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「偽物の天才魔術師」はやがて最強に至る 〜第二の人生で天才に囲まれた俺は、天才の一芸に勝つために千芸を修めて生き残る〜  作者: 空楓 鈴/単細胞
第2章 王女護衛篇

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第51話 スタートに立つ



 体のあちこちから血を流しながら脚を引きずる男は、とあるホテル一室の扉を開く。


「スティラはどうした?」


 扉を潜ると、暗い部屋。

 そこには人影が一つ。


「殺されましたよ、それより守り手の隊長さん方はどこへ?」


 暗闇から投げかけられた質問に、傷だらけの男は、頭をポリポリとかきながら、気怠そうに答えた。


「リディアンの様子見でぶつけたぜ。

 捨て駒だから戻ってくることはねえだろうよ」


 そう言って、暗闇の人影は笑った。


「……そうですか」


「強かったか? リディアンの部下は」


「概ね情報通りでした。

 眼鏡の方は特筆した強さはなかったですが、詠唱短縮による高速再生と我流剣術……本気の斬り合いになるとかなり面倒でしょう。

 赤髪の男の方は一瞬しか見れませんでしたが、情報より速い気がします」


「そうかい」


「ただ……」


「なんだ?」


「1人情報にないやつがいました……」


「そうなのか?」


「はい。奇妙な光を使ったり、シビル家の相伝土魔術や、辺り一帯を包むような霧を出していたりと、まだ手札を残している可能性があります。

 そして1番の誤算は奴の魔力出力です」


「魔力量ってことだろ?」


「ええ、仮にも四大貴族の血を引いているスティラを軽く凌駕していましたよ。

 あんな家一つ覆う程の『水砲弾(ウォーターキャノン)』は見たことないです。

 やつが周りの被害を考えずに最大出力で攻撃してきていたとしたら、勝負にすらなっていなかったでしょうね」


「お前がそれほど言うのは珍しいじゃねえか」


「ええ、あの若さであの魔力なら、成長しきれば四大貴族当主や、死神含む各国の猛者にも並ぶかと……」


「倒せそうか?」


「フィノースの相伝魔術にやられかけていたので、おそらく有効札がないのでしょう。

 流石に次は警戒して対策を立ててくるでしょうが、連れてきたフィノースの連中の中ではスティラが1番弱かった訳ですし」


「わかったぜ、ご苦労さん。

 しばらく休みな。

 次の情報が入り次第、また連絡するぜ」


「感謝致します、セリ殿」


ーーー

【ディン視点】


「エドマさん、クロハの体調はどうですか?」


「おはようございます、ディン様。

 クロハ様の体調はポーションのおかげで良好ですよ。先程も朝食をとっておりましたので」


 窓から朝日が差し込む中、エドマは爽やかな笑顔で答えた。

 この爽やかさ、朝のお天気お姉さんを見ている気分だ。

 クロハやクロエ王女が美人過ぎて埋もれているが、この人もなんだかんだ美人なのだ。


「そうですか、よかったです。ところで……」


「はい?」


 ほら見ろ、このキョトンとした顔。

 結構可愛い。


「セコウさんとは最近うまくいってますか?

 ……具体的にはどこまーー痛っ!」


「余計なお世話だ!」


 ちょっとからかうつもりで、わざとデカい声で話していたら、セコウにゲンコツをもらった。


「痛ってぇ……朝から何するんですか!」


「彼女が困っているだろ!

 お前は大人しくクロハのところに行け!」


 顔を少し赤くしながら、セコウは声を裏返してそう言った。

 めちゃくちゃ必死だ。

 この反応の仕方……俺と同じ、悲しい匂い。

 セコウ貴様、DTだな? 

 俺のサイドエフェクトがそう言ってる。


「あはは……それよりディン様、クロハ様と話すのでは?」


 気まずそうに笑っていたエドマが、クロハの寝ている部屋を指差した。

 彼女のこの微妙な反応……

 ひょっとして、セコウはフラれたのか?


「ああ、そうですね。

 今部屋に入っても平気ですか?」


「クロエ様もおりますので大丈夫かと」


「ありがとうございます」


 王女もいるのか……

 そういえばあの2人って、結構一緒にいること多いよな。

 どことなく顔と名前が似てるわけだし、シンパシーでも感じているのだろうか。

 王女は堅苦しくて、プライドが高そうなイメージがあったのに、奴隷だった魔族の子供と普通に接しているのもなんだか意外だ。

 いやまあ、この世界の王族がどんな感じの人柄なのかは知らないんだけどね。

 見た目で決めつけるのは良くないか。


「じゃあリディさん、通訳お願いします」


「うん。

 それよりさ……」


 リディが腰を落として俺の耳元に顔を近づける。


「なんですか?」


 リディがこんな仕草をするなんて珍しいな。

 また何か問題でもあったのだろうか……


「セコウってエドマさんにフラれたのかな……」


 違った。

 肩に力を入れていた俺がバカだった。


「さあわかりません……

 とにかく今は見守りましょう」


「……だね」


ーーー


 クロハが寝ている部屋の前に立ち、その扉を叩く。


「クロハ、ディンだ。 入るよ」


「どうぞ」


 扉の向こうから王女の声が聞こえた。

 なんだか緊張してきた。


「失礼します」


 扉を潜ると、クロハは掛け布団にくるまって俺に背を向けていた。


「おはようございます、クロエ王女」


 ベッドの椅子に腰掛けている王女に一礼する。


「ええ、おはようございます。

 何か御用ですか?」


「はい……少しクロハに話があって」


 苦笑しながらそう言うと、王女は俺とその後ろにいるリディを交互に見て何かを察したのか、『では私はしばし席を外します』と口にして、さっさと部屋を出て行ってしまった。

 俺とそう歳も変わらないはずなのに、なかなか気づかいの出来る人だ。


 でもあそこまでよそよそしくやられると、距離感というか……なんだか王女にまで避けられてる気がしてくる。

 いや、やめよう。最近の俺はネガティブ思考が過ぎる。

 

「……クロハ、体調はどう?」


 王女の座っていた椅子に腰をかける。

 クロハの体調が良くなったことは知っている。

 だが、今更ながら、彼女とは正直何を話せばいいかわからないので、他愛もない話を挟んでしまう。


「ーー•ー•ーー」


 俺の喋り終えると、リディアンの通訳が続く。


「……」


 しかし、それを聞いても布団にくるまったクロハは一向に動く気配がない。

 まるで蛹。ガン無視だ。

 まあ当然の反応だろうけどな。


「……ごめんな、クロハ」


 そう口にした時、クロハの体が布団越しにピクリと動いた気がした。

 リディはまだ通訳していないというのに。


「勇気がなかったんだ。

 俺が悪いんだ。 

 でもクロハのことはお母さんの代わりに絶対守るから」


 彼女はリディの通訳を終始黙って聴いていた。

 正直、7歳の彼女に俺の言いたいことが伝わっているかはわからない。

 でもそれはいい。これは宣言だ。

 クロハに対してはこれからの行動で示せばいい。


「・-・・・-・・・・---・-・・・-・-・クロハ」

(お大事に、クロハ)


 とりあえず言いたいことも言えたし、クロハのリアクションは見れそうになかつたので、部屋を出た。


「……上手だったよ。君の魔神語」


 部屋を出て少しすると、リディはそう言って俺の肩を叩いた。


「ありがとうございます」


「変わらない人間なんていないからね。

 君が変わろうしているんだ、あの子も変わる。

 大丈夫だよ、ディン」


「はい、ありがとうございます」


 少し自嘲気味に笑って、そう返した。


「励ましたわけじゃない。本当のことさ」


 リディは静かに笑った。


 なんだか最近、聞かん坊のロジーや、明らかに反りが合わなそうなセコウが、この人を慕っている理由がわかってきた気がする。


「そういえば、今日の稽古は何をやるんですか?」


「うーん……そうだね。

 じゃあ……」


キャラクター図鑑No.3


名前 ラルド•オード (29歳)

所属 オード家

種族 ???

称号 銀の死神

特徴 銀髪、長身、金色の瞳、犬歯、イケメン

魔術 以前ヘイラに習ったが、詠唱を覚えられない。

特性 ???•魔素感知•魔剣の回廊

技能 疾風流剣術、魔剣の権能、剣聖流剣術

ーーー

好きなもの 家族(特に嫁)剣、鍛錬

嫌いなもの ヘイラの父、リディアン、偉そうな奴

好きな言葉 ヘイラ

趣味    鍛錬、剣磨き、ディンとの手合わせ

得意技   剣を投げる、高速剣撃、スポーツ全般

ーーーー

パラメーター(低G〜SS高)Dが普通


攻撃力  S+

魔力量  A+

知性   S(戦闘時のみ)

白兵戦  SS

魔術技  G

精神力  S+

成長性  A

特異性  A

人望   F

ーーー

 一時期疾風王の名を冠していましたが、魔剣の覚醒により戦闘スタイルが大きく変わったため、その座から外れました。



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― 新着の感想 ―
[気になる点] クロハってのは奴隷の分際で助けてもらうのが当たり前なのか? お前を助けてしまったがために主人公は貧乏籤引いてるのに、どれだけ上から目線でものを言えば気が済むんだ・・・??? 理解が出来…
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