頼れる人 4話
第4話です、結構話の展開が遅い様な気がしますが、早すぎてもダメだと思うので、これぐらいが丁度いいのかなと思っています。
「…と言うわけだよ」
「なるほど…」
俺が異世界に来て目覚めてからかれこれ2時間ほど経った…らしい、時計がないから正確の時間がわからない。
まあそれぐらいは経った、あの後俺はクライムさんが戻ってくるまで、渡された本をずっと読み時間を潰していた。
大体30分か?体感ではそれぐらい。
30分経ったぐらいでクライムさんが戻ってきて、この世界の事をいろいろ聞かされた。
まだ混乱してるけど、何のなくこの世界のことがわかった、1時間もぶっ通しで聞かされたら誰でもわかるか。
話された内容は、法律 種族 魔法 能力 などいろいろ、多すぎで全部は言えないが…とにかくいろいろ聞かされた。
「これから君は険しい道を行くだろう、まあ険しいと言うか、ほぼ垂直な道だと思うけど
まあそんな道を歩き疲れたなら、私の所に来るといい、こう見えても私はマッサージ師でもあるので」
「あ、物理的な意味なんだ、てっきり精神科みたいな感じだと思ってた」
「悪いが私は精神科ではない、だが…相談ぐらいならいつでもするよ、まあなんだ罪の償い?いや同情だな
そんなもんだと思ってくれ」
「同情ですか…」
同情するなら早く家に帰して欲しいんだけど。
「ああ、私なりの同情だよ、変な風に拗らせてアレ見たくなるのはゴメンだしね」
「アレ?すいませんアレってなんですか」
「一から話すと長くなるのだが…聞く?」
どうしようかな、まあ別に早く出てもやる事は決まってないし…一応魔王を倒すって事は決まってるけど、いきなりは無理だしな。
急ぐ理由もないし、情報は少しでも多く手に入れておいた方がいいか。
「聞きますよぜんぜん」
「なら話すが…やっぱりいいと思ったら言ってくれよ
この国は昔…いやそんな昔でもないな、16年前の話だ、元々この国には別の王が統治していたんだが…
その王がこれまた悪くてね、自分の私利私欲のためだけに国を使い、快楽のために奴隷同士を争わせ、それを眺める
そして自分はそれを見ながら、ワインを飲むそんな王だったんだ」
「絵に描いた様な悪役王だな、その…だったって事は死んだんですか」
「死んだよ」
「病気ですか」
「いや、病気なんかじゃない、王は殺された自分の自業自得で」
「一体どんな死に方だったんです」
「王は奴隷同士の殺し合いに飽き始めたんだ、もうちょっと迫力が欲しいと思った
そこで転生術を使うことにしたんだ、その転生術で強い者を2人呼び、殺し合いをさせようと
王はまず手始めに、最強の男を呼んだ、だがその男は王の考えを愚だらないと笑った
その事に怒った王は男を殺そうとした、だが王は返り討ちにあった」
「確かにそれは自業自得だな……もしかしてその男ってまだこの世界にいるんですか」
「居るよ、と言ってもこの国の地下の地下に封印されてるけどね」
「何で封印されてるんですか、最低な王様とは言え王様を殺したんですよね、それなら死刑になっててもおかしくない様な…」
「そいつが強すぎたんだよ、そいつは王を殺した後も生身で50名にもなる兵士を殺し、城を半壊させた」
「50!!さりげなく言いましたけど凄い数ですよ、そんなに強いんですか」
「ああ、とてつもなく強かった、なにせ最強の男を呼びその男がバグで力を手に入れたんだからな、弱いはずがない
ハートに聞いた話だが、殺す隙がなかったそうだ、一度捕らえようとしたものも2秒ほどの隙を突き、逃走したらしい」
「たった2秒を」
「ああ、殺そうにも殺せないので封印したんだ、これがアレの話だよ、君もアレみたいに殺しだけはしないでくれよ
…いや、それ以外はいいと言うわけじゃない、ちゃんと法律を守ってくれよ」
「当たり前ですよ、たとえ違う世界でも、守るべき事は守ります」
異世界に来てまで牢屋に入りたくはないな、そこんところ気をつけよう。
「さて、細かい話はしたし、杖もバッグも渡したしこれで終わりかな」
やっと終わるのか、思ったより長かったな。
「私からのアドバイスと言うか、こうした方が私はいいと思うのが、まずギルドに登録した方がいい」
「ギルド?ってなんですか」
「ギルドと言うのは…簡単に言えば仕事みたいなものさ、依頼を受けそれが成功すれば、お金が貰える、この世界の住人はギルドに所属している人が殆どだ
お金もそんなにはかからない50円で大丈夫」
「円?あのこの世界のお金って円なんですか」
「いや違うよ、わかりやすい様に私が円って言い換えただけ、こっちの通貨の名前は スカラ 銅貨5枚分で登録できる
君は10万円持ってるはずだから、余裕で登録できるね」
「50円で登録できるのか、思ったより良心的だな」
「まあね、ついでにギルドはこの城を出て右に曲がったら、デカイ酒場みたいところがある、それがギルド本拠地、わからなくなったら地図で確認するといいよ
ギルドの詳しい話は登録する時に聞いてくれ」
「ありがとうございます、そんな丁寧に」
「いいよ、私にできる事ならなんでも言って、できる限りは手助けするから、いくらでも頼ってくれ」
「わかりました、じゃあ行きますね」
「ああ、頑張れよ少年」
クライムは手を振りながらニッコリと笑う、俺は手を振りかえしながら、部屋から出た。
めんどくさい事になったな、まさか異世界に来るなんて、思っても見なかった、できれば帰りたいんだけど。
魔王を倒すまで帰れないと、手っ取り早く王様を強迫した方が早く帰れる気がしてきた。
それも意味ないか、俺が元の世界に戻ったってこの世界が良くなるわけじゃないし、別の人を呼ぶかもしれない、だったらやるしかないか。
異世界での生活…できるかな、そんな事。