呪いの鎧 19話
第19話です、今回はライジングという呪われた鎧が登場します、今後もライジングは出す予定があるので、これ以外の出番も楽しみにしてください。
『バゴーン』
洞窟から現れたゆしは黒く輝く意思ある鎧を睨み、威嚇する、それに対しその鎧は槍を修学旅行のトワリングのようにクルクル回し
ぬしの威嚇に答え、ある程度回すと、その槍をぬしに向けた。
「我は黒キ鎧 ライジング、主人の意思によりギドル アルケミック、お前を倒…」
『ギゴーン!!』
歌舞伎のような名乗りを上げている最中の鎧にぬしは容赦なく、電撃を飛ばし、その電撃は鎧に直撃する。
鎧の下の地面が黒く焦げるほどの電気、流石にこれは死んだ、そう思っていたが。
「…ふん、こんなものか」
その鎧は何事もなかったように立ち上がり、鎧についたゴミを払い、槍をぬしに向け、突っ込んだ。
「全力で仕留める」
『ババババ』
で、そんなぬしと鎧の戦いを、少し離れた岩の後ろで隠れる見ていた。
俺達はぬしであるギドル アルケミックから少し距離をとった、作戦会議やタイミングを見計らため、どうするか話し合っていたところ
顎門が能力を使い、黒くて輝いている意思ある鎧、ライジングを呼び出し、ぬしと戦わせた。
「…それにしてもあの子タフね、ギドル アルケミックの電気を受けて立っていられるなんて」
「当然ですよ、俺の仲間ですから」
「いい仲間だが…あれ中の奴は大丈夫なのか、流石に鎧を纏っているとはいえ、電気は避けれないだろ」
「は?何言ってんすか先輩、アレに中の人はいませんよ」
「何言ってんだ、その遊園地の着ぐるみの言い訳みたいなのは」
「いや、本当ですて、アレは元々ライジング・パラディン・デスゲート、って言う鎧だったんです」
長いな…鎧の名前なのになんでこんな長いんだ、もうちょっと短くて言いやすい名前にしろよ。
「え?ライジング・パラディン・デスゲートってあの、あの伝説の鎧!!」
「伝説って」
「ああ、伝説上の生き物さ」
「ヘェ〜、ところで伝説って?」
「ライジング・パラディン・デスゲートはかつてのウィング カントリーの王が作った、呪いの鎧よ」
「ウィング カントリーの前王って…確か転生術で別の世界の住人を呼んどいて、そいつに殺された奴ですよね」
「うん…朧月 龍弥って男にね」
王を殺した転生者がいるとは聞いていたけど、日本人だったんだな、朧月…朧月かどこかで聞いたことあるな、確か8年前に行方不明になったヤクザの名前だったか。
朧月組って言う組織がリーダー不在でバラバラになったとか、まぁそんな事今はどうでもいいか。
「で、その呪いの鎧って…なんなんですか」
「前王が自分で作って、自分で装備していた鎧なんだけど、いろんな魔術式や能力が使われてて
前王以外が装備したら、1日ももたずに鎧に取り込まれるって言う呪われた装備だよ」
「で、そんな鎧がなんで動いてるんだ」
「あの鎧は魂を吸収する能力があるらしくて、それに危険すぎるあまり封印されてたんですけど…
その封印された場所が神の墓場って言う、墓場だったんですね、その墓場に眠る魂が鎧に吸収されて
多くの魂を吸収した結果、自我を生成して、ああなったす」
「なんで場所に封印してんだよ」
「そんな場所に封印されてたんだ、全然見つからないから嘘なんじゃないかって、みんな言ってたよ」
「よくそんな奴仲間にできたな顎門」
「まあ、タナトスと素材集めしている時に偶然見つけましてね、そこから契約して、仲間に…」
「伝説の鎧を仲間にしたって…さりげないことしてないか」
『忘れるでない、この七大魔王 アイス・ジャッチメント・スプラックス・1世の息子である、この僕を』
突然顎門のポケットからアイス食べ郎の声が聞こえて、顎門はそのポケットからカードを取り出し、そのカードを適当に放り投げる。
その投げ捨てられたカードは光を放ちながら、形を作り、アイス食べ郎に変化した。
「ブルルルル」
アイス食べ郎は姿を現した直後、体を水に濡れた猫のように揺らし、手に持つデカいアイスの棒を齧る。
「あ、いないと思ったら、そこにいたんだアイス食べ郎」
「ちょっと待て、なんだその名前は別の名前を要求する」
アイス食べ郎はそう言いながら、アイスの棒をメイに向ける、向けられたメイは少し笑いながら、両手を上にあげた。
「うるさいな食アイス、と言うかなんのようだよ、一応召喚するのにも魔力を使うんだぞ」
「わかっておるわ下僕、僕が呼んだのはあのデカブツを倒す協力をするためじゃ」
「…協力って何をする気?」
「フフフ、よくぞ聴いてくれた小娘」
「おいおいアイス、メイさんを小娘呼びしてんじゃねぇぞ」
「いや、小娘であってるだろ顎門」
「あ、そうか」
「で、具体的に何をするんだ」
「あのデカブツは確かに強い、正攻法では無理だ、そこでだ…僕が囮になる
そして、デカブツのあのエリを取る、そうすれば一時的とは思うが、能力を使えなくさせれるだろう…ガブガブ」
アイス食べ郎は喋り終わると、アイスの棒を舐め始めた。
こいつずっとおんなじアイス舐めてるけど、飽きないのか、と言うかそのアイスもアイスで全然溶けないな。
「いや、待てアイス何言ってる、お前が囮だと、考えろお前じゃ囮は無理だ」
「うるさいな下僕は確かに今の僕では無理だ、だがそれは今の僕であるからだ」
「何を言って…」
「下僕よお前の能力を使えば、僕はあの鎧と一体化することができる」
「能力?なあ顎門お前の能力って封印だけじゃないのか」
「いや、封印だけじゃなくて、他にも色々ある、その中の1つが進化合体、他の生命体同士を1つにする能力」
「凄いそんな能力まであるんだ」
「その力を使えば僕は強くなり、あのデカブツにも互角で戦える筈だ」
「だが、相手は呪いの鎧だぞ、下手したら死ぬかもしれない、そんなことできるか」
「安心しろ下僕よ、お前の能力には時間制限がある、鎧に吸収され前に時間制限がくる」
「制限時間かと言っても30分だぞ」
思ったよりもある、だいたいこう言う制限って3分が当たり前じゃない、その10倍の30分って、凄いな。
「僕を誰だと思っている、時期七大魔王になる男だぞ、あれしきの鎧使いこなしてやるは」
アイス食べ郎はそう言いと、岩から飛び出し、前線に出た。
「30分だったわね、ギドル アルケミックはかなりの強敵よ、だから弱点を一気に攻めないといけない」
「…一気にか」
「かなり難しいそうすね」
「そこで、私に作戦がある、まずエリは私がなんとかする、2人はこれを使ってギドル アルケミックの足を拘束して」
そう言うとメイは縄を取り出し、俺達に渡した。
その縄は麻縄のような見た目をしているが、触った感じはプラスチックのようにすべすべしていて、とても硬かった。
「あのメイさん…これは?」
「これは魔道具の一種で電気操る力を持つ魔物を縛る事ができる縄よ」
「限定的だな」
「アルケミックの戦闘のために作られたからね、使い方は縄を一回転させれれば、自動的にきつく縛る用になってる
私がエリを取った瞬間、その瞬間に2人がその縄でギドル アルケミックの足を止めて、心臓を突き刺す
これが作戦だよ」
「なるほど」
「私はエリが取りやすい位置で待機してるから、2人はアイス食べ郎の援護をお願い」
「わかりました」
「じゃあさっそく私動くから、2人ともお願いね」
メイはそう言うと手を振りながら、どこかに移動した、アイス食べ郎の援護か…今はこれが精一杯やれる事か。
「こうなったらやるしかないすね」
「ああ」
「そう言えば先輩は武器持ってないんすか」
「この鈍器しか持ってきてないな」
「そんなので何ができるんですか
よければこれ使ってください」
顎門は一枚のカードを俺に渡すと、そのカードは光り輝き、剣に姿を変えた。
「剣かいいのか顎門」
「レンタルすよ、壊したら弁償してもらいますからね」
「ああ、わかってる」




