようになった。


 そのようなわけで、テレスのいる天文台以外にも、それぞれの王のものとして、あと3つの天文台があるはずなのだが

 杯の王の城下街では、夜も昼間のように街の(あかり)が強すぎるので、もはや天文台として使われていなかった。

 そのかわり、昼も夜も街の様子を眺めて楽しむ人々があるので、尖塔のあたりは、ひときわにぎやかだ。

 そうするうちに望遠鏡も、夜空の星々を見つめるものではなく、街を眺めて楽しむものに代えられた。評判を聞いて杯の王がまみえた際だったという。

 テレスのいる金貨の王の街も、日が暮れてから外で仕事をする人々が多い方だったから、杯の王の街の次ぐらいに夜でも明るいけれど、それは隣りあわせる杯の王の街の灯が届いてしまうことがほとんどだったので、最も明るい辺りからは離れている尖塔では、なんとか普通に星々の観測をすることができた。

 ただし、杯の王の街の方角の夜空は、あまり星の観察ができなかった。

 同じように、杯の王の街に隣りあわせる杖の王の街にある天文台も、杯の王の街の方角の夜空は明るすぎて星々の観察ができないでいた。

 そこで、テレスは杖の王の街の天文台とは、互いが観測できない夜空の記録を補いあうようにした。

 そうすると、街1つがするはずの余分な仕事を手分けしてこなす分、剣の王の街の方角の夜空の観測は、だいたい手薄になるわけだから、やはり剣の王の天文台とも、夜空の記録を補いあうようになった。


 テレスは、三城下の天文台合同で、年に何度か数日かけて執り行われる郊外での天体観測を、いつも楽しみにしていた。

 これには毎回、各王城の衛兵たちが、観測器類と野営のための多くの荷運び、設営の補佐を伴い護衛につくのだが

 この何度目かのときに、見習い修行で参加してきたオルガノとは、いろいろと助けられたり話がはずんだりして、ずいぶん親しくなった。

 以降、王城もテレスに計らって、様々な用事をオルガノに任せるようになっていた。

 オルガノも、城勤めを離れてのテレスとの交流や、城下街や大路の市街地を訪れる時間が持てるようになったのを、とても有意義に思っていた。


 旧くからある石造りの王城や城下街と違い、かつては広大だった大路に占める市街は、木や鋼の筋で組んだ礎に、すりつぶした石を溶いて型で固めて様々な形状の建物を建てるようになり、もともと城下街に暮らしてきた人々からは、なんだかまとまりがなく、雑然としていて、みすぼらしくみる人々もあった。

 また、どの城下でも、それら大路に見るような建物が、じわじわと城塞を兼ねた城下街との境目を崩し始め、なにかと便利だからと勝手に出入りできる通路を開けたり、建物が浸食して元の形を失っている所も、少なからずあった。

 これらのことは、確かに活気をもたらしたり暮らしを便利にはするものの、泥棒や諸々の悪事が忍び込むことも増やしていて、昔から根ざして住まう城下街の民草や、治安を担う衛兵たちには、多く悩みの種にもなっていた。


 そのことは殊更、杯の王の城下街がひどかったから、王たちは、まとめて各々の城下の問題として、それらについてこそはと会合の席で話し合いたいはずだったのだが

 今は、どの城下や市街の民草からも、最も慕われている杯の王が熱中すること、ともない持ち出す話には、様々な意味で無視できないものがあった。



 テレスは、その日の夜空の観測を始めながら、かつて金貨の王城で執り行なわれた“御前会議”に招かれた際、見てきた諸々の物事や王たちの姿を思い出していた。


 “御前会議”といっても名ばかりで、本来は賢帝のおわすはずである御簾(みす)の向こう、玉座はここ数代、空のままで会議が執り行なわれていた。

 かつて星座が定められた頃より、はるかに時代もくだって、実際の星々も、かつての形からは位置が大きく違っているにもかかわらず、世の星読みたちばかりでなく宮仕えの星読みたちまでもが、昔のままの星図を眺めては、賢帝のお出ましには遊ばされぬと口々に唱えるため、本当の意味での御前会議は久しく執り行われておらず、支度だけあって実の伴わない形式的なものと化し、王城の持ち回りで定められていく議場には長年、ただ4つの王たちとその配下が参集して行われていた。


 その“御前会議”の有り様というと

 まずは議場持ち回りの王城から始まって、それはそれは長々と、各々の王城の侍従長が、己が王城の簡単な歴史的経緯を唱えあげ、議会場にそろった役職者の名を全員紹介するのだが


 広い議場には華やかに、幣の王家のファンファーレが鳴り響く。

 そうして、両端のつり上がった口髭と髪型をした幣の王城の侍従長が、おもむろに立ち上がり、ぐっと胸を張って咳払いをすると、恭しくそらんじる。


「此度の御前会議を担いし王城、幣の王家の侍従長より申し上げる。


 ご存知のよう、今代の幣の王は“金貨の王”と世に呼び倣わされる。


 貨幣その歴史は世に最も短いながら、はたらきは世の民草の流れと動き、営みのほとんどを支えるに至り。

 民草、それまでの幣には足り測りきれぬほど勤勉にして、代々賢帝の大いなる御心が(しら)す国の宝として、その実の一側面を遍く世に現し、応じて今代は、とある禿山の膨大な岩壁より無尽蔵に崩れ出でし、つまらぬ石塊(いしくれ)から染み出したる宝・金を見出すに至り、民草の実に相当の貨幣を世に及ぼす。

 まるで無いところから幣を編み出し得たよう、目には見えぬ民草の得体を実として覚え、遍く民草を支えた業績により、金貨の王と世には多くの民草より讃えられ、唱え倣らわされる。


 幣の王家、今代は“金貨の王”。その名をクレマティメーと申す。

 妃、今代は“飛空の王妃”。その名をエレウティリオラと申す。

 王子、衛兵の長(エース)にして王城限らず民草を支える、その名をアガトと申す。」

 続いて、3つの衛兵隊長の名が挙げられ、3つの官職の名が挙げられ、3つの大臣の名が挙げられ、最後に侍従長は

(それがし)は、栄えある金貨の王が侍従長、名をソプロシュネと申す。」

 以上、いと誉れ高き賢帝の御前にて、ご奏上(たてまつ)る。と謳い上げ、幣の王城の侍従長は、恭しく御簾の方へ一礼し、席に着いた。


 テレスは、自分が暮らしてきた杖の王の城下街しか世間を知らず、こうした厳かな場が初めてということもありながら、自分がこれから暮らす城下街の王家の威風には、少なからず圧倒され、なんだか目がチカチカするような、ぼうっとするような心持ちになった。


 続いて、荘厳な響きで剣の王城のファンファーレが鳴り響く。

 そして音もなく侍従長が立ち上がると、まず御簾の向こうへ一礼し、低いがよく通る声で、静かにそらんじる。


「賢帝の御前にて、我ら剣の王城、(いにしえ)より(しら)す大いなる御心のもと、国と民という大いなる御宝(おんたから)の守護を担いし名誉を賜る。」


 テレスは、まるで目の前で、自分に話しかけられているようにも聞こえたその侍従長の声に、ハッとして目を上げた。

 しかし、確かに議場の大きな大きな四角い卓の向こうで、その侍従長は立っていて、淡々とそらんじている。


「その誉れの正しき継承を旨に、各々が実に生き、心身を燃やし、日々たゆまぬ鍛錬と信を積み、この(つるぎ)は世にあって無銘を違わぬものなり。


 近年はことさら、昼夜を問わず、民草の暮らしの影と闇、目にとまり難い間に間に潜む、やがて拡がる諸々の()にも舞い込む、悪事禍事(まがごと)を切り払い滅すべく、絶えず奔走するが、我ら力及ばず()さの種は散り、その萌芽は尽きず。根張りは広く、覆う葉の茂りは日を見せぬ影を、国に世に、民の人々の心に落とし、醜美を問わず花は咲き、実を結び、腐毒を問わず運ばれて、さらなる悪徳へと栄えんとする。


 民草自身も、自他の身と財を正しき暮らしを、人に世に取り戻し守る(すべ)を見出し編み出し、(あまね)く継承されたし。」


 テレスは、いったい何を言っているのだろう?と、少し首をかしげた。

 少なくとも、それまで育ってきた世界では、知らない……聞いたことがないし、読んだことがないし、教わったことがない、だから意識したことがないので、理解することができないような言い回しや内容に思えた。

 しかし何故だか、自分の有り様をそのように気がついたのは、王城との関係を通して、すでにそれまでの暮らし方からは、いくばくか離れていたため……なのかもしれないが。


「余りある者は、過たず持たざる者への助けを。(すべ)ある者は、術無き者のためにも、相承誤らず正しく励まれたし。


 我ら剣の王城は、預りし(めい)、持たざる時もまた、日夜持てる術を正しく尽くすものなり。」


 テレスは、ふと自分が、天体望遠鏡でとらえた星々を正しく星図に落とし込む、その営みの日々をつましく送るだろう、これからの自分の様子を、なんとなく想像した。

 きっと、それが自分のやるべき事なんだろうなと、少し口元が微笑んだ。


「剣の王家、王の名を、デュカイオシュネ。

 妃の名を、アレティア。

 王子・皇宮(メジャー)の騎馬隊長、名を、アンドレイア……」


 どよ、と議場の空気がゆれた。

 テレスは、なんだろうと思って周囲を見回したが、大人たちのほとんどは、少し気難しそうな顔をして、静かに侍従長の言葉に耳を傾けている。


「兼任を離れた王子に代わり衛兵の長(エース)、名を、エウデ。」

 続いて、6つの将の名が挙げられ、3つの大将の名が挙げられ、最後に

「私は、剣の王家の侍従長、エウトラペリア。

 以上」

 御簾の向こうに一礼し、席に着く。


 テレスは、思わず御簾の向こうを凝視した。

 それに、やっぱり音はしなかったはずなのに、侍従長の座る音を聴いたような気までした。

 剣の王家の醸している、独特の存在感のせいなのかもしれない。


 その威厳を漂わせていた議場の空気を、鬱憤として晴らすかのよう……まるで蹴散らかさんとでもするように

 最近、市街で流行りの音色をふんだんに取り入れた、器の王家のファンファーレが華やかに鳴り響いた。

 それはテレスには、どうも華やかというよりは、派手さを感じさせた。



(推敲中)



 このように、4つの王城の分とも済ませてやっと、議題や面会など実務に入るものであったので……テレスは、常日頃から頼れる相棒のように座り慣れているはずの、墨壺とペンだって備え付けている、どっしりと安定した車輪付きの椅子でも、メモを取りながらその場でじっとして聞いているうちに、だんだんお尻から頭の後ろの方までがしびれてきて、それら会議の前置きが終わる頃には、もうくたびれてしまったものだった。


 それでも、王たちの威容は、よく覚えている。


 まず、目立ったのは杯の王だった。

 とても大柄で、量もうねりもある長髪を片方に寄せて胸へとかけていて、その眼はいつでも大きく見開かれているのだが、どこを見ているのかは、誰にもわからなかった。

 この今代の器の王は、城下や市街でも、よくて“美酒の王”、くだっては“酔いどれ王”と呼ばれていたので、ひっくるめて“杯の王”と呼び倣わされていた。

 またとても涙もろく、陳情する者たちがあれば、なにかとすぐに蔵の酒を振る舞うので、城内外は、特に金貨の王城では、一時しのぎであることや、酒樽が只で世に出ては闇市に流れたり重度の酔っぱらいを増やしたりするので、それらの人々を介抱する手当てがどうの、相場がどうのと言って、みんな頭を痛めていた。

 そのため会議が始まると、几帳面な金貨の王からは、のっけから、どの王の所にも前もって知らせずに王城や城下、市井へも訪れることについて、苦言を吐かれていた。

 この苦言に始まって、テレスとおなじよう相乗して多くの者が頷き傾聴しているのだが、特にこの議場で目を引いていたのは、器の王城では、本当の王と女王が、入れ替わっていたことだった。

 それは王城内外にも、城下や市街にも、また国の内外を問わず、ことさら酔狂とか、困りものだと思ったり噂をしたり、わざわざ物申す者たちもあったのだが、真には器の王たるはずである今代の“女王”は妻の気持ちを許し、どうにも、それはそれで自身も楽しんでいるようだった。

 相変わらず、どこを見ているのか、何を考えているのかわからない様子の杯の王に代わり、“女王”は、その甲高い滑らかな美しい裏声で、金貨の王の苦言の他、王城各位と議場内の不満げな雰囲気を、丁重になだめた。

 剣の王は毎回のこと、決まってこの話の仕舞いには、真王は器が大きいにも程がある、とたしなめるのだが、当の“女王”は扇を口元に寄せ、笑って済ませる。だが、やはりその眼は、いつも笑ってはいなかった。


 金貨の王は、細長く切れ長の眼をしていて、(はた)からはどこを見ているのかは、まるでわからないのだが、いつも誰よりも、よく周囲と物事を見ていた。

 王城と街を、四角四面に定めたのは、王各位の父の父、その父の父の、そのまた父の父の、更に父の、更に更に父の父の……やがて至る父の父とは共通の祖であった。と、いうことについては、王城と城下、また市井にも憶えられている所なのだが、今や多岐に複合的に山積している諸々の問題には、それを民草自身の怠惰から生じもし招きもするものと見るよう、几帳面な金貨の王の美意識にも合っていない上、しばしば、王城各位から市井まで、問題を覚えない原因が街の姿にあるのだとしたら、いっそその街の姿を根本的に変えてしまってはどうかと提言するのだが、多くは闇雲なまま権威的に意識され位置付けられつつ、今ある惰性の合理の前に、それはなかなか難しかった。


(推敲中)


 テレスは、天文台に勤めたいと希望してから思いのほか早くに呼ばれたように感じたのだが、後でオルガノから聞いたことには、これまたヨボヨボのおじいさんが、助手から身の回りの世話を受けながら、やっと星々の観測所として運営している状態で、テレスに会うことなく数人の助手によって必要な観測の途切れもなく引き継ぎが済んだのは、本当に見事な手際だったのだが

 金貨の王は、先代への功労とのかねあいで出費を渋って、テレスには助手をつけなかった。

 テレスとしても、もともと先代のために様々な補助具が備わっていた住居と観測所であるので、特には不自由さを覚えず、今まではいつでもどこへでも誰かが付き添っていたことには不満もあったりで、幣の王城下では衰退していた天文台を改めて開くにあたり、その誇らしさと居心地の良さには、とても満足していた。

 金貨の王は、これらのテレスの様子と、以後のはたらきの良さには感心したようで、テレスに対して、買い物をしたという言い方を、ことのほか自他に厳しく禁じ、つとめて天文台からの意見を聞くようにしていた。

 テレスの希望している、もはや古すぎて実際の星々と整合しなくなった星座を、整合するよう改編したいという夢についても、諸々の事情により、王自身からは本人が思う以上の支持を得ることになった。

 ただし、世の多くの運営は、どうにも星読みたちの意見が強く、なかなか現行の星座を改編することは難しかったから、では実際の星々は、どのようになっているのかを先ずは世に報せる必要があるだろう……と、テレスは、このことのためにも励んでいた。


 また呼ばれたら、あれを聞いてからなのだろうな。と、うんざりしてしまうのは、テレスに限らないようで……昔は、個別で各々の王城に呼ばれた際も、なんだか同じようだったらしいのだが、今ではもう、わざわざそのようなことはしないことになっていた。

 そのかわり、役職ごとに名を記した印紙をもらえるようになっていて、


(推敲中)

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