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「偽物の天才魔術師」はやがて最強に至る 〜第二の人生で天才に囲まれた俺は、天才の一芸に勝つために千芸を修めて生き残る〜  作者: 空楓 鈴/単細胞
第6章 決勝•和解篇

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第162話 洞窟のグルメ


「よし、別の道を探すか」


 今にも魔物の餌になりそうなランドルを目にしたその時、俺のIQ五千万の脳内CPUは一瞬にして一つの答えを出した。


 だる。見なかったことにしよ。


 ので、俺は流れるようにその光景に背を向けて、もと来たトンネルに引き返すのだった。


「えっ!? 助けないの!?」


 背後でラトーナが裏返った声を上げた。

 大きい声を出さないでほしい。ランドルフに気づかれたら面倒じゃないか。


「ラトーナ、洞窟や迷宮には危険が転がっているんだ。どこで不幸があっても仕方ないんだよ。

 うう……くそ、すまないランドルフ、俺達がもっと早く駆けつけていれば」


 それに、もし仮にラトーナがランドルフを好きなのだとしたら、ここでランドルフが退場するのは願ってもないことだ。

 どうせラトーナと俺は脈無しなんだ。せめてもの腹いせといこうじゃないか。


「ふざけないでちょうだい! まだ死んでないから!」


 トンネルに戻ろうとくる俺の手を、ラトーナがグイグイと引っ張って来る。

 

「俺には助ける魔力はもう……」


 足を止めて、拳を握りしめながら声を絞り出す。

 いかにも、己の無力さを嘆いている少年に見えるだろう。


「私に嘘が通じないのは知ってるでしょ!」


 くそ、無理か。

 ここまで言われては、助けなかった時に彼女からの好感度が飛んでもなく下がりそうだ。


「あーはいはい、わかりましたよ。一つ貸しですからね」


 助走をつけ、崖から飛び降りる。


「わぁぁぁぁ!!!」


 落下先ではランドルフがどこぞの中国武術家のように拳を振り回して威嚇しており、魔物達もそれを警戒して攻めあぐねている。

 魔物の怯え様からして、何匹かランドルフのバイブパンチの餌食になったのだろう。

 いくら魔物でも、ランドルフの魔術を纏った拳は脅威らしい。


「とうっ!」


 風の逆噴射で減速しつつ、ランドルフと銀狼の群れの間に華麗に降り立つ。

 そう、着地が大事なのだ。


ーー土槍ーー


 着地早々、銀狼達の足元に魔法陣を展開。

 地面から飛び出した突起物が狼達の腹を貫いていく。


「ギャゥゥゥゥゥッッッ!!」


 貫かれたまま断末魔を上げる銀狼が、一頭また一頭と痙攣をやめて動かなくなっていった。

 銀狼は黒狼ほど魔力反応に敏感じゃないし、タフさもない。

 死角をついて攻撃すればすぐに死ぬ。いわば、洞窟に適応した黒狼の劣等種だ。


「あら、瞬殺じゃない」


 頭上からはラトーナの声。


「ラトーナ君じゃないか!!」


 崖の上から、まるで透明な階段を降りるかのようにしてこちらにやって来たラトーナを見て、ランドルフが声を上げた。


「無事なようね、ランドルフ。

 ディ……グリムに感謝しなさい」


 腰を抜かしてへたり込んでいるランドルフを見下ろしながら、フンと鼻を鳴らすラトーナ。

 どうして彼女が偉そうにしているのだろうか。


「なぁ、今どうやって降りて来たの? 空中を歩いてるように見えたけど」


 是非とも原理を知りたい。可能なら俺も、『月歩』とか叫んでやってみたいんだが。


「出力を限界まで下げた『反射の呪詛』を階段上に何個も展開して、それを踏みながら降りたのよ」


「え何それ、すご」


「ふん」


 照れ隠しなのか、それとも普通に嫌われているからか、そっけなくそっぽを向いてしまうラトーナ。

 この険悪なムードはいつまで続くのだろうか。


「でも、言い出しっぺが何もしてないのはどうかと思うんだよね」


「いっ……だって思ったより、出力の調整が難しくて……」


 バツの悪そうな顔で、口を尖らせながら目を逸らすラトーナ。

 可愛いので許そう。


「さて、それは良いとして……」


 ランドルフの前にしゃがみ込んで、その腕を掴む。


「な、なんだ?」


 困惑しているランドルフをよそに、土魔術で手枷をつけた。


「なっ、何をするんだ無礼な!!!」


「しー、静かにしてください殿下」


 ランドルフの口を指で塞ぎながら、彼のエルフ耳元で岩礫を背後の絶壁に放つ。


「あまり騒ぐと、うっかり手が滑ってしまいそうです殿下」


「ッ……」


 俺が前々から挑発したからというのもあるが、ランドルフは精神的に不安定なので、この先何をやらかすかわかったもんじゃない。

 ラトーナと共謀して俺の背後をグサっとやってくる可能性も捨てきれないので、拘束しておくに限るだろう。

 

「俺達はこれから上を目指します。着いてきたければお好きにどうぞ」


「お前……こんなことして、後でどうなるかわかって——」


「この洞窟は広くて魔物も多そうですからね、どこで不幸があっても全く不自然じゃありませんね〜

 ランドルフ陛下も俺がいるとはいえ、気をつけてくださいよ?」


「わ、わかった。従う、従うとも!」


 そうだ。別に俺はランドルフがどうなろうがどうでも良いからな。

 むしろこれを借りだと思ってもらいたいくらいだ。


「とりあえず行きましょう、グリム」


 新たな通路の方を指差すラトーナ。

 さっきまでの砕けた雰囲気が消えて、堅苦しい気張った表情に変わってしまっている。

 くそ、こいつがいなければ二人きりだったのに。


 まあとりあえずは、上に戻ることだけを考えよう。

 そう気持ちの整理をつけて、ラトーナを追い抜いて先頭を歩き出した。


ーーー


 三つほどあった新しいトンネルの内の一つをしばらく進むと、蟻の巣みたいな小さな穴が転々と壁に空いている空洞に繋がっており、『ブイヨマイト』というデカいカタツムリの巣になっていた。


「ひっ……き、気持ち悪い! 早く殺せ!」


 手枷をつけられたまま、俺の背中をドンドンと叩いて騒ぎ立てるランドルフ。

 痛いだろうがボケが。あとうるさい。


「なるほど、通りで銀狼が湖の方にいたわけか」


 半泣きのランドルフを無視して、足元に落ちていた銀色の体毛を拾う。


「どういうこと?」


「銀狼という魔物は、洞窟の光苔に体を擦り付けてることで体毛が光を放つ特殊な生き物なんだよ」


「なんでそんなことを?」


「銀狼は暗闇ではあまり目が効かないから、苔と体質を利用して自ら光を放って、洞窟での狩をやりやすくしてるんじゃないかな」


「闇に目が慣れてないってことは、元々地上の魔物だったってことかしら」


 流石というべきか、ラトーナは話が早い。生態系や進化の話もなんとなくは理解してるようだ。

 学者肌なのか、自分の考察も織り交ぜて来るあたりがなんともそれらしい。


「でも、カタツムリと銀狼に何の関係があるのよ?」


「この『ブイヨマイト』は自分だけが通れるサイズのトンネルを洞窟中に掘って、そこにある光苔を食べるんだ。

 『ブイヨマイト』っていう名は、ヨトヘイムの古い言語で『暗闇を招く者』っていう意味があるわけ」


「へぇ、じゃあ狼は自分達の商売道具を食い潰されて、堪らなくなって移動したってこと?」


「そうそう。本来は体に付けた光苔が落ちちゃうから水気を嫌うのに、湖の方まで足を伸ばしていたのもそれが理由かな。

 そんで、その前に出会ったベガーラットの群れは銀狼達から逃げてきたんだろうね」


「ふっ、ランドルフは銀狼にとってようやくありつけたご馳走だったわけね」


 流し目でランドルフを捉えて、鼻で笑うラトーナ。

 少し濡れた髪も相まって、なんとも色っぽい。さすがはクウォーターエルフといったところか。

 気になることがあるとすれば、彼女が俺から距離をとって歩いていることと、一向に俺と目を合わせようとしないことだろうか。


「ひっ……よしたまえ! 考えたくもない!」


 銀狼を思い出してランドルフは身震いしており、相当先程の出来事がトラウマになっているらしい。

 だが、甘いな。あの程度はまだ死にかけた内にも入らん。

 文字通りルーデルに腹をぶち抜かれたり、ヒュドラに丸呑みにされかけてこそ、ようやく死にかけたと言うものだ。若造が。


「とりあえず、食事にしようか」


「え?」


「は?」


 土魔術で寸胴を生成し始めた俺の腕を、ラトーナとランドルフが掴んできた。


「お前、食料なんて持っていたのか! でかしたぞ!」


 死にかけた心労でよほど腹が減っていたのか、ランドルフの瞳は光苔にも負けぬほど輝いていた。

 助けられた立場のくせに鼻に付く物言いなのは、根っこの部分でどうしようもないのだろうか。


「殿下も冗談が言えたんですね、食料なんて持ってるわけないですよ〜ははは」


 俺の返事に目を点にして首を傾げるランドルフだったが、その傍らにいる金髪の美少女は、これから何を食べるのかを理解したようだ。

 

「ま、まさか食べるの……? このカタツムリ」


 察しの良いラトーナは気づいたようだが、流石にポーカーフェイスを保てなかったようで、顔を顰めながらそう問いかけてきた。

 彼女の瞳は今、ドロドロの粘液を残して壁を這い回るブヨブヨした生き物に釘付けになっている。もちろん悪い意味でな。


「なっ……は? 冗談だろ? この僕に、王族の僕にこんなモノを食わせるのか?」


 嬉々として頰を緩ませていたランドルフの顔も、一瞬で青ざめた。

 わかるぜ、俺も最初はコレを食べるとなった時にそんな顔をした。


「せめて、さっきの狼とかの方が良さそうだろ!」


「はぁ……あのですねぇ、肉食系の魔物は臭くて香辛料が無いと食えないんですよ。

 その点、ブイヨマイトは薬草としても使える光苔が主食だから臭みもないし、ちゃんと調理すればそこそこ美味いんです」


「ッ……」


 俺の説明を聞いて、再びカタツムリに視線を移して顔を顰める二人。


「どこで食料が手に入るかわからないし、出来るならここで食べておいた方がいいです。

 まあ別に、二人が食わないなら俺だけでも食いますけどね」


 顰めっ面が一向に戻らない二人をよそに、俺は調理を開始した。

 まあ調理といっても、カタツムリを捕まえて甲羅から引き摺り出し、内臓を取り除いて塩揉みしてから茹でるだけだ。

 そして寸胴に水をなみなみと注ぎ、火の魔術で沸騰させる。ちゃんと沸騰させないと寄生虫で死ぬからな。

 最後に一口サイズに刻んだ身の部分を寸胴に入れて、土魔術で生成した岩塩と共に塩茹でする。


「てっててーん。完成〜」


 抑揚のない声がカタツムリの巣にこだました。

 いや、厳密に言えばカタツムリは狩り尽くしたので、もはやただの空きテナントだが。


 まあともあれ、土魔術で皿とフォークを作り、頂くことにした。

 全ての食材に感謝を込めてだな。


「ねぇ、本当に食べるの? それ……」


 合掌を終えて、こだわりの一品を口に運ぼうとしたら、ラトーナが眉を八の字にしながら件の品を指差して尋ねてきた。

 コレから人が食べるモノを汚物みたいに指差すとは、何とも失礼だな。


「冗談抜きで美味しいからね。ラトーナなら俺が嘘言ってないってわかるでしょ」


 そう言って、俺はカタツムリを口一杯に頬張った。

 ちなみにお味の方はつぶ貝に似ている。食感はモノによって違うが、コリコリしているものもあれば、ホタテの刺身のように柔らかいものと様々だ。

 まあ一言で言えば、そこそこ美味い。だ。

 

「……私も頂けるかしら」


「え、冗談だろラトーナ君!?」


 何かを諦めてような顔をして俺に頭を下げてきたラトーナ。

 その横ではランドルフがドン引きしている。


「勿論構わないよ、どうせ一人じゃ食い切れないし。はいどうぞ」


 ラトーナの分の食器を作り、カタツムリを乗せて手渡す。


「……頂きます」


 恐る恐るカタツムリを口の前に持っていき、目を閉じてそれをパクりと含むラトーナ。


「お味は?」


 目を瞑ったまま首を傾げて咀嚼するラトーナに問いかけてみると、彼女は『思ってたより美味しい』と答えてお代わりを要求してきた。

 当たり前だ。仮にも舌の肥えた元日本人の俺が美味いと言うのだから、不味いわけがない。


「ランドルフ王子は食べないんでしたよね?」


「た、食べるとも! 僕にも寄越せ!」


「よっ、流石は王子。ご英断です」


「君はよくもまあ、上っ面ばかりの世辞をいけしゃあしゃあと吐けるものだ」


「今までの貴殿への不敬は、瞞着流の教義に則っとたものであることを、何卒ご理解頂きたく存じます」


 ただの人質にすぎないランドルフに大した権威は無いが、それでも王族への無礼は世間的に見逃せるものでもない。

 だから一応、誤解は解いておくことにする。

 決して、後々刺客を差し向けられるんじゃないかとか、社会的に消されるかもとビビっているわけではない。うん。


「全て、武人でもある王子への信頼の裏返しとでも言いましょうか」


「ッ……」


 実際、俺の言うことは的を射ている。そうである以上、あとはランドルフの王族としての器が問われるのだ。

 だからこそランドルフは、権威という名の足枷に煩わしさを覚えて、爪を噛んで顔を顰めているわけだ。 


「ふん! まあ良いだろう!」


 そしてまあ、自尊心の高いこのダークエルフには選択肢など無いのだ。

 

「寛大なお言葉、痛み入ります」


 一応首は垂れておく。

 この態度はあくまで、この洞窟を出てあとに崩落の原因がランドルフだと証明できなかった時の保険だ。

 順当にいけば、コイツには何らかの処分が降って、俺の不敬やらも有耶無耶になるからな。


「……変わったのね、あなた」


 カタツムリを食べながらラトーナが無機質な声で呟いた一言。

 その場では無視したが、俺はその言葉の意味をずっと考えていた。


ーーー


 地底洞窟に迷い込んでから何時間が経ったのだろう。

 その後も探索は進んでいるが、予想通り食糧になり得る魔物と遭遇することは出来なかった。

 やはり、あの時カタツムリを食べておいて正解だったわけだ。

 幸い、この地底洞窟に生息している魔物は高くてもBランクの魔物しかいないので、危険も消耗もほぼ無いままで済んでいる。

 この状況がいつまで続くかはわからないが、今のままならそこまでハードな探索ではない。何とやっていけるだろう。


 あと、問題があるとすれば……


「全く、何で助けが来ない。学園は何をやっているんだ!」


「そもそも、俺達の不在に気づけるのは試合が終了したあとでしょうから、そこから探索を始める以上どうしても遅くなります」


「ッ……大体、ラトーナ君が洞窟を本陣に選ばなければこんな事にはならなかったでは無いか!」


 慣れない洞窟探索や魔物の襲撃で精神をすり減らしたのか、先程から何かにつけて人を口撃しているのだ。

 ビビっているのか俺にはやってこないので、ラトーナが主にその対象となっている。


「……」


 対するラトーナは沈黙を貫いてはいるが、どんどん目つきが鋭くなっていて、明らかに不機嫌オーラを周囲に振り撒き出している。爆発寸前と言い換えても良いな。


 そんな地獄みたいなムードには俺も流石に耐えきれず、一度安全な地点を見つけて仮眠をとることにした。


「ひとまず見張は俺がやるんで、二人とも寝ていてくれて構いません」


「私が『不眠の加護』と『専心の加護』をかけるわ」


 加護魔術は相変わらず便利だ。

 素人の見張じゃ心細いので、二人を寝かせて俺一人で担うつもりだったが、どうやらそれが少し楽になりそう。


「ありがとう、助かるよ」


「これで、さっきのご飯の貸し借りは無しよ」


「いや、別に貸しを作ったつもりじゃ……」


 どうやらラトーナは俺に貸しを作りたくないようだ。

 つまり、出来る限り俺と接点を持たないようにしているということ。それは俺に対する好感度のわかりやすい指標でもあるな。


 やはりというべきか、彼女は俺からかなり距離を取っている。

 礼は言うし、脱出に必要な最低限の会話は交わしてくるので、そこら辺は弁えているのだろうが……冷静な上であそこまで露骨に敵意を示されては、心苦しいものがある。


 とりあえず洞窟内に小さなブースを二つ作って、二人にはそこで眠ってもらうことにした。

 俺はブースの外で、魔物が来ないか見張るのだ。

 『不眠の加護』で寝落ちの心配は無し。あとは1時間ほどの退屈に耐えるだけだ。


 さて、見張りを始めてから30分ほど経った頃か。

 二人が眠るブースから少し離れたところで腰を下ろしていた俺の背後で、砂利を踏む音が聞こえた。


「今の内に眠っておかないと、あとあと危ないですよ」


「平気よ、私も『不眠の加護』をかけたから」


「え?」


 大方ランドルフが手枷を外せと懇願しに来たのかと思ったが、振り向いくとそこに立っていたのは俺を見下ろす金髪の美少女だった。


 呆然としていた俺をよそに、彼女は俺の隣に腰を下ろして、こちらに目線を合わせずぼんやりと洞窟の景色を眺めながら口を開いた。


「少し、アナタと話したかったの」


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