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第八話:ケモ娘はいままでノーパンだったようです。

来た道を戻る。

まずはお金が必要だ。

といってもできることは限られてるいる。

まずは売ってもしばらく困らない物を売ることにした。

今俺たちが持っているものは、大きめの毛布、水を入れる水筒、空き瓶がいくつか、外套2着、火をつける魔法具、銅貨15枚、銀貨3枚。


火をつける魔法具を売るしかないな。


一度通った道なのでアルのもとまでもどるのにそう時間はかからなかった。


「なんだ?もうダンジョンに潜って来たのか?」


ニヤニヤと笑っている。


「あんた、登録料が銀貨10枚かかるの、言わなかっただろう?」


「そりゃあ、聞かれなかったしな、もう一本買っていたら教えていたかもな、ハハハっ」


銅貨5枚を渡しながら言う。

今度は隠し事なしだという意味を込めて1枚多く渡す。


「だから、こいつを売りに来たんだ。」


「おいおい、またあんた一人の分かい?」


「それはアコの分だ。人の話を聞こうぜ。」


「なるほどな、見た所魔法具かい?」


「ああ、種火をつけれる魔法具だ。」


みた感じアルも木炭のようなもので焼いているので、コンロのようなものはないのだろう。アルのこだわりかもしれないが…。


「銀貨25枚ってところだな。」


「そんなもんか?」


「そんなもんだ。」


「この国は魔石が多くとれるから魔法具はたくさんあるんだ。」


「そういうことか。」


焼きあがった串焼きをアコに渡すアル。


「ありがとなの…。」


おどおどゆっくりと受け取ってお礼を言うアコ。


「かわいいな。」


「だろう?ケモ娘はいいぞ。」


「ケモ娘か、なかなかいい響きだな、ハハハっ」


「買取は表に回ればいいのか?」


「ああ、入り口に行けばわかる。」


美味しそうに食べるアコをみながらアルに聞く。


「この国はなんで獣人を嫌うんだ?」


「国王様曰く、獣人は獣で人ではないらしい。」


「こんなにかわいいのにな。」


「こんなにかわいいのにな。でも、この国の国王様はなぜか戦争をしたがる。普通は戦争をすると勝っても負けても疲弊するはずなんだ。だけど、ダンジョンができてからはお互いの被害が出れば出るほどこちらの軍部が強くなっている。」


どういうことだ?


「周りの国をあっという間に吸収してこの大きささ。むしろ獣人たちはよく20年近くも耐えている。」


「だが、こうやって被害が出ている。」


アコを見る。


「そうだな。それに噂では冬になる前に本格的にメルリア大森林に軍を送り込むらしい。」


「本当か?」


「ああ、嫌な話だ。それにもしメルリア大森林がラーカイル王国のものになったら次は三大王国の戦争になるだろう。」


「嫌な話だな。」


「本当に嫌な話さ、商人としてはそうなると儲けが増えるのもまたさらに嫌な話さ」


皮肉交じりにそういって笑うアル。


「嬢ちゃんが食べ終わったみたいだぜ、さっさといきな。辛気臭い顔してるやつがいると売れるもんも売れないぜ。」


「ああ、今度はなにも隠してることはないだろう?」


「お前が肉で女の子の機嫌をとる悪いやつだってこと以外は隠してることはないぜ。」


「よく回る口だよ、ほんと。」


そういって店の面を向かう。

かなり広いお店だった。

アルカード商会。やっぱりあいつの店だったのか…。

店を持ちながらその裏で肉を焼くって物好きにもほどがある。


「買取をお願いしたいんだが」


店の入り口の横についている窓口の若い男の店員に話しかける。


「はい、お見せいただけますか?」


「これだ。」


火をつける魔法具を皮袋からだして置く。


「みたところ魔法具ですか。」


「ああ、火をつけるための種火になる魔法具だ。」


「あまり使われていませんね。魔力もまだ溜まっているようですし、銀貨28枚でどうでしょう。」


「28枚か」


3枚多いな。すこし儲けた気分になる。

アルがそこまで計算ずくだったのならこわい。


「それでお願いする。」


「はい、ありがとうございます。金銭の受け取りは中のレジで行いますのでそこでお待ちください。」


「ああ。」


アコを連れて店の中に入る。

雑貨や日常品を売ってる店なのか?

鍋などの料理器具から、洋服のようなものも売っている。

そういえばアコの服を買わなくいと。

下着も…買わないとな。


そういえばアコは今、ノーパンなのか?


おれは今なにも思いついていないし、なにも思い至っていない。

これ以上はイけない。


アコに似合いそうな服か。

尻尾があるからズボンは無理そうだな。

パンツは履けるのか?やっぱり獣人族はみんなノーパンなのか…?

なんという夢の種族なのだ。


「アコ、獣人はパンツは履くのか?尻尾があるから履きづらそうだが。」


ついきいてしまった。


「こ、こんなものなら、履けるから…」


アコが真っ赤になりながら指を指す。

普通の女性用のパンツだ。うん。そっか、別に尻尾は尾骶骨の上ら辺から生えてるだろうから、普通に履けるよな。だめだ、頭が混乱している。


「そっか…。好きなやつ2つ3つ選んでいいぞ。」


恥ずかしまぎれにそう言う。


「いいの?」


「ああ、いつまでもそんな格好は嫌だろう?」


「あり…がとうなの。」


まだ顔を赤くしてお礼を言うアコ。


そして、自分用の替えの服や下着なども含めて買う。

アコにはほかに白いワンピースのようなものと、普通のシャツを買った。


試着室があるのでお店の人に言い、その場でつけさせてもらう。


「ま、マスター、そこにいるの?」


「ああ、いるぞ」


「い、いるよね?」


「ちゃんといるぞ。」


1人試着室に入るアコだがずっと俺がいるか確認を取ってくる。

周りが人間だらけでひとりになるのがこわいのだろうか。

そういえば森で1人の時に攫われたと言っていたっけ…。


しばらくしたら白いワンピース姿のアコが出てくる。

かわいい。今日はタオルも買ったし宿に着いたらダンジョンのなかの泉で水浴びをしてもらおう。

それに、今度はちゃんとした服屋に連れていってやりたいな。


ほかにもリュックサックのような背負うカバンにカゴを2つほどと鍋と皿などを買った。

あ、火をつけるためのマッチもちゃんと買ったよ。


「銀貨12枚と銅貨83枚ですね。こちらの銀貨28枚から引いときますね。」


「お願いします。」


「では、こちら銀貨15枚と銅貨17枚になります。」


銅貨100枚で銀貨1枚らしい。

これ、100枚もあったら持つの大変では?


「またのお越しをお待ちしております。」


まあ、それで回ってるってことはなんとかなるのだろう。いざとなれば俺はアコのダンジョンに置いておけるしな。

買ったものをリュックサックに入れて背負いアコと手を繋いで歩く。


「こんどこそ探索者ギルドへいこうか。」


「はい、マスター。」


ところでアコはダンジョンに入ることにはどうおもっているのだろう。

ダンジョンの魔物を倒したらダンジョン魔力もお金も手に入ると浅い考えから思いついたもので、ダンジョンに行けば安全とは限らない。

特に俺のダンジョン魔力が残り少なく罠もろくに出せない現状では特にだ。

アコと今後のことを話し合いたいし、街のことももっと知りたい。

探索者ギルドへの登録は明日に持ち越しにするか?

そう考えるとそっちの方がいい気がしてきた。

別に焦る必要はないのだ。

確かにポイントは欲しいが、お金はあるからすぐに野垂れ死ぬわけでも無いし、そもそもポイントがないのに無策にダンジョンに行ってもそれこそ死ぬだけだ。


「アコ、やっぱり探索者ギルドへ行くのは明日にしよう。今日は先に宿を取って街を回ってみよう。」


「せっかくお金を手に入れたのにいいの?」


「お金は別に逃げたりはしないよ。急ぐ必要はないし。宿の値段とかも知らないからね。」


「わかったの、マスター。」


「アコはどこか行きたいところはあるか?」


「よくわかんないの…」


「そっか、とりあえずはアルに勧められた宿に行ってみるか。えーっと、なんだっけ、なんとかの光?」


「月夜の光なの。」


ちゃんと会話を聞いて覚えていたらしい。なんでできる子なんだっ!


「ちゃんと覚えてるなんて偉いなぁアコは」


手を繋いでない左手で頭を撫でてあげる。猫耳もふもふ。


「あ、アコは役に立ってる?じゃ、邪魔じゃない?」


アコがそんなことを言ってくる。

この子はこれまでずっとこんな風に気を使っていたのだろうか。

それもそうだよな。まだあって3日も経っていないんだ。それで無条件に信用するほうがどうかしてる。


「当たり前だろう?それに、アコがどんなに役立たずでも俺はアコを邪魔者扱いなんてしないよ。」


「で、でも…」


珍しくアコが食いついてきた。珍しくというほど会話もしていないけど、初めてじゃないだろうか?


「でも…マスターは…アコをっ、アコをっ…」


次第に声が小さくなり嗚咽をつきながら声なく泣き始める。


「あ、アコ?」


びっくりして頭が真っ白になる。


人が通る街の隅で。

悲しさに泣きしがれる一人の女の子にできることは落ち着くまで名前を呼びながら、頭を撫でてあげることだけだった。

アコちゃん、いろいろ我慢していたようです。

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