空気に書かれた「好き」の文字
空気に書かれた「好きだ」の文字。
私は、ワザと気付かないふりをした。
だって、勘違いしたくないから。もし違ってたらって考えたら、恥ずかしい。
ただの自惚れになってしまう。
雄太本当に、好きだって書いたのかな。
一応、聞いてみた。
「え、ねぇなんて書いたの!?」
「んー、さぁ」
「最後が、「た」だった気がするんだけど!」
「あーー、間違ってはないね。うん、間違ってはない。うん。」
「ホントわかんない!頼む!もう一回!」
「仕方ねぇなぁ」
す • き • だ
やっぱり。
でもなんで?今なの?驚き。
「き、ただな!」
「アホか!お前は!」
「すっすみまぁせんです」
「まぁ、藍にはわかんないよねぇ。頭に浮かんだ言葉、そのまま言ってみただけだし。あんま考えなくていいよ。」
「え、やだ。あのね、私はそうゆうのすごい気にする人なんよ!」
「ん〜。全く。最初の文字は?わかった?」
「す?」
「はい、次は?」
「き...」
「うんうん。はい次は?」
「た!」
「アホか!目も悪いのか!悪いか。メガネしてるもんね。そりゃしょうがねぇな。」
「そんなことない!ちゃんとわかる!みえる!」
「俺、部活行かないといけないんだけど?」
「あぁ、そっかそっか。ごめんね」
「そんなに、知りたい?」
「いっいや!べっ別に言いたくないんだったらいいけど...」
「じゃあ、最後の「た」に濁点を付けるとどうなる?」
「だ」
「それをさ、繋げて言ってみてよ。俺は部活行ってくる。じゃあな!」
「え!うん、バイバイ!えぇと...」
す • き • だ
本当に、好きだって!?
生まれて初めて告白された。
心臓がバクバク。雄太のことしか考えられない。確かに、毎時間、休み時間は話してるし、居なくなったら嫌な人だし。
でも、自分はまだわからない。
雄太が好きかどうか、わからない。
なんなんだろう、こんな気持ち初めてなんだけど。
こんな気持ち、初めてなんですけど!!!?
どうすれば良いんですかっ!
どんな反応すればいいのかな。
これから、どう話せば良いんだろう。
全てが初めてで、わからない。
こんなシチュエーション、あったらいいな。
お読み頂きありがとうございました。