其の三、女少形人
どうも赤ずきんです。
今回は少し視点が変わります。
どう繋がってくるのか想像しながら読んでみてください。
真相が分かれば100点です。
其の三、女少形人
天気は快晴
風も心地よく、清々しいという言葉が似合う朝。
ここだけ。
この場所だけは不気味なほどに風がなく空気が重い。
「・・・うぅむ。」
「一体、何があったのか・・・真相は闇の中って感じっすねぇ?警部。」
警部「以前、同じような事件が他県であったよな。」
部下「あぁ、例の不気味な事件でしょう?あの事件も犯人は見つかってないらしいっすけど。」
警部「同一犯、もしくはカルト宗教的な奴らのしわざとも考えているが・・・いかんせん情報が無さ過ぎる。」
部下「カルト教団ならまだしも、同一犯ってのは考えづらいんじゃないすか?事件現場が相当離れてますよ?それに、被害者の目立った共通点も見つからないとなりゃお手上げです。」
警部「分かってる、あくまで可能性だ。・・・しかし、どうもこれらの件は違うものとは考えられんのだ。」
部下「なぜ?」
警部「・・・感だよ。長くこの仕事やってるからこその感だ。」
部下「感ねぇ・・・羨ましい限りで。」
警部「無駄口叩いてねぇで行くぞ。」
部下「了解・・・・・?」
警部「ん?どうしたさっさと行くぞ。」
部下「警部・・・あれ。」
部下が指を指した先に10代後半辺りの人物が立っている。
いや、人かどうか一瞬疑った。
その人は人形のように肌が白く、瞳は全てを飲み込むようにどこまでも深い黒。そして髪に椛の髪飾り。しかし何より不気味なのはその服装だ。
大小様々な灰の椛柄が描かれた黒い和服。
異様と言えば異様だが、人形のようなその少女には似合いすぎる程に似合っていた。
その姿は形容するに座敷童子といったところだろう。
少女は事件跡の一軒家をその黒い瞳で見つめていた。
警部「・・・すみません。ちょっと良いですか。」
「・・・・・。」
少女はこちらを見ようともしない。
警部「あの、お話を聞きたいんですが。」
この言葉でようやくこちらを向く。ゆっくりと。
その顔は直前までのものとは違い、とても笑顔で、裏を感じずにはいられない表情をしていた。
「おや、これは失礼。少し声を聴いていたもので。」
警部「声?」
「あぁいえ、こちらの話です。ところで・・・何か?」
警部「・・・この家での母娘殺人事件をご存知で?」
「事件・・・ですか?・・・・・いえ、知らないですねぇ。」
警部「そう・・・ですか?この家をジッと見ていたので何か知っているのかと思ったんですが。」
「声が聴こえたんです。子供たちの声がね。ただそれだけですよ~。」
警部「子供達?」
「・・・どうやらお役には立てそうにないので、私はこれで失礼しますね。」
警部「ま、待ってください待ってください!あの、せめてお名前だけでも・・・。」
楓「ふぅむ、知らない人に教えるのは恐いですねぇ・・・冗談ですよ。・・・【立花 楓】・・・です。」
少女は笑顔でそう名乗った。
赤ずきんです。
どうです?
今回もヒントを堂々と出しました。
気づいた人はどれくらいいるかな?
それではまた次回。
ねたま